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第50話:楓side
陽斗さんが大学で知り合った人と付き合うことになったと聞いた時、目の前で悲しむ尚也を見てほんの少しこの状況を喜んでいる自分がいた
諦められなかった恋がもしかしたら叶うのかもしれない
そうは思ってもやっぱり涙を流す姿を見るのは嫌で、、、
だから応援の言葉を投げかけて、アプローチしたら?なんてさらに傷付くかもしれない提案なんかしちゃって、、
自分にチャンスが向いているのに、1歩を踏み出すのがこわくて、、、
この気持ちに気付かれて友達としての距離感が壊れるのがこわくて、、、
応援しておきながら、このまま陽斗さんが尚也の気持ちに気付かずにいてくれたら...なんて事も考えたりして、、
でもやっぱり、陽斗さんの事を話している尚也のあの笑顔が好きだから、、、だから、、変わらず俺はこの気持ちを隠していく事に決めた
それから、無事志望校に2人合格し高校生活がスタートした
入学前に受けたバース診断
俺はアルファで尚也はベータ
その結果に泣き出し、心の内を吐き出した尚也に寄り添えば知る驚きの事実
まさかあんな事をしていたなんて、、、
だけど、それ程までにこの人が欲しいと思ってしまう気持ちが分かるから
俺からお前の傍を離れることは出来ないよ
それからすぐだった、陽斗さんの恋人に会ったのは
陽斗さんと恋人
2人の姿を頻繁に見るようになってから尚也は諦めようと努力していた
だから大学も地元ではない場所を選んで、親にも全てを話して理解してもらい離れたのに
尚也のピンチの時に一番に現れるのは陽斗さんだった
尚也を支えるようにして立っていた陽斗さんの姿を
そんな陽斗さんに全てを預け安心した顔をしている尚也の姿を見た時のどうしようもない気持ち
尚也が無事でよかったはずなのに、、、
どうして助けたのが自分じゃないんだろう、なんて考えがよぎって、、、尚也は外に出ることすら怖くなったというのに、、、
学校を休み実家で過ごす事になった時も頭の片隅にあるのは、陽斗さんと会っているのだろうか
そんな風に考える自分が嫌で
「俺もまだ全然前に進めてないな.....」
思わず漏れ出た声は暗闇の中に消えていった
そんな時に出てきた尚也の体の変化
話は聞いていたもののまさか尚也がそうなるなんて...
初めは軽いヒートを起こしていたが回数を重ねていくうちに大きく出始めた
紅潮した頬に潤んだ瞳、漏れでる吐息に全てを持っていかれそうになるのを必死に堪えながら面倒をみた
それでもやっぱり、、苦しそうな声で尚也が呼ぶのは "はるにぃ" だった
だから俺は、俺の出来ることでお前を幸せにするよ
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