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第51話

楓と番関係となってから半年が経った 番になった事はごく親しい間柄にのみ伝え、後は今までと変わらない日常を過ごしていた 就活では無事にオメガ枠での採用が決まり、卒業後も地元に戻る事はなく楓とここで暮らす予定となっていた 「なぁ、」 「どうした?」 「年末年始は帰るだろ?」 「その予定だよ」 「冬休み始まってすぐにする?」 「んー、どうしよ。楓にまかせるよ」 「お前な、、、」 「だって、俺はどっちでもいいもん」 そんな俺の言葉に「はぁ、、」なんてため息を吐きながら新幹線のチケットをカチカチと見比べる楓を眺めていれば「決めた!27だ!ここだとまだ安い!」そう言って俺にパソコンの画面を見せてきた その勢いに押されながら「分かった、27な?そっから空けとくから、ちゃんと!」そう返事をすれば、「よし!」なんて言いながらそのまま購入ボタンを押した それからは亮平や湊と集まって励ましあいながら卒論を仕上げたり、卒業前に旅行したいよね~なんて盛り上がったりしながら過ごしていればあっという間に迎えた冬休み お土産を手に新幹線に乗り込んだ 駅に着けば両親が迎えに来てくれ久しぶりの実家へ 楓と一緒に選んだお土産を広げお互いの分を分け自分家へと帰っていく楓を見送った 楓の姿が見えなくなり家へ入ろうと振り返った時、スーツ姿のはるにぃと目が合った 「なおや、、、帰ってたんだな」 「うん。久しぶりだね」 「あぁ、久しぶり」 はるにぃとは俺がしばらく実家で過ごしていたあの時以来だった 「元気だった?」 「うん、」 「そっか、、、」 「じゃあ、「あのさ!少し話せない?」 もう行くね。そう言おうとした言葉は遮られた 戸惑ったけれど、はるにぃの懇願するような顔を見れば断れずに「分かった。」そう言って俺は久しぶりにはるにぃの部屋を訪れた 「はるにぃの部屋久しぶりだ。変わんないね」 「そうか?」 「、、うん。」 「まぁ座りなよ。」 そう言われ昔からあるテーブルの側に腰を下ろせばはるにぃが俺の隣へ腰を下ろした 少し近い距離に驚きながらも平常心を保ちながら問いかける 「話ってどうしたの?」 「聞いたよ、、、」 「?」 「オメガになったんだよね、、そして、楓くんと番になったって、、、」 「あっ、うん」 「、、、」 「はるにぃ?」 「、、幸せ?」 「幸せだよ?」 「そっか....」 何だか様子のおかしいはるにぃを不思議に思いながら碧さんの存在を思い出した俺は「はるにぃは?」そう問いかけた 「んっ?」 「恋人、、いたじゃん」 「あぁ、別れたよ」 「えっ?」 「働き始めてすぐぐらいに」 「なんで、、、」 「あいつさ、俺以外にいたんだよ付き合ってたやつ」 「うそ、、」 「ほんと。ヒートの連絡きたから仕事終わり家行ったら他の男といた」 「、、、、」 「しかもベータだった。」 はるにぃの言った言葉が理解出来ずにいれば 「オメガのふりしたベータだったんだよ」 思ってもいなかった事実に驚いていれば 「高校の時から付き合ってる本命のアルファ彼氏がいたのに、彼氏とは違う大学だからバレないだろうって二股。俺がアルファだったから本命落とした時と同じようにオメガのふりして近付いて、香水とか薬を使ってヒートきたように装ってた、、、そんで本命だけに連絡したつもりが俺にもしてて鉢合わせ。俺とその本命に問い詰められて全部はいたよ」 「そんな、、、」 あまりの衝撃に言葉を失っていれば 「そんで俺からも本命からも振られてもあいつは変わらずオメガのふりして声掛けてを繰り返してたみたいで、その内の1人がヤバいやつだったらしくて、今はどこにいるのか誰も知らない、、、」 「えっ、、、」 「ホテル行っては金盗んだりもしてたらしいから、、まぁあいつの自業自得だよ、、」 そう言って力なくはるにぃは笑った まさか恋人がそんな事をしていたなんて知ったらショックだろう、、、 だけど、俺は何も言えなくてただ静かに隣にいる事しか出来なかった すると響いたメッセージの通知音 携帯を確認すれば楓からきていて [俺の荷物の中にお前のあったから明日持ってくな!] それに [ありがとう。] と返し終えれば近くに寄ってきていたはるにぃの存在に気付く 「はるにぃ?」 俺の呼びには応えずそっとはるにぃの手が俺の項に触れた 突然の事に反応が出きずはるにぃの顔を眺めていたが、慌てて立ち上がり急ぎ足ではるにぃの部屋を後にした

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