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可愛いは正義(前編)

「一目惚れしました!! 俺と付き合ってください!!」 「ひゃい!?」  俺こと橋本達也(はしもとたつや)は生まれてはじめて、高校の放課後の廊下で一目惚れというものを経験していた。そして思い立ったら行動の俺は即座に相手に告白した、返事は『はい』なのか驚いただけの『ひゃい』なのか分からなかった。だから、俺は更に相手にアピールすることにした。俺が一目惚れした相手は薄茶色の髪を持つハムスターのようにとっても可愛い、身長が百五十センチくらいの可愛い眼鏡をかけた小さな男の子だった。 「俺は橋本達也です!! ちなみに今は付き合っている彼女はいません、フリーです!! 俺は一応αです!! 成績は学年一位です!! 身長は百八十センチです!! カッコいいとも言われたことが結構あります!!」 「あっ、あのいきなり付き合うのはちょっと……」  なんと残念無念、俺は振られてしまった。でも俺はすぐに諦める気はなかった、次の告白の為にせめて俺が好きになった相手の名前、それを聞いておかなくてはならないのだ。 「すみません、せめて貴方のお名前を教えてください!!」 「えっ、えっと国行悠(くにゆきゆう)です」 「分かりました、それではまた出直します!!」 「ひゃい!?」  俺は速やかにその場を去った、周囲には放課後ということであまり生徒はいなかった。おかげで俺はあまり恥をかかなくて済んだ、でも俺は悠くんにまた告白するつもりだから恥をかくことになるだろう、それでもなお俺を惹きつけるだけの魅力が悠くんにはあった。ちょっと大きめの制服から出ているちっちゃい手足、うるうるしていた大きな瞳、華奢で小さい抱きしめたくなる可愛い体などだ。それら全てが悠くんをとても可愛くしていた、この可愛い男の子と付き合いたい、できればキスやそれ以上もしたいと俺に思わせるには十分だった。そして、俺はめげずに翌日の放課後も帰ろうとしていた悠くんに声をかけた。 「悠くん、橋本達也です!! 君が好きになりました、俺と付き合ってください!!」 「ひゃい!?」 「それは『はい』ですか、それとも驚いた『ひゃい』ですか?」 「すっ、すみません。驚いただけの『ひゃい』です」 「それでは改めて悠くん!! 俺と付き合ってください!!」 「あっ、あの僕はよく知らない人とはちょっと……」  残念無念、俺はまた悠くんに振られてしまった。でも俺がよく知らない人ならば、これから俺という存在を知っていって貰えばいいのだ。だから、俺は続けて悠くんに話しかけてみた。 「それじゃ、俺のことを知ってください!! 隣のクラスの橋本達也です!! 趣味は体を動かすこと!! そして可愛いものが実は好きなんです!! 帰り道でお話してください!!」 「ひゃい!? わっ、分かりました。でも僕は車で送り迎えして貰っています、少しここでお話することで良いでしょうか?」 「ありがとう!! 十分です!! 悠くんの好みのタイプはどんな人ですか?」 「こっ、好みのタイプですか……、うーん、僕のことを真剣に好きになってくれる人かな」 「それなら俺は大丈夫です!! 悠くんのことを真剣に好きになってます!!」 「でっ、でも僕Ωですが男の子ですよ。達也さん」  俺は悠くんがΩだということを初めて知った、でもだからと言って俺の恋に何の障害となるだろうか、俺は早くちっちゃくて可愛い悠くんを抱きしめたくて堪らないのだ。 「悠くんが男の子なのは分かっています、俺が今まで付き合っていたのは女の子ですが、それでも悠くんのことが好きになりました!!」 「えっ、えっと僕の一体どこが好きなんですか?」 「こう言うと悠くんに怒られるかもしれませんが、可愛くて俺の腕にすっぽりとおさまりそうなところですね!!」 「そっ、そうですか……」 「あっ、もう下校の時間です!! 残念ですがまた俺とお話して、俺のことをよく知ってください!!」 「ひゃい!? わっ、分かりました。だから、そんなに近くに来ないでください。そっ、それじゃ」  それから俺と悠くんは放課後に教室でお喋りをする仲になった、ちっちゃなお口で一生懸命に話す悠くんは可愛くて俺はますます夢中になった。悠くんは学校に親しい友達がいないみたいだった、他の誰かと話していることがなかったし、誰も悠くんのことを気にかけていなかった。俺は一人ぼっちでいる悠くんをみて保護欲にかられて、そうしてますます悠くんのことが好きになった。 「車で送り迎えとか、悠くんの実家はお金持ちなのか?」  しかし悠くんは毎日車で送り迎えされていた、もしかしたら庶民の俺なんかには手が届かないお金持ちなのだろうか、そう思ったが俺は顔にも口にもその疑いを出さなかった。俺と悠くんは放課後にちょっとずつお話して仲良くなっていった、俺は悠くんを知れば知るほど好きになった。 「悠くん、ちょっと写真を撮っていいですか?」 「ええ、いいですよ。達也さん」 「ありがとうございます、携帯の待ち受けその他に使用するね」 「じゃあ、僕も達也さんを撮っていいですか?」 「どうぞ、どうぞ、いくらでも!! 何にでも使って!!」 「えへへっ、ありがとう。この高校で友達ができたのは、実は初めてなので嬉しいです」  どうやら毎日話すうちに俺は悠くんの友達にはなれたらしい、キラキラした純粋な瞳でそう言ってくれる悠くんを見ると俺は後ろめたくなった。俺が悠くんの写真を欲しがったのはもちろん待ち受けにしたかったのもあるが、男の子の性欲解消のオナニーの時に使いたかったからだ。でもそんなことを言ったら悠くんに嫌われそうなので、もちろん俺は賢明に写真の使い道はその他に使用しますと言っておいた。 「あ――……、悠くん可愛い!! マジ天使!! 天使を汚してごめんなさい!!」  その夜、俺はさっそく何枚か撮らせていただいた写真を使ってオナニーした。悠くんのちっちゃくて華奢な体を押し倒してキスやそれ以上する妄想をして、気持ち良くオナニーすることができてしまった。そんなふうに俺は浮かれていたから、俺の周囲のことを気にしていなかった。それまで俺はそれなりにモテていたので、あくまで遊びで女の子たちと付き合っていた。俺には友達も多かったので、急に俺が放課後に遊ばなくなったことにも文句を言われた。でも俺は悠くんに夢中だったから、ごめんまた今度と謝るしかなかった。 「今日も可愛いね、悠くん。さぁ、今日は何の話をしようか?」 「達也さんって兄弟や姉妹はいるの?」 「俺は一人っ子、一般家庭のごく普通の一人っ子だよ」 「そうかぁ、僕は姉と兄が一人ずついて仲が良いんだ」 「悠くんと仲が良いとは!! うっ、羨ましい!!」 「それでね、達也さん。姉さんと兄さんが一度、僕の家に遊びに来てもらいなさいって、どうする達也さん?」  なんと俺は悠くんの家にお呼ばれした、そんな素晴らしい機会を俺が逃すはずもなかった。俺はすぐに悠くんの家に遊びに行くことにした、だから悠くんにすぐさま承諾の返事をした。 「行く!! 絶対に行く!! 俺、悠くんの家に遊びに行きたい!!」 「それじゃ、今日でも大丈夫?」 「悠くん、ちょっと待って!! ああ、もしもし母さん。友達の家に行くから今日は遅くなる。うん、よろしく~。はいっ!! 悠くん、俺は大丈夫!!」 「じゃあ、達也さん。一緒に行こう!!」  そうして俺は悠くんに手を引かれて歩きだした、悠くんの迎えの高そうな黒い車が学校正面入り口に止まっていた。俺は悠くんに手を引かれてその車に乗り込んで、また悠くんとお喋りしながら俺は運ばれていった。車はどんどん進んで凄く立派な日本式の門の前で止まった、俺はやっぱり悠くんはお金持ちの子どもだったのかと思っていた。 「達也さん、こっち。こっちが僕の部屋だよ!!」 「悠くん、待って!! 家が広くて迷いそうなんだ!!」  悠くんの国行家はとにかく広かった、そして綺麗に掃除してある日本家屋と、立派で綺麗な日本庭園を俺は見ることになった。悠くんの部屋も広くていろんな物が綺麗に並べて置いてあった、俺はそんな立派なお屋敷を見ながら悠くんに手を引かれていった。俺は悠くんに手を握って貰うのも初めてだ、ちっちゃくてちょっと冷たい手が気持ち良かった。そうして、とうとう俺は悠くんの部屋についた。 「あっ、凄い。ゲーム機の最新作がある!!」 「えへへっ、良かったら一緒に遊ぶ?」 「遊ぶ、遊ぶ!! へぇ、ここが悠くんの部屋か」 「対戦格闘ゲームで良いかな?」 「あっ、これ流行っているアニメの奴じゃん!! もちろん、良いよ!!」 「操作方法を説明するね、これはこうして……」  こうして俺は悠くんの部屋で一緒にゲームをして遊んだ、普段からこのゲームをやり込んでいるのだろう悠くんは強かった。でも俺は物覚えは良い方で勘も良かったから、すぐに悠くんに勝てるようになった。俺はいろんなキャラを試してみて、悠くんと勝ったり負けたりして遊んだ。そして、随分遅くなってしまったが俺は帰ることになった。 「悠くん、楽しかった。また遊ぼうね!! それと俺は悠くんが好きだからね、いつでも良い返事を待ってるよ!!」 「うっ、うん。また遊ぼうね、達也さん。いっ、良い返事はまだできないけど……」 「いいの、いいの。ちょっとずつ仲良くなって、本気で俺を好きになって!!」 「ひゃい!? わっ、分かった」  こうして俺は家に帰ることになったのだが、国行家から出発した車はいつの間にか山の中へと入っていった。俺は運転手さんに話しかけてみたが返事がなかった、そうして俺は山奥の人気のない場所で降ろされてしまった。そこには美人のお姉さんとカッコいいお兄さんが待っていた、地面には大きな穴が既に掘ってあって、二人はそれぞれ大きなスコップを持っていた。えっ、俺ってまさかこのまま山の中に埋められちゃうのか、俺は何か国行家で殺されるような酷い粗相をしたかと思った。 「俺は健太郎、悠の兄だ。貴様が悠に近づく害虫か!?」 「私は麻衣子、悠の姉よ。悠に近づく害虫なら生き埋めにしてあげる!!」 「いえ、俺は悠くんを好きなだけの無害な高校生です!!」 「害虫は自分が害虫だとは言わないものだ」 「そうよ、無自覚なのが害虫なのよ」 「俺は悠くんを好きなだけの人間なので、このまま生き埋めにはなりません!! それじゃ、さようなら!!」  俺はそう言い残して山をかけ下りた、そうしたら意外と俺の家の近くだった。俺は悠くんの家族にちょっぴり誤解されているようだ、また悠くんの家に遊びに行ってその誤解を解こうと思った。そうして俺は家に帰って今日悠くんに触れたところを思い出しつつ、お風呂でオナニーをしておき勿体ないと思いながら体を洗った。アイドルとかに会ってもうこの手は洗えないとか、そんなことを言ってる人の気持ちが少し分かった。そうして、次の日の放課後に俺はまた悠くんに会いに行った。 「悠くん、昨日は楽しかったね。今日は何を話そうか」 「達也さん、良かった!? 無事だったんだ、まだ僕と話してくれるの?」 「ああ、お兄さんとお姉さんのこと? ちょっと誤解されてるみたいだけど、俺はこのとおり大丈夫だよ!!」 「あの二人は僕に過保護なんだ、前にいじめられたことがあって……」 「なんとこんなに可愛い悠くんをいじめるとは、世の中には嫌な奴らがいるんだな」 「ああ、そんなに激しいものじゃなかったよ。僕だけでどうにかなったし、後遺症も相手に残らなかった」  世の中には酷い人間がいるものだ、こんなに可愛い悠くんをいじめるなんて、でもそんないじめにも負けなかったという悠くんはカッコ良かった。俺はまた一つ悠くんが好きな理由ができた、そう思って俺がほんわかした気分でいたら悠くんがこう言った。 「えっ、えっとね。達也さんさえ良かったら、僕と付き合ってください」 「うんっ、俺と付き合おう、悠くん!!」  俺は思わぬ悠くんからの告白の返事に反射的に付き合おうと言ってしまった、いや待てと俺はそこからちょっと冷静になって思い直した、そして可愛い悠くんにいろいろと確認をすることにした。 「でっ、でもちょっと待って、悠くん」 「僕みたいな怖い人とは、達也さんもやっぱり付き合えない?」 「違うよ!! ただ付き合うってことは俺はこれから悠くんにキスやセックスをするよ!! それが嫌じゃないかって心配なだけだよ!!」 「そっ、それは僕は初めてだから優しくして貰えると嬉しい」 「俺のできる限り優しくする!! それじゃ、俺たち付き合おう!!」 「えへへっ、なんだか照れくさいね」  俺は悠くんからキスやセックスをしていいという許可を貰ったので、さっそく悠くんに近づいてその可愛いほっぺたにキスをした。それだけで悠くんは真っ赤になってしまったので、俺はこれはゆっくり距離をつめていった方がいいなと思った。 「悠くんと付き合えて本当に俺は嬉しい、これからよろしくね!!」

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