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第37話

 やがて部屋につき、リオルの身体は丁寧にふかふかのベッドの上に下ろされた。シグルドはリオルの靴を脱がせ、横たわらせた。 「リオル。苦しいだろ」  シグルドはリオルの首元の留め具を外した。リオルは今日かっちりとした生地でできた正装をしている。これを着たまま眠るのは少し窮屈だ。 「ごめんね、シグルド……」 「構わない。ゆっくりしてろ」  シグルドの手で、すべての留め具を外され、上着を取り払われる。同様にズボンも脱がされて、シャツ一枚、下着姿になったリオルの身体にシグルドはふわっと布団をかけた。 「あれ……? シグルド?」  リオルを寝かせたあと、シグルドがどこかに行こうとするので思わず声が出た。 「ち、近くに人がいたら休まらないだろう?」 「ううん。シグルドなら大丈夫」 「そんな可愛いことを言うな。俺の理性が持たなくなる」 「理性……?」 「いや、気にするな。体調の悪いリオルに手を出すなんてダメだ」  ああ。とやっとそこで気がついた。シグルドはリオルに気を遣って、身を引こうとしているのだ。  ワインの飲み過ぎで、頭は少し痛いが少しくらいなら大丈夫。相手がシグルドなら。 「いいよ、触って。シグルドと一緒にいたい。隣に来て」  少し酔ってることをいいことに、リオルはシグルドをベッドに誘ってみせる。 「さみしい……ひとりじゃ寝られないよ……」   リオルが両腕を伸ばすと、シグルドがリオルに身体を寄せてきた。 「そんなこと言われたら、離れられない……」 「離れないで」  近づいてきたシグルドの頭を捕らえて、リオルはキスをせがむ。すると期待どおりにシグルドが唇を重ねてきた。 「んっ……」  自然、深いキスになる。手と手を重ね、指を絡めて互いを求め合う。  好きだ。やっぱりこの人が大好きだ。 「リオルっ、俺のリオル……っ」  シグルドに強く求められることが嬉しい。シグルドのフェロモンを感じて、リオルの気持ちが高ぶっていく。  シグルドが自らの衣服の留め具に手をかけ、脱ぎ去った。そしてリオルに覆い被さってくる。 「あっ、あっ……」  シャツをめくり上げられ、胸の突起を舌で弄ばれる。 「すまん。我慢ができない」 「あっ、あっ、うぅんっ……!」  シグルドの熱い手で、舌で、全身を愛撫され、そのたびリオルの身体はびくびくと与えられる刺激に反応する。 「優しく抱くから。いいか?」  シグルドがリオルの頬に手を添え、愛おし気に見つめている。 「うん」  リオルは頷く。リオルだってシグルドと身体を重ねたい。酔っているせいか、シグルドのフェロモンに包まれたせいか、やけに身体がほてっている。 「可愛い、リオル……」 「あっ、そこっ、んっ、あっ……ん……」  下着の中に手を入れられて、性器を握られる。シグルドにそこを掌握されてしまうとリオルはひとたまりもない。 「あっ、あっ……はぅ…ん……はぁっ……」  強すぎる快感を逃そうと、汗ばむ身体をよじるが、シグルドにのしかかられ、うまく逃げられない。 「はぁっ……リオルっ」 「あっ…ん……っ」  シグルドに求められるがまま、リオルは下着を取り払われ、ゆっくり脚を開く。シグルドだけにしか見せたことのない部分が露わになって恥ずかしさを覚える。 「強くしない。無理はさせたくない……」  シグルドがオメガの蕾にそり立ったものを当てがい、ゆっくりと中に沈めていく。 「あ、あ、ああっ……!」  シグルドに貫かれて、そこから迫り上がってくる快感がリオルの思考を麻痺させていく。 「シグルドっ、シグルドっ……!」  気がつけば、快感を求めて腰を揺らし、目の前の男に夢中になっていた。  番になる前もそうだったが、番になってから、よりシグルドを求めるようになった。オメガの本能が疼いて、シグルドに触れたくて、シグルドが欲しくてたまらなくなる。 「リオルっ、リオル……」  そのままシグルドとふたり、本能のまま行為にふけっていった。

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