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最終話
二年が経ち、ルイスとジンは魔法学園を卒業した。唯一の光の魔力を持っていたが、魔法だけに頼らず薬学や医療についても学び、卒業後は薬師の弟子につき働くことにした。
ジンは魔法省に勤めることが決まり、王族から離れた。将来は市民でも安価に手に入るような魔法具を作り、暮らしを豊かにしたいと希望を抱いている。
市民の声もあり、玉座はいまの国王のままでいるがいつ選定がきてもいいとうにレナードは公務に力を入れているらしい。
そしてレナードは忌み子の利用価値をわかっていなかった。ただジンが大切にしているものを壊したかったと白状し、なんとも情けに結末を迎えた。
「やはりあいつとは気が合わない」とジンは怒っていたけれど、結局ルイスには危害は加えられなかったのでその話はなかったことにされ、解決を迎えた。
アドルフがいなくなって、次の年からの洗礼は不安が多かったが魔法は均等に与えられた。まだアドルフは希望を捨てないでくれて嬉しい。
アドルフが幸せであること祈った。
竜が出現した日を堺に街のみんなも変わった。竜脈で祈りを捧げ、魔力を与えるようになった。
魔法の力に驕らず、それぞれと力で暮らしを変えていこうと努力をしている。まだまだ全員の考えを変えられているわけではないが、前向きな動きにはなっている。
世界がゆっくりと変わろうとしていた。
ルイスはシーツを干して、空を見上げた。雲一つない青空は夏を告げている。
ジンと再会して四度目の夏を迎えた。
「ルイス」
シャツだけを羽織り、胸元をはだけさせたジンが起きてきた。気怠そうな寝起きに昨晩の情事を思い出し、頬が勝手に熱くなる。
「……どうしたの?」
「起きたらいなかったから、探しに来た」
「天気がいいから洗濯をしようかと」
「昨晩シーツを汚してしまったからな」
「そ、そういうことは言わなくていいから!」
「無理させただろ。手伝うよ」
籠に入っている他の洗濯物をジンは干してくれた。いままで家事なんてやったことなかったのに、元々器用なせいかいまではルイスより料理上手だ。
「トンビが旋回しているぞ」
ジン指さした先に大きなトンビがぐるぐる回りながら空高く飛んでいる。その様子がなんとなく竜と重なった。
隣を見るとジンも同じことを考えてだいたのだろう。懐かしそうに目を細めながらトンビを見上げている。
「アドルフは元気かな」
「この国が平和なんだから元気にしているだろう」
「そうだね」
「朝食の準備をしよう。ルイスは休んでろ」
「僕も手伝うよ」
「わかった。でもその前に腹ごしらえ」
顔が近づいてきたので精一杯背伸びをした。口づけはすぐに離れるのに腔内は甘さを残している。
手を繋いで家に戻る。いまある幸せに感謝の祈りを捧げた。
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