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41.仲良くない【柊一Side】
「ツッキー、手加減しろ」
「手加減したらお前、反省しないだろ」
「してるっつの!」
「ふふっ、仲良いね。皐月くん、兄さんが焼くよ」
「仲良くないっ!!」
「全力で否定すんなッ!…別に仲良くねーけど」
マスターがくすくす笑うから、なんか居心地悪くなってきたじゃねぇか……。
「んじゃ、またな。マスター、ご馳走様でした」
ツッキーの頭に手を突いて、その手にグッと力を入れて立ち上がる。
文句を言ってるウルセー口を爪で弾くと、結構痛かったのか口を押さえておとなしくなった。
「……次は、忍くんと一緒に来いよ」
「はいはい」
「俺いなかったら、連絡入れろよ」
「はいはい。俺と別れ難いのは分かったから」
「そういうの良いから!早く忍くんのトコ行け!!」
「ぃだっ…!」
今度はケツを思い切り蹴られた。
コイツ、ホント俺には容赦ねー。
尻をさすりながらローズを出た。
開いたエレベーターから降りてきた常連の赤瀬さんが、こんばんは、とダンディーな声と笑顔を俺に向ける。
こんばんは、と返せば、
「秦野くん、ネコに転向したの?」
くすりと小さく笑いを漏らした。
「してないッス!ツッキーに蹴られたんですよ。アイツホント乱暴」
「あんなに優しい子を怒らせちゃダメだよ」
……まあ、な…。
優しいんだろうな。
俺も別に、嫌いじゃねぇし。
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