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第2話:基準は遼河

そもそも、オレは男に興味は無かったが、性に興味ある時期に聞いた遼河の体験談に、女性との行為に怖気づき。ドハマりした漫画家が、少年誌からまさかのBL転身をとげた所為で、今では立派な腐男子。かと言って、リアルゲイのセックスは観たAVが悪かったのか、腕が入ったり、排泄物を見せたりと・・・マニアック過ぎて、実際に経験するのは怖い。けれど、興味はある。 そんな中で、オレは遼河の顔が浮かんだのだが・・・。 「処女はちょっと・・・」 と、普段からイツメン達と話しているを思い出した。 そこからのオレの行動は早かった。 別に、男だし初めてにこだわりは無い。あるのは、気持ちのいいセックスのみ。 初めてがダメなら初めてじゃ無くなればいい。それだけだ。 なので、SNSでそれとなく呟いた時に、親切に色々と教えてくれた「ぽん太」さんと遼河には内緒でメッセージのやり取りを何回かした。 「おじまほ」さんは、お洒落な夕日をバックにシルエット写真をアイコンにしていて、オレの下らない悩みやどうしようも無い愚痴にも紳士的に答えてくれたりしてた。普段のSNSアカウントは、遼河ともばっちりと繋がっているから、「おじまほ」さんとは別アカウントでやり取りをしていた。 そんな、「おじまほ」さんが上げている写真は、お洒落なカフェや職場から見えた空とかで、オレは勝手に人物像を想像してしまっていた。 なんとなく、遼河の上げる写真に似てるんだよなぁ・・・。 もしかして、これってBL展開あるあるの・・・実は・・・とか?? なんて事を思いながら、実際に会うのが勿体ないきがしてしまい、ズルズルと会うのを先延ばしにしてしまい、ついに向こうから決定的なお誘いを受けたのだった。 『今日、17時にふくろう前でどうかな?』 最終下校時刻は、16時。一度家に帰っても、十分間に合う。 タイミング良く、遼河も仕事で先に帰っていた。 断る理由が見当たらなかった。 「オレも、先帰るわ。部室の戸締り頼んでいいか?」 「了解っす~。お疲れ様です!」 「おー。お先~。」 部室に残る後輩に、軽く挨拶をして少し足早に家へと向かった。 頭の中は、もうそれで一杯だった。 急いで準備をして、待ち合わせ場所に向かった。 「おじまほ」さんが送ってきた服装は、シャツとパンツに黒のデイバック。 すでに、何人かの人がその場に立っていた。 拓海も、キョロキョロと「おじまほ」さんらしい服装の人を探すが、違うのか拓海と視線があっても逸らされる。スマホの画面で、時間を確認するとちょうど17時に切り変わったところで、画面に影が落ちる。 スマホの先に、目の前に立ったであろう人物の足元が見える。 ボロボロに履きつぶされた運動靴は、ちょっと臭いそうで、思わず顔を上げるとそこには、想像外の人物がいた。 「き、き・・・キミが、た・・・た・・・たくきゅん?」 「・・・え?」 日差しも落ち、少し肌寒くなってくる時間帯にもかかわらず、目の前でふしゅーふしゅーと汗を首に掛けているタオルで拭い、不摂生の所為か肌は吹き出物が何個も出来ていた。 体系も言わずもがなで、アイコンの写真とは似ても似つかないシルエットの男がそこにはいた。 「たくきゅんだよね?うわぁ、本物は可愛いねぇ~。あー、顔もちっちゃいなぁ。」 「あ、あの・・・。」 「さぁ、さっそく場所移動しようか?」 どもりながら声を掛けてきた筈が、怒涛の様に次から次へと話しかけられ、拓海も上手に対応出来なかった。そもそも、拓海はある程度の人物が来ても構わないつもりでSNSで相手を探したのだったが、実際に相手をみて気が付いたのだった。 あ・・・、無理。 「あ、あの!! 人違いです!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 拓海のハンドルネーム「たく」と言ってきた相手に、人違いでは無い事は、解っているが拓海は全力で否定した。 「えっつ!? そ、そんな・・・そんな事、ほ、ほら・・・こ、この写真・・・ここ、ここ見て!!このガラスに、反射して映りこんでるのって、そのバックのマークだし!あ、あ・・・あとここ、こ・・・これ!!これ・・・って、たくきゅんの今履いてる靴でしょ!???」 「き・・・キモイ!!!!!!!!!!!!無理!!!!!!!!!!!!!」 ドンッ!!! 思わず、詰め寄ってきた相手を着き飛ばすと、ぐっちょっと男の汗で湿ったシャツと贅肉に包まれた身体の感触が拓海の掌に残る。 「ひぃ!!!! ご、ごめんなさい!!!」 「ま、まってよ!!!! たくきゅ~ん!!! 待たないと特定しちゃうよ!?!!!」 「む、無理です!!」 さっき出てきたばかりの改札を通り、たまたまホームに着ていた逆方向の電車へと飛び乗った。 無理無理無理無理・・・・ 手の感触を拭う為に、ズボンに手を擦り付けながら、ブーブー連続して通知の来るスマホの電源を切った。 急行で3駅程飛ばし、乗り入れのあった別ルートから、最寄り駅に帰ったがまっすぐ自宅に帰るきになれず・・・、拓海は勝手知ったる幼馴染の家に向かった。 インターホンを鳴らすと、顔見知りのお手伝いさんがオートロックを開けてくれた。 「連絡も無く、急にすいません。」 「大丈夫ですよ。拓海さんの事は、いつでもお入れするようにと申し付けられてますので。」 にこにこ顔のお手伝いさんは、遼河が小学校の頃から家の事をやってくれて夕食と次の日の朝食を作っては帰る通いのお手伝いさんだった。 「拓海さんも、もしよろしければ、お食事を用意しておきますので遼河さんとお召し上がりください。私は、これで失礼させてい頂きます。」 「あ・・・オレの分まで、すいません。」 「いいえいいえ。遼河さんに、週末拓海さんが来られる事があった場合は、用意するように元々言われてますので。起きにせずくださいませ。 それから、先ほど遼河さんにはご連絡致しましたので、遼河さんがお戻りになるまでごゆっくりとのことです。」 お手伝いさんを見送り、その足でバスルームへと向かう。 何度も泊まりに来ているので、色々なボタンのあるバスルームも悩まずに湯舟にお湯を張り、シャワーを使う。 はぁ・・・。 頭上から降りお湯の温かさに、思った以上に自分の身体が冷えていた事を実感する。 溜まった湯舟につかりながら、気持ちもぽかぽかしてくる。 温まった所で、脱衣所に置いてあったバックから、使いかけのローションを取り出す。 くちゅくちゅ・・・ 「ん・・・は・・・ぁ・・・。」 二本目を中に入れ、コリッとした部分を刺激する。 前にも手をのばしそのまま刺激する。 くっそー、あー本当だったらさっさと処女捨てて遼河にセックスしてもらってたのになぁ・・・。 くそ・・・!! 「ふぅ・・・。」 勝手知ったる幼馴染の家の冷蔵庫を家主が居ない時に開けるのは気が引けるので、遼河の部屋にあるドリンク用の冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターのボトルを取り出す。 自分の部屋よりも数倍お洒落で、綺麗な部屋は慣れ親しんだ遼河の部屋だから。 スマホの電源を入れると、大量の通知が届く。 「うわっ・・・きもっ!!!」 ズラッと画面に「おじまほ」の名前が並ぶ。 ブーンブーンと鳴りやまないスマホの電源を再度落すと、拓海は遼河のベットで不貞寝を始めた。

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