3 / 6
第3話:勝手知ったる他人家
初めて遼河と出会ったのは、親の離婚で引越しした先の幼稚園だった。
帰りのバスも一緒で、まさかの隣のマンション。(と、言っても遼河の処は、タワマンで我が家は、3階建てのアパートだったけど。)仲良くなると、セキュリティー万全の遼河の家で、預けられる事が増え、気が付くと高校も一緒。
「遼河、お前もっと上の学校行けたんじゃねーの?」
「あー、まぁなぁ~。でも、楽して上位キープ出来るなら、そっちの方が良い。」
「うわっ・・・それ、嫌味だかんな!」
「はいはい。ほら、課題出せよ。見てやるから。」
高校に入って早々に、遼河は母親のモデル事務所と専属契約をした。
出席日数はギリギリだけど、成績は上位キープのお陰か教師達も遼河には少し甘い。
そんな遼河は、もちろんオレの初恋の相手。
初めてのキスはもちろん、遼河だった。
だから、初めての相手も遼河に・・・って思ったのに。
「処女はちょっと・・・」ってなんだよ!!!
はぁぁぁあ・・・・・。
ゴロゴロとベットの上で転がりながら、一頻り暴れる。
拓海の見た目は、眼鏡に少し伸びた前髪で、顔は隠されているが、その素顔は平凡で済ませるには少し難しい。長めの髪に隠れている耳には、遼河が初報酬で買ってくれたピアスが着いてる。
そのピアスを無意識に触ってしまう。
穴を開けてからの癖。
最初は、その違和感に遼河に開けて貰ったことを実感して、触りすぎて穴が安定するまで時間が掛かったけど。今は、そこにピアスが着いている事に安心する様になった。
イライラしたり、何か不安に感じたときに気が付いた時に、触ってるらしい。
あー、もう!!イライラ通り越してムラムラしてきた!!!
遼河のベットで、オナってやる!!!
風呂場でも、散々弄ったそこは少し熱を持っていたが、自分の唾液で濡らした指は難なく飲み込まれていく。昔から、興味のあることには一直線の拓海は、外で遊ぶよりも図書室で本を読む方が好きだった。それから、休みの日にやっているヒーローにハマった時は、技の名前は元より、技を覚えては遼河相手に実践していた。それは、ジャンル問わず、なんでもだった。
小学3年の春。
夜、母親が新しい父親と一緒に映画を観ていた。
トイレに目が覚めたオレは、ドアの隙間から覗き見た、親達の初めて見た雰囲気に声を掛けれずに、そっとドアをしめた。
な、何あれ!!!???
初めて見たそれを、いつか試してみたかった。
そんな時、チャンスはやってきた。
遼河の家に遊びに行った日
お手伝いさんが、おやつに苺を出してくれた。
遼河の家で出るデザートは、普段家で食べる様な物とは格段に違った。
なので、その日もパクパクと自分の分を食べきったオレは、遼河の分に手を伸ばした。
「ちょ!拓海!!! オレのだぞ!!」
「いいじゃん! 遼河はいつでも食べれるだろ!!」
「嫌だよ!まだ、1つしか食べてない!!」
そういってフォークに刺した苺を遼河が口に入れた。
そんなつもりは無かったが、思わずだった。
気が付いたら、拓海は遼河の口に食らいついていた。
そこで両親達がしていた事を、思い出した拓海は、記憶を頼りに実践したのだった。
「えっ・・・・なっ・・・!????!」
「ん・・ん・・んっ!!!!」
苺の果汁と一緒に唇の端から零れたよだれを、拓海の舌が舐めとる。
遼河の口から、苺を奪い取れた事と苺の甘さに満足した拓海はさっさとテレビの前に移動し、お気に入りのアニメを観にいってしまった。
気になった事は実践しないと、気の済まない拓海が次に興味を持ったのは、性教育の授業で知った性行為。けれど、漫画やアニメ、映画とは違い、遼河の実体験は生々しく、うっかり観たAVはマニアック過ぎて、誰かとの性行為には興味は持てなかった。そこで知ってしまった、自慰行為。
その時に、思い浮かべるのが遼河の顔や声、均等の取れた身体だった。
他人との行為には興味は無かったが、千人斬りと噂される遼河ならきっと漫画の様なセックスが・・・と妄想していた。
そこで聞いた遼河は「処女」を相手にしない。
その事に、ショックを受けたが男に処女もクソも無いなと、開き直った拓海はSNSで「おじまお」さんと知り合い。アナルでのオナニーの仕方を教えてもらったのだった。
けれど、ネット情報で「弄りすぎると縦割れアナル」という単語に、躊躇もした。
だから、さっさと「初めて」を捨てて、遼河とセックスしようと、拓海は行動に出たのだった。
「・・・あっ・・・ん・・・んん!!」
薄くなった精を吐き出すと、そのまま遼河のベットに沈みこんだ。
拓海は自分がどんな恰好になっているのかも、理解しないまま、部屋の主の帰宅までぐっすりと眠ってしまったのだった。
ともだちにシェアしよう!