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⑦ 聖 視点

「そしたらイケメン路線で行けば大丈夫だよ。 女子には、今よりモテるんじゃね?」     「咲ちゃんは?」     「え?」     「咲ちゃんはどっちの僕が好きなの?」     「えっ!?は??」     丁度、学校前の駅に電車がついた。 困惑している咲磨を置いて、僕は慌てて電車を降りる。 人ごみを縫って、改札を出て、もう少しで校門というところで、咲磨に捕まった。 そりゃ、帰宅部が運動部に勝てるわけがない。     「ちょっと待って、どういうこと?」     未だに咲磨は混乱している。 「俺っ、咲磨が可愛い子が好きって言ったから、ぶりっこして、嫌われないように頑張ってきたのに…、俺の見た目が可愛くなくなったら、咲磨はっ」     急には走ったことによる息切れと、その他諸々のせいで思考がぐちゃぐちゃだ。 言いたくないことまで、感情のままに吐露している。     「聖、落ち着けって。お前、支離滅裂だし、口調が…」     「本来の俺はこうなんだよ。言ってることも本音だし…、ああもう…、全部終わりだ」     そういいながら俺は校門の前にもかかわらず、しゃがみこんだ。 登校していく生徒たちの視線を肌で感じる。     目の前で突っ立ていた咲磨が、ため息を吐きながらしゃがみこんだ気配を感じた。     「俺、可愛い子がタイプなんて言った? …、いや言ったな。その時から確か、聖の事が好きで濁すためにお前を表わす形容詞を1つ言ったわ」     「やっぱり、可愛くない俺は好きじゃないんだ」   「違うから。たとえ高身長ハーフイケメンになっても俺は聖なら好きだよ。 っていうか、さっきから俺の事好きって言ってるように聞こえるんだけど?」     そこでやっと俺は顔を上げた。 咲磨が照れくさそうな顔でこっちを見ていた。     「好きだし。ずっと好きだったし」   「なんで怒ってるんだよ。ほら、来い」     咲磨が笑いながら両手を広げている。 俺は人目も憚らず、そこに飛び込んだ。 衝撃に耐えきれなかった咲磨は「いてぇ」と言いながら尻もちをついたが、俺に回した腕は緩まなかった。  

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