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悠稀

「……はぁっ…あっ…んっ……はるっ…にっ…」 「んっ…(あき)」 「あっ……ぁあっ…!………あっあぁ~っ…!」 「はぁ…暁…好きだよ…愛してる」 「あっ…はぁっ…あっ!…うっんっ…ん~~っ…あっ!…ぁあっ!はるっ…にっ…!」 好きだ、愛してると言わないと 暁はイケない 俺が…そうさせた 「はっ…暁っ…愛してる…」 「あっ!…あっ……っん~~ぅ~~っ…ぁあっ...!…~っ!はるっ…にっ…!」 「いいよ…暁っ…イキな」 「んっ…あっ!…ぁあっ!あっ!っ~~~!!」 「……くっ…!」 す~ す~ 「おやすみ…暁」 「暁…」 「…ん」 顔にかかってる髪を避ける 「まだ眠いかな?」 「…(はる)兄…何時?」 うっすらと目を開けた暁が聞いてくる 「12:00」 「…起きる」 「シャワー浴びといで?」 「…うん」 シャワーを浴びてる間にお昼ご飯の、焼きそばを焼く 高校生…これから食べ盛りだからな 最近…環境も変わったせいか ちょっと不安定だな 「いただきます」 「はい、召し上がれ」 「美味しい~」 「ははっ。良かった。暁、学校どう?」 「まだ分かんないけど…楽しそう」 「そっか」 笑う様になったなぁ 「悠兄、学校行くの大変じゃない?ごめん、俺の学校の近くに住んでもらって…」 「暁みたいに、毎日朝早い訳じゃないから大丈夫」 「うん…でも、もう朝送ってくれなくても大丈夫だよ?ちゃんと道覚えたし」 「うん。俺が送れる時だけだから、いいんだよ」 「うん…」 ん? あれっ? 「もしかして迷惑?!お兄ちゃん付いてくるなんて恥ずかしい?!それで苛められてたりする?!」 「しないよ。ただ、悠兄が大変だから」 「ほんとに?暁…ほんとに?」 「ほんとだよ」 「…そっか?」 「悠兄…心配し過ぎ」 「…そうだね」 (あき)を、親が連れて来て2年ちょい 全然…安心なんて出来ない 俺達家族の前ではこうして笑うけど… あの頃の暁の姿が、頭から離れない 「悠兄も、大学楽しい?」 「そうだな。まだよく分かんないけど…」 「…悠兄、一緒に住んでくれて、ありがとう」 「俺も暁と暮らすの楽しいよ。暁…やっぱりバイトやめようか?」 「大丈夫。少しずつでも…慣れなきゃ」 「うん...でも、俺弟と住んでるから、急にシフト変わってもらうことあるかもって言ってるし、休んで欲しい時いつでも言ってね?」 「それじゃ、俺、一緒に住めないよ」 「えっ?何で?!」 思わず声を荒げる 「俺のせいで、普通はする色んな事、我慢する事になったら…普通は、ああいう事、好きな人とするんでしょ?俺が居るせいで、悠兄…好きな人できないとか…遊びに行けないとか…困るから」 「…我慢とかしてない。けど、好きな人いても、暁の事が大切なのは変わらないよ?暁も、そういう人できたらデートとか行っていいんだよ?」 「…俺には…そんな人できないよ。ご馳走さま」 暁が、食器を下げに立つ 俺も下げて 「暁…まだ…好きな人できない?」 「…できない」 「同じ学年じゃなくても、同じ学校じゃなくてもいいんだよ?」 「…悠兄…俺に好きな人できるの待たなくていいよ?その…どうしても...不安な時は…お願いするかもしれないけど…悠兄の彼女には悪いけど…あんなの…ただの行為だから…だから、キス…とか、色んな言葉は…彼女だけに…えっ?悠兄?」 ぎゅっと暁を抱き締める 「わかった。俺も、暁に彼女ができたら、もうしないよ」 「…ごめん…それは一生ないかも」 「あるよ」 「俺みたいのと付き合ったら可哀想だよ」 「暁は…優しくて、頑張り屋さんで、強くて、凄いんだよ?」 暁の頭の上に顔を乗せる 「悠兄…ごめん…優しいからって…普通じゃない事頼んで…俺がおかしいの分かってる。そのうち…悠兄に迷惑かけなくて済む方法見付けるから。だから…」 くるっと暁が振り返る 「悠兄…嫌な時は嫌って言って。俺は、悠兄の恋人じゃない。ほんとは…恋人とするんだもんね?悠兄が、どうしても付き合わなきゃならない理由はないんだ」 嫌だと言ったら…暁どうなるの? 「分かった。暁もだよ?始めたからと言って、途中で止めたくなったら、言っていいんだからね?」 「止めたくなることなんてない。でも…いつも、俺だけ気持ち良くなって…寝ちゃってるから…俺じゃなかったら、ちゃんと悠兄も気持ち良くなれるのに...」 「バカだな。俺は3つも歳上だよ?そんな心配しなくていいんだよ」 「…ありがとう、悠兄。ごめんね…俺…ちゃんとした弟じゃなくて、突然来て迷惑ばっかりかけて…」 暁が、俺のシャツを掴んで、頭を寄せてくる 「ちゃんとした弟ってなんだよ?暁は、どんどん可愛い弟になってるよ。こんなに喋って、笑ってくれる様になった」 「…悠兄のお陰…ありがとう」 「よ~し!可愛い弟を、今日は何処に連れてこうかな?」 「今日は、宿題しなきゃ」 「えっ?宿題…そんなにあるの?」 「昨日も出掛けたから、今日はやらなきゃ」 「そっか。じゃ、後で一緒に買い物行こう?」 「うん」 俺が16の時、13歳の暁が、我が家に来た 母さんの知り合いが、いわゆる、そういう施設の子達のサポートをしてて 何も喋らない子が居ると聞いた、世話好きの両親が、気になって見に行き、決めたようだ 俺にもいいかと聞かれたが 正直、そこまでちゃんと話も聞いてなければ、考えれてもなくて 少し年下の友達ができる位に思ってた 我が家に来て3ヶ月 暁は一言も喋らなかった 友達どころか、何の話もしない暁は 特に俺の邪魔になるでもなく 遠い親戚が居候してる位の感じだった 一応、学校には行ってるみたいだけど… 楽しくないだろうなぁ 無視するでもなく 必要な事は声を掛けると、頷いたり首を振ったりするので そこまで困る事もなく おおらかな両親も見守っていた ところが、3ヶ月経った冬 両親共通の知り合いの結婚式があり 何度も心配して、大丈夫かと聞かれたが 俺は大丈夫だし、暁に関わる事もないのだから 何を心配する事もない訳で 2人して出掛けて行った 必要な事を話すだけの夕食を済ませ それぞれ風呂に入り ソファーに座って、適当にテレビを見てると 暁が、傍に立った 珍しい 両親が居なくなって不安になったのか? 「ここ座る?」 ソファーの隣を空けると 暁は黙って座った 素直… やっぱ寂しいのかな? そう思って見てると 暁が、こっちを見た 初めて、こんなにちゃんと見られた え? 何で、そんな見てるの? 「…自分で…脱げば…いいですか?」 初めて…声、聞いた え? 自分で脱げば… 何を? 「脱ぐって…えっと…何を?」 「…服…自分で脱いだ方が…いいですか?それとも…このままの方が…いいですか?」 服を…脱ぐかどうかって? 何でそんな事聞くんだ? 暑いなら、脱げばいいのに 「暖房…下げようか?服は、脱いでも、どっちでもいいよ?」 「……」 え? 何で今日に限って、そんな見てくるの? 「あの…すいません」 「うん?」 「すいません…どうしたらいいのか、教えてもらえますか?」 どうしたら... せっかく喋ってくれたのに 全然話…分かってあげられない 「暁の好きにしていいよ?」 「…っ!」 え? 何で…え?… 何か…怯えてるみたいな… 「…暁?」 「失礼…します…触っても…いいですか?」 「……え?」 ソファーから下りた暁が、俺の足の間に座り 股間に顔と手を近付け 俺を見上げて聞いてきた 頭が…混乱… 暁が、じっと答えを待つ様に動かずにいる 「え…え?触るっ…て…」 「…っ!あっ...あのっ…咥えてっ…いいですか?!」 は…? 「なっ…何言ってんの?!」 ビクッ! あ…びっくりさせちゃった 「す…すいません…すいませんでした...」 「いや…俺………え?」 暁は、急いでパジャマの下とパンツを脱ぎだした え?…は? ちょっと… 下半身丸出しで… 何が起こってんの? 頭がフリーズし過ぎて、体もフリーズした 「んっ…はっ…はぁっ……はぁっ…はっ…あっ...」 な…何…これ 暁が、自分の後ろに指を入れて、苦しみだした 「はっ…んっ…くっ……はあっ…あっ…んっ!」 「…な…何…してんの?」 「すいません…もう…すぐ…大丈夫です」 何…が? 怖い… 何…何が起きてるの? 「ソファー…上がって…いいですか?」 下半身丸出しで立ち膝のままの暁が聞いてくる 「い…いいけど…」 何? 暁が、ソファーに上がってきたので 少し後退る 全然…頭働かない 何で…暁…こんな事してんの? そんな事を考えてると 暁が四つん這いで後ろ向きになった …は? 分かんないけど… こんなの絶対普通じゃない! 「何してんの?!」 ビクッ! あ… 暁が驚いて振り返ると 「ごめんなさい…ごめんなさい…お願いします…どうすればいいのか…教えて下さい…何でもします…何でもします」 まるで、ぶたれるのをガードするかの様に、顔の前に両腕を出している 震えてる? こ…これって… つまり…そういう事されて 言う事聞かないと、ぶたれてたって事? 誰に…そんな事… 暁は…まだ13歳 「…っ!」 どんな事なのか想像出来る程の知識はない けど! どんなに怖い事かは分かる 「暁…大きな声出してごめん。怒ってないよ。服、着よう?」 「……えっ?」 そう言って見た暁の顔は 驚きとか、安心とかじゃなく 恐怖でしかなかった 「暁の今までは知らないけど…俺は暁に、そんな事して欲しいとは思わない。服着て、一緒にテレビ見よ?」 「………」 理解出来ないとでも言うような暁の顔に 笑顔が崩れそうだった その後、服を着た暁と一緒にテレビを見た テレビを見てる間中 暁は、テレビじゃなく俺を見てた 何度か話し掛けたが 全然耳に入ってない様で ただただ、ぼーっと俺を見てた 言ってた通り 暁は、宿題を済ませに、さっさと部屋へ行った 忘れられない、衝撃的な1日から 暁は、少しずつ俺と話すようになっていった 両親は知ってるのかと思い、詳しい事は言わず あんなに口を利かなかったのは、何かに怯えてるからじゃないか?と聞いてみると 暁の母親は行方不明 一緒に住んでたのは、母親の恋人だった人で 暁は虐待されてるのを、近所の人が見かねて通報 警察が介入 その男は、暁を手離す事を許さないと、かなり暴れてたそうだが 何の血の繋がりもない為、無事保護する事が出来たらしい つまりは… その男が暁を… 「なんてもの…暁に残してくれたんだよ……」

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