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第10話 魔王召喚(10)

 1ー10 邪神  「あ、兄上?」  僕は、思わずラクウェル兄に問いかけていた。  ラクウェル兄は、僕を見下ろして笑った。  「いいだろう?これからお前がされること、こいつに見せてやれ、レリアス」  「で、でも」  「口答えする気か?レリアス」  ラクウェル兄の微笑みに僕は、ぞくっとして体をこわばらせる。  それ以上、僕には、何も言えなかった。  「いい子だ、レリアス」  ラクウェル兄が僕の頭を撫でる。  「お前がいい子にしてれば、俺もお前を可愛がってやるんだからな」  「やめろよ」  テシガアラがラクウェル兄を睨み付けた。  「嫌がってるだろうが」  「嫌がっている?」  ラクウェル兄が僕にきいた。  「嫌なのか?レリアス」  僕は、慌てて頭を振った。  「ラクウェル様、僕は、ラクウェル様の性奴です。ラクウェル様にお仕えできることは、僕の喜びです」  「嘘、つくな!」  テシガアラがどん、と威圧を放った。  空気が震えているのがわかる。  異世界から召喚された人間の中には、考えられないような力を持つ者もいる。  テシガアラもまたそうだった。  テシガアラの怒気をはらんだ気を受けて僕は、裸の体がびりびりと刺激されるのを感じた。  もしかして。  テシガアラなら、ほんとに僕を救ってくれる?  僕が一瞬、そう思ったとき、ラクウェル兄が手を振ってテシガアラの威圧を払った。  「面白い。俺に逆らう気か、お前」  ラクウェル兄の影からずずず、と何かが出てくるのが見えて僕は、言葉を失う。  ラクウェル兄は、邪神を飼っている。  そいつは、最強で。  一度、戦ったことがある僕が言うのだ。  間違いなく、テシガアラが負ける。  いくら、テシガアラが強かろうとも、邪神には勝てない。  「やめろ!テシガアラ!」  僕は、ラクウェル兄の前に立ちふさがった。  「下がるんだ!」  「レリアス君?」  テシガアラが怯んだ隙をついて邪神がその触手を伸ばしてテシガアラを絡めとる。  体を触手にぐるぐる巻きにされてテシガアラが苦しそうに呻き声をあげる。  「そこで見ているがいい」  ラクウェル兄が高らかに笑った。  

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