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第16話 魔法学園(3)
2ー3 学生ですか?
ラグナック学園長が合図をするとドアが開いて黒づくめの大男が現れた。
「こちらに手を」
大男に促されてテシガアラが大男の持っている魔道具の中央の水晶の上に手を置く。
それは、魔力や属性を調べるための魔道具だ。
水晶は、まばゆい光を発すると青い澄んだ光をたたえて、そして、ひび割れた。
「これは!」
ラグナック学園長が眉を潜める。
「このお方は、どうやら魔王の素質をもつお方のようですな、レリアス様」
はい?
僕は、キョトン、としてしまう。
テシガアラが魔王?
「でも、彼は、聖女召喚によってこの世界に招かれたんですよ?」
「魔王が必ずしも聖なる者と対峙するわけではないのですよ」
ラグナック学園長は、テシガアラをまじまじと見つめた。
「しかも、この方の属性は、水ですな」
水属性の魔王?
僕が信じられないものをみるようにテシガアラを見ていると、ラグナック学園長が口許をほころばせる。
「さすが、王国の魔法師団でも名を馳せられたレリアス様です。このような逸材を召喚されるとは」
「しかし、魔王とは」
僕が困惑しているとラグナック学園長は、こともなげに言い放った。
「魔王でも召喚せねば、この王国を救うことはできませんからね」
なにはともあれ、しばらくテシガアラは、この魔法学園の生徒として暮らせることになったので、僕は、ほっと胸を撫で下ろした。
ここなら。
ラクウェル兄も手を出せないだろう。
「しかし、学生、ね」
テシガアラが複雑げな顔をした。
「俺ももとの世界じゃ、大学生だったからここで学ぶことは楽しみです。でもレリアス君にきいたことによるとここは、貴族の子供たちが学ぶ場所とのこと。俺みたいな年の学生は、いないでしょう?」
「大丈夫、テシガアラは、若く見えるからね」
僕は、テシガアラの背を叩いた。
テシガアラは、なんだかムッとしている。
「21才は、子供じゃないよ、レリアス君」
「わかってるよ、テシガアラ」
テシガアラと他愛ない話をしている僕を暖かい眼差しで見ていたラグナック学園長が言った。
「なんなら、レリアス様も魔法学園に来ませんか?」
はい?
僕は、意味がわからなくて。
だって、僕は、もう、何年も前にこの学園を卒業していたし、それにもう27才にもなるんだよ?
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