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第15話 魔法学園(2)

 2ー2 窮鳥  僕は、テシガアラを連れて魔法学園の校舎の裏にある小さな家を目指した。  それは、魔法学園の周囲を囲んでいる森の中にある湖のほとりにある小屋だ。  ボロボロの掘っ立て小屋としか思えない家の扉を僕は、叩いた。  「お入り」  ぎぃっと扉が開いて中から老人の声が聞こえた。  「失礼します」  僕は、テシガアラと一緒に中に入っていった。  小屋の中は、外からは想像もできないぐらい立派だった。  広い玄関の前にある大階段を上っていく。  薄暗い廊下には、僕たちの歩みにあわせてポツポツと灯りが点って足元を照らし出してくれる。  僕らは、無言で長い廊下を歩いてその先にあるドアへと向かった。  僕がドアをノックしようとすると同時にドアが静かに開いた。  「ずいぶんと久しいですね、レリアス様」  中から懐かしい声が聞こえて僕は、思わず涙ぐんでしまう。  「お久しぶりです、ラグナック学園長」  僕は、暖炉の前の揺り椅子に腰かけている老人のそばへと近づいていった。  白髪のその老人は、いつも新しいことを探して煌めいている青い瞳を僕に向ける。  「あなたが王城を追われて以来だったかな」  「はい」  僕が頷くと、学園長は、立ち上がって僕に向かって礼をとった。  「よくご無事でお戻りくださいました、レリアス殿下」  「僕は、もう、王族ではありませんよ、ラグナック学園長」  僕とテシガアラは、ラグナック学園長にすすめられてソファへと腰を下ろした。  僕らの前の椅子に腰かけたラグナック学園長は、じぃっとテシガアラのことを見つめた。  「この方がレリアス様が異世界から召喚されたという方ですか?」  「ええ」  僕は、テシガアラをラグナック学園長に紹介し、ここに至る話をかいつまんで説明した。  ラグナック学園長は、僕の話に耳を傾けていたが、にこにこ笑みを浮かべた。  「要するにこのお方を魔法学園で保護して欲しい、とおっしゃるのですな、レリアス様」  「厄介事を持ち込んで申し訳ありません」  僕は、ラグナック学園長を見つめた。  「しかし、僕には、もう、ここしか頼れる場所がなくて」  「わかりました」  ラグナック学園長は、僕の手にそっと手を重ねると優しく微笑んだ。  「この魔法学園は、我らを頼ってくる窮鳥をみすみす見殺しにすることはありません」

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