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第29話 生け贄の王子(3)
3ー3 特待生
「いえ、おかまいなく」
僕は、テシガアラの手を引いてその場から走り去った。
「レリアス?」
テシガアラが僕に問いかけるが僕は止まらなかった。
僕は、本屋街まで走り続けた。
「どうしたんだ?レリアス」
かなり走ったのにテシガアラは、呼吸を乱してもいない。
それに比べて僕は、呼吸を弾ませていた。
僕は、呼吸を整えてからテシガアラに告げた。
「教科書、買わないと」
「教科書は、最後にするんじゃなかったのか?」
テシガアラがきくので僕は、とぼけた。
「そうだっけ?」
僕は、本屋へと入っていく。
テシガアラも諦めて後に続いた。
僕らは、必要な教科書を買うと寮に戻ることにした。
寮に戻るとすでに買い物した家具やらが届いていたので僕らは、それを部屋へと運び入れた。
家具を置くと殺風景だった部屋が少しましになる。
もう、時刻は、昼過ぎだ。
僕は、テシガアラと寮の食堂へと向かった。
食堂で僕らは、昼食を食べた。
テシガアラは、何かいいたそうな顔をしていたけど、僕は、それに気づかないふりをした。
昼食がすんで食堂のメイドが食後のお茶を運んでくる。
僕は、お茶を飲みながらテシガアラにこれからの話をした。
「毎月の生活費や、学費は、僕が援助できると思う。他の学生たちみたいに裕福というわけにはいかないかもしれないけどできるだけのことはするよ」
僕が言うとテシガアラが首を振った。
「俺に援助はいらない」
「でも」
僕の言葉を遮りテシガアラが話した。
「レリアスは、リリアンのために仕送りしてるんだろう?その上、俺まで養うなんて無理だ」
「大丈夫、だよ?」
僕は、テシガアラを安心させるために笑みを浮かべてみせる。
「これでもローザの店で1番の稼ぎ頭なんだよ、僕」
「俺は、ひもになるつもりは、ない」
テシガアラがきっぱりと言った。
「レリアスが体を売った金で養われるなんてごめんだ」
僕は、そうテシガアラに言われて正直かなり傷ついていた。
「なんで?」
僕は、うつむいてなんとか言葉を押し出した。
「君、お金もないし、どうやって暮らしていくの?」
「リリアンにきいたんだが彼女は、魔法学園の特待生だそうじゃないか」
はい?
僕は、驚いていた。
リリアンが特待生?
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