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第71話 再生と改革(6)
6ー6 リリアン
「レリアスお兄様?」
翌朝、朝食のテーブルについた僕を見てリリアンが目を見張った。
「額に邪神の使徒の証しがありますわよ?」
はい?
僕は、慌てて額を両手で隠そうとしたが、リリアンは、許さなかった。
「なぜ、レリアスお兄様の額にそんなものが現れているのですか?」
「リリアン、とりあえず朝御飯を食べよう?」
「それどころではありませんわ!」
リリアンが頭を抱える。
「私のレリアスお兄様が邪神に汚されてしまった・・」
僕は、味もわからない感じの朝食を食べると王代理の執務室へとリリアンに連行されていった。
執務室に入るとリリアンは、僕に向き直り訊ねた。
「いったい何がありましたの?レリアスお兄様」
「うん・・」
僕は、昨夜の話をリリアンに話せる範囲で報告した。
つまり。
ラクウェル兄の姿を持つ邪神が訪れて僕に邪神の神子としての証を与えた、ということだ。
「まあ、そうでしたの・・」
リリアンは、疑うことなく僕の話を信じてくれた。
「あの、ラクウェルお兄様に取り憑いていた邪神ですわね?触手がぐにょぐにょしたあの性格悪そうな邪神?」
「ああ」
僕は、頷いた。
「あれ、だよ。あれ」
「そうですか」
リリアンは、にっこりと微笑んだ。
リリアンが何も疑いを持っていないようなので僕は、あえて余計な話はせずにいたのだが、リリアンは、息をあらげて僕に迫ってきた。
「で?何回やられました?」
な、何回?
僕は、リリアンから視線を反らした。
「なんのこと?」
「おとぼけにならないで、レリアスお兄様」
リリアンが聖女の微笑みを浮かべて僕に迫ってくる。
なんか、やばい!?
僕は、逃げようと思ったが、その場から動けなかった。
リリアンの聖なる魔法で拘束されていた。
「聖女の力をこんなことに使ったらだめだよ、リリアン」
僕がリリアンをたしなめるとリリアンの方から舌打ちするのがきこえてきたような気がした。
うん。
リリアンが嫌いなものを食べてるときの顔になっている。
少し目には涙を溜めて僕を見つめているので僕は、慌ててなだめた。
「でも、安心して。邪神っていってもただのラクウェル兄上だったから」
「どこに安心できるところが?」
リリアンが遠い目をして僕を見た。
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