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第3話 side-琥太郎

「おはようございます!皆さまには大変ご迷惑をお掛けしました」 同じ部署らしい人達に向かって深く頭を下げて挨拶をする 「櫻井(さくらい)さん!大丈夫だったんですか? 階段から落ちて入院したって聞いて驚きましたよ」 「もう大丈夫なのか?無理すんなよ?」 「頭の包帯痛そう~、ホント、無理はしないでください!でも、復帰してくれてよかったぁ~。櫻井(さくらい)さん居ない間、死ぬ程忙しかったから」 俺の周りはすぐに人集りができ、好き好きに話しかけてくれる 「実は、ちょっと記憶喪失のような感じで…。事故の影響でまだ混乱しているんだと思います。今後も迷惑を掛けてしまうかもしれませんので、申し訳ありません」 黙っていても後々ややこしくなるのが嫌で先に自分から伝える 「えっ!?それって大丈夫なんですか?竹内さん心配してるんじゃないですか?一番仲良いのに、今は福岡の新店オープン準備に駆り出されてるし。確か、明後日がオープンですよね」 何故があのストーカー野郎の名前をここでも聞くことになるとは思わなかった 昨晩確認したパソコンにも、竹内との打ち合わせ内容のメールが多数あり、こいつが例のストーカー落した元恋人かと冷めた目で見ていた メールの内容は社内連絡らしく業務的だったが、異様に俺から連絡している感じがして気になっていた 「すみません、俺はその竹内さんとは仲が良かったんですか? 全然彼のことについては覚えてなくて…」 「え?櫻井(さくらい)さんが、竹内さんのことを覚えてないんですか?」 「ま、まぁ、入院中、来れなかったのは仕方ないですよね。退院したって連絡してあげたら喜びますよ。きっと」 何か含みのある言い方に疑問を覚える 社内で付き合ってたのがバレていたのか? まぁ、ストーカー野郎のことだから、外堀を埋めていてもおかしくないか… 「そんなに仲が良さそうだったんですか? なんだか、別の人のことみたいですね」 笑顔でこれ以上そんな噂を広めるなと言うように冷たく言うも、何故かそれに対して周りがどよめいていた 「ほ、本当に覚えてないんですね…」 「ま、まぁ、時期に思い出すだろ?」 戸惑った様子の同僚たちがウザったく、静かに溜息を漏らす 「すみません、まだ色々思い出せないんです。とりあえず、俺が今までしていた仕事を確認したいんですが、どなたかご協力いただけないでしょうか?」 さっさとこの話題から話を逸らすべく、表面上は変わらない笑みを浮かべ、記憶を取り戻すべく自分の今まで行っていた仕事を一つ一つ確認していく作業にはいった 「やっぱり櫻井(さくらい)さん、おかしくないか?竹内くんの話しをしてもなんか、雰囲気違うし… 別れたとかは絶対あり得ないだろうし…」 「でも、なんかよそよそしいと言うか、嫌悪してる感じじゃない? これ、一応司馬に言っといた方がいいんじゃね?」 社内の一部で何か話し合いが行われているのを横目に見て溜息を漏らす そんなに、あのストーカー野郎と俺が仲良かったのかね? ホント、嫌になる… 早く帰って(まもる)に会いたい

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