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11.イヤ?※(1)
スプリングが大きく揺れ、颯斗はシーツの上で一瞬弾んだ頭を咄嗟に持ち上げた。
またベッドが軋み、体を起こそうとする颯斗を追い詰めるかのように善が膝をついた。
いつもと様子が違う。
熱をはらんだ善の瞳に捉えられ、颯斗は思わず後ずさった。ジリジリと追い詰められて、背中が枕越しにヘッドボードに当たる。
「せんぱい……あ、あのっ……」
颯斗は恐る恐る、善の顔を覗き込んだ。
善は深く息を吐きながら少し乱れた前髪をかきあげると、目を細めて颯斗のことを見下ろしている。その姿に、颯斗の背中がゾクリと粟だった。
「せ、あっ、えっ⁈ な、なにをっ?!」
善の手が颯斗のベルトに伸びる。
金具を外され、焦った颯斗は善の手を握った。
「なんで邪魔すんの」
「えっ、だ、って……あっ、やめっ、は、恥ずかしいですっ!」
ファスナーを下ろされ、腰回りを掴まれた。
脱がされそうになったボトムを抑えながら、颯斗は焦って声を上げた。
その様子を善は猫でも揶揄うみたいに笑いながら、ゆっくりと息を吐いた。
「Strip 、手伝ってやるから」
「あっ、せ、せんぱっ……」
コマンドだ。
自らの心臓が耳元で脈打つような不思議な感覚に、颯斗は体をこわばらせた。
恥ずかしい、そう思うのに目の前で恍惚と笑む善の期待に応えたいと、震える指先が衣服を抑えていた力を緩めていく。
颯斗は無意識に腰を上げた。善の手によって衣服が引き下ろされていく。下着までもずらされて、性器が布地から飛び出した。
「勃ってんじゃん」
指摘され、颯斗は恥ずかしさのあまり両手で顔を覆って膝を折った。隠すように体を丸めたが、左腕と右膝を善に掴まれ引っ張られる。
「ちょっとコマンド言っただけで興奮した?」
「み、見ないでくださいっ!」
身を捩るが、善の力の方が強い。
膝を抑えつけられ隠すことができないまま、目の前の善の存在に颯斗の性器はどんどん熱を持って昂っていく。
「それ、やめろよ」
壁際に追い込まれ、額に寄せられた善の唇が動いた。
「あ、な、なにっを」
「そのさ、恥ずかしがんの、やめてくんね?」
「うっ、ご、ごめんなさいっ……」
とはいえ、羞恥心は自分の意思に反して湧き上がるものだ。
誰に見せたこともない体の中心の繊細な部分を暴かれて、颯斗は顔を赤らめたまま俯き加減に視線を泳がせている。
「やめろって」
「あ、ご、ごめっ……でも」
「めっちゃ興奮すっから」
善の手が颯斗の性器に触れ、颯斗は体を跳ね上げた。
慌てて避けるように身を捩るが、体を抱き寄せられ身動きが取れないまま、善の手のひらが陰茎を包み込んでいく。
「そ、そんなとこ触らないでください」
「お前が言ったんだろ? 俺とプレイしたいって」
「あっ……な、んっ……こ、こんなっ……」
善の手が緩やかに上下していく。
親指がいやらしく先端を捏ね、すでに先走りがじくじくと溢れ出していた。
善の表情は焦る颯斗の顔を覗き込みながら、口角を上げている。
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