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11.イヤ?※(2)
颯斗は善の衣服を掴みながら、自分の性器を握り上下する善の手を凝視していた。
先走りを絡めた善の手元がぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら少しずつ速度を早めていく。颯斗の中に燻る熱が徐々に感覚を高めていった。
「ふっ……ぅっ……」
颯斗は息を漏らし、過度な刺激に耐えていた。
自分でも満足に弄ったことのない性器を、こともあろうに善に弄ばれているのだ。
目に映る光景、触れる温度、耳に届く卑猥な音、全てが鋭敏に颯斗を攻め上げ、性器はあっという間に限界間近まで膨れ上がった。
腹の底が強く疼き、自分ではコントロールできない感覚で腰がビクビクと跳ね上がる。
「せ、せんぱい、も……は、離してください……」
「ん? なんで」
「せんぱいの、手……汚れちゃいます」
しかし善は手を止めない。颯斗は善の肩を押した。
「イきそうってこと?」
「んっ……は、はいっ……ぅっ……」
颯斗の答えに、善は嘲笑うかのような息を漏らした。
陰茎を握る手を容赦なく上下させ、また親指で先端を捏ねている。
颯斗は内部からゾクリと込み上げ、その波が下腹部から先端に向かって突き上げるような感覚を覚えた。
それを外部に解き放ちたい。そう思って体を震わせたその瞬間、善が動きを止めて颯斗の先端を強く抑えた。
「ぅっ、ん、くっ……ぁっ、な、なんで」
射精を止められ、颯斗は苦しげに声を絞り出す。
強制的に止められた熱が、絶頂直前の感覚で燻った後、徐々に沈んでいくのがわかる。
「ダメだろ、ちゃんとプレイしなきゃ、意味ないから」
「ぅっ……ぇっ……」
射精できなかった苦しさから、颯斗の目には再び涙が込み上げている。
眉を寄せ荒ぶる呼吸をなんとか整えようとしている颯斗のその姿を見た善は、やはり満足げに笑っている。
「Dom が良いって言うまで、出しちゃだめだろ?」
そう言いながら善は自らのファスナーを下げている。
もうずいぶん前から善の性器は衣服の中で昂っていた。颯斗もそのことに気がついていだが、いざそれが顕にされると、その生々しさにごくりと唾を飲み込んだ。
善がヘッドボードに手を伸ばす。そこに置かれていたアメニティの一つをとって、右手と口で封を開けた。
「ぅっわっ!」
そこから颯斗の性器に直接液体が溢された。
粘性のあるその液体を、善はその手で塗りつけるかのように数度颯斗の性器をしごいた後で、自分の性器にも塗りつけている。
「あ、せ、せんぱいっ、そんなっ……!」
抱き寄せられるように体を寄せられ、下半身を押し当てられた。
お互いの性器が合わさり、薄い皮膚越しに善の熱が伝わってくる。生々しく触れ合う感覚の奥で、ドクドクと脈打っている。
「一緒にやるの、イヤ?」
善の右手が、二人の性器を包みゆっくりと上下し始める。颯斗はやはりその光景を凝視したまま、フルフルと首を横に振った。
「イヤじゃない、です。せんぱいと、い、一緒にしたいっ……!」
上ずる声でそう応え、颯斗は決死の思いで性器を握る善の手に自分の手を重ねた。
額に寄せられた善の口元が、笑うように息を漏らした。
「Good boy 」
そう言われた瞬間、颯斗の性が高まった。
強く扱かれるよりももっと強い刺激が下半身に込み上げて、背中がぶるりと震え、腰を跳ね上げた。
颯斗の先端からドロリと性液が溢れ出す。
「あ、んっ……ぁっあ!」
達した快感からくる声に、我慢しきれなかった自分への落胆が入り混じる。
「あっ、ご、ごめんなさい、せ、せんぱい……」
「あーあ」
「我慢、で、できなくてっ……」
「どーすんのこれ」
善が颯斗の顎を掴んだ。
その手は性液とローションが混ざったものでぐっしょりと汚れている。
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