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32 可愛いやきもち
流石に戸惑った深森に、卯乃はまたまた締め付けてしまった中が痛んで悲鳴を上げた。お互い痛みに呻きながらも、先にも後ろにも進めない。
「ごめん、今までそんなこと言われたことは……」
「今まで!?」
深森ほどの男が過去に相手がいなかったわけはないと思うが、そんなことを言われるとふだん甘やかされている自覚があるだけに、悋気の虫がうずくというものだ。
「……もしかしたら、立て続けに本性を現した弊害かもしれない」
身体のコンディションにもよるが、短い期間に本性への変化を繰り返すと身体の一部が戻りそびれることはままある。確かに言われてみたらさっきの深森の瞳も尋常なく光を反射してキラリとしていた気もするし、明るくなった瞬間は瞳孔も細くなった気もした。
「ごめん、ごめんな。お前と沢山触れ合えたから、興奮しすぎて、制御がきかなかったのかもしれない。こんなこと初めてだ。今抜くから、身体の力抜ける?」
単純な卯乃はその言葉にずきゅんっと撃たれた。
(深森が可愛い)
お腹いっぱいにみちみちと満たされた深森を改めて感じると、ひくひくと蕾の縁が勝手に疼く。動かなければ卯乃が心地よく感じるポイントにも連続的な刺激が与えられるから、卯乃は頭をのけぞらせてその快感に喘ぐ。そのたび深森も低く色っぽい吐息を漏らすのがたまらない。
(オレだけ、特別なんだ。初めてなんだ)
「そのままして」
「え?」
「とくべつなの、嬉しいから」
「ほんとに、お前はっ」
ぐっとさらに中で深森が大きくなったが、卯乃はぐっと拳を握ってそれに耐えた。だが次の瞬間、圧迫感と背中に感じていた重みが薄れる。あやまたず温かく湿った肉球が尻にとんっとつかれてすぐに離れた。
「なあご」
卯乃が気だるげに顔を起こして首を巡らせると、すぐ横に音もなく猫の深森がたち、卯乃の頬に零れた涙を、申し訳なさそうに何度も何度もぴちゃぴちゃと舐めとる。
卯乃は心地よくて、愛おしくて、胸の中がまた温い感情が溢れてきた。
そうしている間に猫はまた立派な若者に変化していく。
(まるで夢を見てるみたいだ)
「痛い思いをさせてごめん」
背後から腕の中にすっぽりと抱き込まれた。こめかみや目元に口づけ、心底すまなそうな声色で謝られる。卯乃の方こそ彼を慰めるように高い鼻に口づけ、厚みのある唇に舌を這わせた。今度は自ら彼の剛直に片手を伸ばした。猛る欲望を握りこみ、先走りと卯乃のそれでしとどに濡れたそれをためらわずしごいた。
「今度はちくちくしてないね、すべすべ。おっきいね」
「くっ……」
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