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番外編 未明の深森 昼下がりの卯乃 10

 雷鳴はどんどん近くなり、昼間とは思えぬほど家の中も暗くなってきた。怪しげな雰囲気に飲まれながら、卯乃はぐりっと硬いものを押し当てられつつ、タンクトップの隙間から胸の先を指の腹でくるくると撫ぜられた。 「ああっ、あっ、駄目だよぉ」 「なんで?」    きゅっと乳首を咎めるように摘まれ、卯乃は吐息を詰めてびくっと前かがみになって身体を震わせた。 「昼間だもん」 「夏休みの、な」 「さまーばけーしょん」    卯乃がなぞる様に呟いたら、深森の動きがぴたっと止まった。高められつつあった身体を急に手放されたような気持になって、卯乃が潤んだ瞳で深森を見上げると、綺麗な目が『ごめんな』と謝ってきた。 「もっと早く俺が卯乃に告白してたら、合宿より前に旅行いったり、俺の地元案内したり、色々計画立てられたのに。お前の事、色んなとこに連れて行きたかった」  ぷるぷる、耳が浮くほど卯乃は頭を振った。 「旅行はこれから何度だっていけるよ。だからね、お願い。お休みの間、ずっとここにいてくれない? 深森のこと、オレが独占しちゃ駄目? それでたまに、ニャ、……猫姿になってくれたら嬉しいんだけど」 「駄目じゃない。俺もしたい。卯乃を全部独占したい。猫の姿になったらまた、ここ」  再びぐりっと押し当てられた深森の欲望はボクサーパンツの下ですでに形を変えつつあった。 「棘生えるぞ? お前また泣いちゃうかもな?」    再び妖しい光を宿した瞳が宝石みたいに輝いて、卯乃は自分にはない色彩に魅せられて綻んだ唇を赤い舌で舐めた。 「いいよ。あれ。しても。深森がくれるなら、なんでも嬉しいもん」  完全にスイッチが入った卯乃は恋人のそれにパンツ越しにも丸く形の良いとわかる尻を押し付ける。明け透けで拙い誘惑でも、練習試合後の気持ちの高ぶりのままここまで駆けつけてきた恋人は簡単に煽られたようだ。 「ああっつ、くそっ」  恋人が余裕をかなぐり捨てた姿に小さなウサギは嫣然と微笑むと、彼の手で下着ごと一気に引き落とされたパンツをお行儀悪く後ろに蹴り上げた。  たんっと脱衣所の壁に貼り付けのような姿勢で手をつかされ、上からさらに逃がさないとばかりに片手で両手首を戒め押し付けられた。 「ここ……」    太い指がふんわり柔い尻に当たる。恋人がためらいがちに触れようとしたのは、昨日散々虐められ、開かれたばかりの蕾の淵だった。寸前のところではこうして理性で卯乃を気遣う恋人が愛おしくてもどかしい。 「ねぇ、まだ柔らかいよね? 深森朝までオレのことずーっと放さなかったもん」   卯乃がわざと先回りして淫猥な台詞を吐いて煽れば、昨晩もそうだったように深森は背後で獣っぽくぐるっと喉を鳴らす。

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