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俺が、親にも兄弟にも、何にでもなるから。俺が守るから。
玄関のドアが開く音で目が覚める。
ブラインドカーテンの隙間から洩れる日が、部屋をぼんやりと照らす。
半身を起こす過程で重力に負けた布団が身体から滑り落ちると、一糸纏わぬ肌は途端に寒さを感知した。
慌てて布団を肩まで引っ張りあげる。
暦の上では暖かな春であるはずの四月も、偏西風に乗ってやって来る移動性高気圧と、その前後に連れ添う低気圧の影響で寒暖差が激しい。
春の気候変化を表す三寒四温の言葉の中なら間違いなく今日は三寒にあたる。
気怠い身体に鞭打って、ついでに布団を身体に巻き付けて引き摺りながら寝室を出る。
寝起きのぼんやりとした頭で、廊下を右に進んで目の前にあるリビングのドアを開ける。
「れん?」
名前を呼びながらリビングを模索するも、キッチンにもソファにもその姿はない。
あれ?どこ。
どこに行ったんだろう。
まぶたを擦りながら、姿の見えない蓮の行方を思考するが、どうにもまだ、頭の中は不鮮明で使い物にならない。
けれど不鮮明な頭の中でも蓮がいないという状況だけは理解出来て、理解が出来た途端、どうしようも無い焦燥と不安が地の底から這い上がってくる。
飲み込まれる。
苦しくて、リビングの真ん中から動けない。
「…怜?起きたんだ。おはよう、なにしてんの」
弾かれたように振り返ると、上裸の蓮が水の滴る艶髪をタオルドライしながら小首を傾げていた。
「蓮!…おかえり、おはよう」
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