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「時刻は朝の6時です。ハローモーニング、朝のニュースは私、中野雅美が担当致します。そして本日のゲストは|F:b《エフ:ビー》、レイジさんです。よろしくお願いします!」
「レイジです、よろしくお願いします」
心無しか、いつもよりもテンションの高いアナウンサーの中野がレイジに話を振る。
「レイジさんは先月に三枚目のシングルアルバム、同時にファースト写真集を発売され、活動がより活発化してきていますが、なにかご自身のモチベーションを維持する方法などあるのでしょうか?」
アナウンサーの質問は、遼がA4紙の束で渡してきた質問予想と返答の1ページ目に乗っていた。
「そうですね…やっぱり支えてくれるマネージャーや事務所、応援してくれるファンの期待に応えたい、という思いがいちばん大きな原動力になっていると思います。」
マネージャーという言葉は嶺二が勝手に付け加えたが、それ以外は原文そのまま口から放った。
良かった、1ページ目に乗ってるわかりやすい質問で。何台も置かれたテレビカメラの後ろでこちらを見ていた遼の顔が赤く染まるのをみて、心の中でほくそ笑む。
前回の失言は、遼に散々絞られて流石の嶺二も懲りていた。今度こそ遼の期待に答えられそうでほっ、と小さく安堵する。しかし、質問はそれだけでは終わらなかった。
「なるほど!売れてもなお初心を忘れないというレイジさんの考え方、とっても素敵です…。そして来月の月9では大人気恋愛漫画である「桜田と足立」の桜田役を演じられるということで、この漫画は大人な恋愛をテーマにされてますが、レイジさんの恋愛観を是非聞かせてください」
一瞬、笑顔のまま時が止まった。質問が立て続けに来るのなんて、この番組の冒頭では見た事がない。
アナウンサーの方を向いたまま視界の端に映る遼が青ざめて間抜けに口を開けていた。が、すぐに気を取り直して76ページ!76ページだよ!と口パクで伝えてくる。
だけどごめん…俺、1ページ目で読む気失せて76ページどころか2ページ以降読んでない…。
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