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第21話

 紬は初めて感じるほどの快感に驚いていた。  というのもこれまでの発情期の時、時雨はここまで紬のことを考えて動いてくれる人ではなかったからだ。それどころか割と乱暴な抱かれ方をしていた気がする。  けれど恭介はどうだ。  自身も熱に浮かされて余裕が無いはずなのに、ちゃんと言葉を交えながら、紬が辛くないかどうか考えながら動いてくれる。  紬はそれだけで幸せで、恭介の優しさを思うだけで甘く達してしまいそうだった。 「っぁ、あ、あ……ゆっくり、気持ちいぃ……!」 「っ、俺も気持ちいいよ」 「ほ、んとぉ……?嬉しい……」  紬がそう言った途端、ブワッとひときわ濃いフェロモンが感じられて、恭介はクラクラしてベッドに片手をつく。  フーッ、フーッと息を吐いて、飛びそうになる理性を必死で繋ぎ止めた。 「ん、おっきく、なった……」 「ぅ……」 「ね、もっと、もっとして」  紬は自ら腰を揺らして誘う。  その瞬間、恭介の理性は崩れた。  紬は腰を掴まれる力が強くなったのに気付いた。  すると突然激しい律動が始まって、声にならない声を上げる。  頭の中も全部ぐちゃぐちゃになりそうで、性器からはトロトロと精液が垂れ流し状態になっている。 「あぁっ、アーッ、イッ、てる、ぁ、イ……ッぁ、お、うぁ、あっ……」  波のように何度も襲ってくる快感に頭がおかしくなりそうで、紬は後ろに手を伸ばし、恭介の太腿をパシッと軽く叩く。  何を勘違いしたのか、恭介はその手を掴むとより律動を激しくして、奥の奥、もう入らないと思っていた壁にグチグチと先端を押し付ける。 「あっ、あぁぁ……っだめ……そこ、ダメ、ぁ、むり、はいら、ない……っ」  撫でるように掻き回すように動かされる腰に紬は意識を飛ばしそうになって、一瞬力がフッと抜けた。  その瞬間、最奥だと思っていたそこが開き、時雨にも暴かれたことのなかったそこに性器が入り込む。  同時に大きな快感に飲まれ、後孔を締め付けた。  脳天を貫くようなそれに体が激しく痙攣する。  恭介は強い締め付けを感じ、堪らず中で射精した。  少しして深く息を吐いた後、性器をズルんと抜く。  ヒクヒクしている紬を仰向けにさせて、そっとキスをすると『もっと』と言うように唇を舐められた。  唇を離して、紬を見下ろす。 「噛むよ」 「……ん」  恭介は紬の頬を撫で、そっと首筋に顔を寄せる。  紬はそれを受け入れるつもりだった。  噛まれると思った時、思い出したのは番を解消した時の苦痛。

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