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第22話

「っあ、ダメ……っ!」 「!」  咄嗟に恭介の胸を押し返し、体を丸める。  あの時のことが鮮明に頭に浮かんで、途端に怖くなった。  恭介は驚きつつも、何となく紬が何を思っているのかが分かり、噛まれないと安心できれば少しは落ち着けるのではと、落ちていた掛け布団をそっと被せて抱きしめる。 「大丈夫、大丈夫だよ。噛まないよ。」 「ぁ、ご、ごめんなさい、ごめん……っ」 「ううん。大丈夫だから落ち着いて」  紬が落ち着くまでこうしていよう。  番に解消された過去を持つ人だから、番になること自体がトラウマになってしまうのは仕方がない。  恭介は紬が布団の中から顔を出すようになるまで待っていた。 ■  ひょこっと顔を出した紬は、番になることを拒否して恭介が怒っていないかが心配だった。  けれど顔を見て見たら、怒るどころか「大丈夫?」と優しく声を掛けてくれる。 「……ごめんなさい、あの……番を解消された時のこと、思い出しちゃって……」 「いいんだよ。それだけ辛いことだったんだから。俺の方こそごめんね、何も考えずに噛もうとして」  紬は慌てて「ちがう」と言うより先に、手で恭介の口を塞いでいた。 「わ、悪くないから、謝らないで」 「ん」 「つ、番になりたくないんじゃ、なくて、急に思い出して怖くなっちゃっただけ……。」 「……」 「貴方はそんなこと、しないって分かってる。」  手を離して、恭介にすり寄る。  厚い胸板に手を置いて、ドキドキしながら鎖骨辺りにカプっと噛み付いた。 「!」 「もう、大丈夫……」  恭介はギンッとやる気が溢れるのを感じた。  紬はというと、最中に止めてしまったので萎えちゃったかな……と恭介の性器に手を伸ばす。 「え……っ!」  恭介は急に自身の性器に触れられて、恥ずかしさと驚きで顔を赤くするが、それは紬も同じだった。  萎えてしまったのではないかと思っていたそれが、しっかり主張していたので。 「あ、あの……えっと……」 「……もう一回、抱いていい……?」 「……ウン」  恥ずかしくて目は合わせられなかった。

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