1 / 9

出会い

休日。 いつものようにゲイバーに向かった。 気が向いたらたまにゲイバーに通ってる。 そこでいいな、て相手がいれば、お持ち帰りでラブホでおセッセしてバイバイ。 彼氏はいない。 約1年くらいいないかな。 この夜は気まぐれで初めてのゲイバー。 数人の客がいたが、どうもタイプはいない。 そんな日もあるよな、とグラスを傾けた。 「こんばんは」 男にしては少し高めな可愛らしい声。 ふと隣を見上げると、そこには俺を見下ろし、声と変わらず可愛らしい顔立ちの小柄で細身の青年が立っていた。 「お隣いいですか?」 「え?あ、はい、どうぞ」 よいしょ、と可愛い独り言を零し、隣に彼は座った。 「僕、ここ初めてで」 「あー、俺もです。なかなかいいお店ですよね」 「ですね」 周りを見渡した後、彼は俺の瞳を見つめたまま微笑んだ。 色白で小さな顔、クリクリした黒目がちな瞳、少しだけ厚めなピンク色の唇...。 どタイプ...! 「僕、高橋慶太、21です」 「慶太くん、か、よろしく。俺は矢野隼也、24で会社員」 「そうなんですか、少し上だ。僕も会社員で、まだ1年目なんですけど」 そう言って屈託ない笑顔。 めちゃくちゃ可愛い、可愛すぎる。 「...隼也さん、この後、なにか予定ありますか?」 「予定、ですか」 俺、心の中でガッツポーズ。 2人で店を出た後はラブホ。 見た目によらず積極的なんだな...。 風呂にそれぞれ浸かった。 ウケは色々と準備があるようで、タチの俺は最初に済ますんだが、この夜は俺が慶太くんの後だった。 慶太くん、どんだけやる気満々なんだ。 でも、淫乱なウケも嫌いじゃない。 いや、淫らな方が燃えるしな。 風呂から上がると慶太くんはバスローブを羽織り脚を組み待っていた。 「おかえり、隼也さん」 可愛らしい慶太くんの笑顔にどき、胸が高まった。 が、ここからは驚きの展開だった。 慶太くんが慣れた様子で俺の肩を引き寄せ、唇を合わせてきて、目を瞑る暇がなかった。 慶太くんの隣に座り、抱き締めてキスして押し倒す、のいつものパターンが覆された瞬間だった。 ...かつれてるんだな、慶太くん、と思いきや、押し倒されたのはまさかの俺だった。

ともだちにシェアしよう!