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第68話 冒険者と男娼(8)

 7ー8 どこにも行けない。  「へっ?」  俺は、クルーゼの突然の告白に驚きを隠せなかった。  てか、クルーゼは、セシーという婚約者がいるじゃないか!  俺がそう言うとクルーゼは、視線をそらした。  「セシーとは、もう別れた。というか俺が捨てられたんだ」  クルーゼは、ぐすっと鼻をすすると俺の方へと近づき跪いた。  「俺は・・お前を愛していることを受け入れられなかった。だから、あんな酷いことをしてしまった。でも・・お前を抱いて始めてわかった」  クルーゼは、俺の手を額にあてた。  「頼む。俺を捨てないでくれ、ルシウス。俺のもとに戻ってきて。お願いだ」  「それは、無理、だ」  俺が答えるとクルーゼは、信じられないという表情で俺を見た。でも、俺の返事は変わらない。  「俺は、今は、ここのオーナーであるアンリの奴隷であり、この娼館の男娼でしかない」  もう、俺は、どこにもいけない。  ここに。  ここしか居場所はない。  「そんなこと」  クルーゼが俺の手を握り絞めた。  「俺がなんとかする。そうだ!お前を俺が買えばいい!」  「そんな簡単なことじゃ、ないんだ」  俺は、クルーゼから視線をそらした。クルーゼは、呆然として俺を見つめていた。  「でも!」  「やめるんだ、クルーゼ」  扉の方を振り向いたクルーゼがぐぅっと呻いた。そこには、王太子殿下が立っていた。  「アンリから急ぎの知らせがきてね。慌ててきたんだが」  王太子殿下は、クルーゼを冷ややかに見下ろした。  「まさか、お前がこんな問題を起こすなんてな、クルーゼ」  「これは・・」  「いいわけは、父上の前でしろ」  そう言うと王太子殿下は、一緒に来ていた近衛たちに命じてクルーゼを連れていかせた。  「すまなかったな、ルシウス」  王太子殿下が俺の方へと近づくとそっと俺の頬に触れた。  「クルーゼに無体を働かれたそうだが、どこも怪我はないか?見せてくれないか?ルシウス」  王太子殿下は、聖属性で 治癒魔法は得意だ。だからか、王太子殿下は、シーツにくるまっている俺の体を暴いて見ようとした。俺は、仕方なくシーツを手放す。  王太子殿下は、俺の体をくまなく見ていく。ねっとりとした視線が熱く感じられて。まるで視線で犯されているような気がして俺は、顔が熱くなった。  「もう、いい。大丈夫、だから」  「まだ、ここ、確認してない」  王太子殿下は、そう言うと俺の足を開かせた。俺は、慌てて両手で股間を隠そうとした。けど、王太子殿下は、その俺の手を掴むと脇にどけた。  「隠さないで」  「でもっ!」  王太子殿下は、俺の奥のすぼまりを覗き込むとふぅっと吐息を漏らした。    

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