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第69話 冒険者と男娼(9)

 7ー9 治療  「ここ、少し赤くなってるね。薬を」  王太子殿下に命じられてすぐにルトが動いた。ルトは、持っていた薬箱から軟膏の入った入れ物を取り出すと王太子殿下に手渡した。王太子殿下は、俺の両足を立てると奥のすぼまりへと指を伸ばした。  「こんなに赤く腫れて。大丈夫、だよ、ルシウス。すぐに治療してあげるからね」  王太子殿下は、軟膏を指で掬いとると俺のそこへと塗り始めた。くちゅくちゅと音をたてて王太子殿下は、俺の後孔の縁に薬を塗っていった。  「んぅっ・・」  「おや、治療で感じてるの?ルシウス」  王太子殿下がふふっと笑ってもう一度軟膏を指にとった。そして、今度は、俺のそこへと指を入れた。  「中にも塗っておいた方がいい」  「あっ・・んっ・・」  俺が身動ぎすると王太子殿下が叱責した。  「じっとして。治療ができないでしょ?」  王太子殿下は、それから朝までかけて俺の体を調べて全身に薬を塗ってくれた。俺は、その治療してくれる王太子殿下の指や手に感じてしまい。その都度、王太子殿下に叱られた。  「ルシウスは、ほんとに堪え性がないね。ここも、治療なのに、こんなにして」  「あっ・・ごめんなさい・・スミルナ殿下・・」  「スミルナでいいよ、ルシウス」  王太子殿下は、俺の尻を薬をつけた手のひらで擦りながら話した。俺は、うつ伏せでシーツを噛んで恥ずかしさに堪えていた。  王太子殿下は、俺が彼のことを名前で呼ぶまでこの甘いお仕置きを続けた。  朝が来る頃には、俺は、王太子殿下のことを名前で呼ぶようになっていた。    「とにかく、薬を塗ったし、治癒魔法もかけた。もう、大丈夫だと思うけど、無理はしないでね、ルシウス」  王太子殿下は、早朝に近衛と共に帰っていった。彼は、ベッドにぐったりと横たわっている俺の額にそっとキスをすると俺の耳元で囁いた。  「君がなんであれ私の気持ちは変わらないよ、ルシウス」  「スミルナ様・・」   「また、来るよ、ルシウス」  スミルナ様は、にこっと微笑んだ。  「今度は、ちゃんと客として、ね」

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