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第85話 されど愛しき日々(5)
9ー5 落としてやる!
次の日の朝。
ルトが俺にそっと耳打ちした。
「なんとかなるかもしれない」
ルトは、俺が昨夜地下に連れていかれている間にこの離宮の使用人と会っていたのだという。その使用人は、離宮の台所で下働きをしている少女でルトと何かと接する機会があったらしい。
「その子が今日、宿下がりするっていうから手紙を届けてもらうことになった」
ルトが俺に微笑んだ。
「なんとか今夜だけ堪えてくれ、ルシウス。そうしたらヤーマン商会が何か手を打ってくれる筈だ」
俺は、ルトに頷いた。
ルトは、俺のために風呂を用意してくれた。いつものように俺は、風呂に入るとその後、ルトに全身に香油を塗り込めてもらった。
そして、すけすけの薄絹をまとってぱんぱん、と頬を打った。
しっかりしろ、俺!
俺は、エイダース王国1の男娼だ!
ゼノンを。
あいつを落としてやる!
夜がきた。
昨夜と同じように騎士達が迎えにきて俺は、地下へと連れていかれた。そこには、今夜は、大きなベッドが用意されていて。俺は、一瞬、立ちすくむ。
「どうした?」
ベッドの脇の椅子に腰かけていたゼノンが立ち上がって俺に近づいてきた。奴は、俺の手を掴むとベッドへと俺を誘導した。
そして、自分は、ベッドに横たわり俺を見上げた。
「さあ、楽しませてもらおうか、エイダース王国の男娼殿」
俺は、深く息を吐くとゆっくりと帯を解き薄い衣を脱いだ。下履きだけの姿になった俺を見てゼノンがひゅっと喉を鳴らした。
「なかなか美しい。さすがは、兄を惑わせるだけのことはあるな」
俺は、ゼノンに微笑みかけると下履きを脱ぎ捨てベッドへとあがった。ゼノンの足の間に身を滑らせると股間に手を伸ばす。
ズボンと一緒に下履きを脱がせるとすでに固くそそり立っている。俺は、それに手を添えると舌を這わせた。れろっと舐めあげるとゼノンが低い呻き声を漏らした。
俺は、ゼノンのものをしゃぶって湿らせると彼の体を跨いでそれを自分の後孔へとあてがい静かに腰を落とした。
怒張が俺の中へと侵入してくる。
その異物感に俺は、吐息を漏らした。
「あぅっ・・はっ・・」
俺は、ゼノンのものを納めると腰を揺らせた。ゼノンは、手を出すことなく俺を冷たい青い瞳で見つめていた。
俺は、呼吸を乱しゼノンの上で動き続けた。じょじょにゼノンの表情から余裕が消えていく。ゼノンは、俺に追い詰められていった。
「ん・・くっ・・なんだ?これは・・吸い付くようだ・・」
「あぁっ・・んっ・・ふっ・・」
俺の中でゼノンが達するのと同時に俺もびゅくっと白濁を放っていった。いったばかりで肩で息をしている俺をベッドへと押し付けゼノンは、くっと顔を歪めた。
「なるほど。こうやって兄を誑かしたのか?お前・・」
「ルシウス、です」
俺が弱々しく微笑むのを見るとゼノンは、狂暴な笑みを浮かべた。
「楽しませてもらうぞ、ルシウス」
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