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そして、同時に「よく分からせないといけないみたいだ」と言って、それぞれ結んでいたリボンを一つにまとめて結び、ぴったりと両手を合わせた状態で碧人の気が済むまで性交をすることとなった。 さっきも耳を塞ごうとした時、そのような状態にされ、両手の自由がなくなった葵のことを執拗に攻め続けた。 その結果、腰が立たなくなった葵人を碧人に介抱されたのは言うまでもない、が。 新が言ったことに真も、「まーもそうして!」と加勢してくる。 二人にそう言われるとそうしてあげたい気持ちは山々だ。今すぐにでも外して、ちゃんと子ども達に触れたいところだが。 ちらり、と夫を見やる、と。 「お母様の手は怪我をしてしまってね。二人には見せられないんだ」 嘘偽りのないというような笑みを見せて、息するように平気で嘘を吐いた。 違う、と言いたかった。でも、言えない。 「けが?」 「おかーさま、おけがしちゃったの?」 眉を下げ、つぶらな瞳が潤んでいる。 ああ、どこまで純粋で可愛い子達なのだろう。 夫の身勝手な理由のせいなのに、そうだと信じきってしまっている。 「⋯⋯ええ、そうなのです。だから、あなた達のことを手袋したままでしか触れることしかできないのです」 「「そーなの⋯⋯」」 心底残念がっている二人に酷く胸が痛んだ。 もう、こんな母親のこと嫌ってもいい。夫婦揃って嘘を吐くなんて最低だ。 それぞれの頬をそっと撫で、慰めていると、「じゃあ!」と揃って声を上げた。 「「いたいのいたいの、とんでけー!!」」 葵の手を両手で持った二人がそう言ってきた。 それはもうとてもいい笑顔で。 その魔法のような言葉は、葵人が二人が怪我をして痛いと泣いた時、せめての慰めとしてよく言ってあげているものだ。 ちゃんと分かって大好きな母親のことを慰めてくれている。 なんて、なんていい子達なのだろう。 その澄み渡る空のように素敵な笑みを見せる二人のことをぎゅうっと抱きしめた。 「⋯⋯ごめんなさい」 こんな言葉を声を震わせて言うのは、双子にとっては何でと不思議がられるだろう。 けれども、言わずにはいられなかった。 しばらく何も言わず抱きしめ続けた葵のことを二人は、頭を撫でてくれていた。 そんな様子を邪な目で見ている者がいることに気づかずに。

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