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勘づいた隣人

津川一家が住むこのマンションは、見てくれは立派だが細かい欠陥がいくつもある。 至るところに監視カメラが設置されているが、非常階段や各階の廊下には無いし、死角も多い。 洗面台のゴムパッキンがろくに接着されていなかったせいでカビが発生したことがあり、母親が管理会社にクレームを入れたこともある。 壁が厚くて防音もしっかりしているが、甲貴の部屋のごく一部だけ、隣人の生活音が聞こえてくる場所があった。 クローゼットの奥の壁だ。 管理会社に問い合わせたところ、水道管などの配置の都合上、ここだけ壁が薄くなっているのだという。 水漏れやひび割れなどの心配は無いが、もし音が気になるようなら新たに工事をするとも言った。 その工事は1ヶ月くらいかかるのだという。 結構な欠陥ではないか、と思ったが、クローゼットの扉を閉めれば音はしっかり遮断できたし、1ヶ月も工事の立ち会いをするのは面倒だったから、その申し出は断っておいた。 それこそ、隣人の男はあまり物音を立てなかったから、何も問題はなかった。 しかし、1月頃から物音や人の声がひっきりなしに聞こえてくるようになった。 どうやら誰かと住むようになったらしく、その誰かが出している音なのだろう。 一度だけ、クローゼットの扉を突き破らんばかりの大きな音が聞こえてきたせいで、隣人の男に抗議したこともある。 抗議した直後には、その男の怒鳴り声と争い合うような音が響いてきた。 それ以降は、足音や人の声が微かに聞こえてくる程度で、特に気になることはなかった。 それも束の間、しばらく経つと、夜中に性交中と思われる喘ぎ声が聞こえてくるようになった。 最初はテレビの音かと思ったが、それにしてはあまりにも生々しい。 週末になると特に酷く、甲貴は常にクローゼットの扉を閉めておくよう、気を揉むことになった。 だから、友人と買い物に行った帰り道、隣人の男と知らない女がラブホテルに入っていくところを見ても、あまり驚かなかった。 ──俺がいつも聞いてるのは、あの女の喘ぎ声か 女はマスクをしていたし、離れた場所にいたので顔は見ていない。 遠巻きに見る限り、背が低くて華奢で、女というよりは少女に近い気がした。 隣人の男と一緒にいるような女というと、グラマラスで肉感的で、水商売でもしてそうな色っぽい女性をイメージしていたので意外に感じた。 ──隣にいるの、まさか未成年じゃないよな?ひょっとしてあのオッサン、家出少女でも囲ってんじゃないか? 甲貴の頭にそんな疑念が浮かんだが、それはあっという間に晴れた。 「管理人さんから聞いたんだけど、お隣の男の人、親戚の子と住むようになったんだって。」 夕食の際、詮索好きな母がそんなことを言ってきた。 「ああ、彼女じゃなかったんだな。就職か進学で引っ越してきたのかな?」 父親がたくあんをかじりながら話した。 ──あのオッサン、親戚の女の子に手を出してたのか。どんな顔してんだろう?可愛かったら、ムカつく!どうして女の子ってあんなお高くとまったヤツを好きになるんだろう? 密かな嫉妬を抱きつつ、甲貴は大口を開けて白米を口に押し込んだ。 2人がラブホテルに入って行ったところを目撃してからというもの、甲貴は週末になるとクローゼットの扉を開けておくようにした。 今は土曜日の23時。 そろそろ聞こえてくるはずだ。 「ああ…ん……」 予想通り、聞こえてきた。 途切れ途切れに聞こえてくる喘ぎ声と、ベッドの軋む音を聞きながら、甲貴は男根を握り、自慰を始めた。 小さな若い体が、あの鼻持ちならない高慢ちきな大男に犯されているのかと思うと腹が立つ反面、自分が犯すところを想像すると興奮が止まらなくなった。 ラブホテルでのプレイを楽しんだ1週間後の夜、貞は新しいことを国彦に仕込んでやろうと考えた。 「なあ、国彦。今夜は口でしてみてくれ。」 スウェットをずらして男根を露わにすると、国彦の眼前で膝立ちしてみせた。 「オレ、フェラやったことないよ。どうすればいいの?」 国彦がきょとんとした顔で見つめてくる。 「俺が教えてやる。歯を立てるなよ。まずは、付け根のところを軽く握るんだ。」 貞は国彦の手を取り、自分の男根まで導いた。 言われるままに、国彦は貞の男根を小さな白い手で包むように握った。 「で、これからどうするの?」 「口を開いてくれ。」 両側頭部に手を添えて頭を支えると、腰を前に進めて、柔らかい唇に先端を押しつける。 最初のうちはこわばっていたが、先端で唇をなぞっていくうち、ゆっくり開いていった。 「咥えてくれ。」 少しの間ためらいつつ、国彦は開いた口の中へ男根をゆっくり招き入れた。 「歯が当たってる。もう少し、大きく口を開いてくれ。」 貞の言葉通りに口をより大きく開けてみせると、男根が国彦の喉の奥へ侵入してくる。 「あ、ふあッ…」 鼻でしか息をできないのは少々しんどいが、決して苦しくはない。 「優しく吸ってみてくれ、優しくな。あまり強く吸うと痛くなるから。」 貞の言うことを聞いて、ちゅっと軽く吸ってみると、男根が口の中で脈打ち、それがはっきり舌に伝わった。 繰り返し吸っていくと、貞の男根はどんどん膨張して硬度を増していく。 「ああ…いいぞ国彦ッ、気持ちがいい……」 ぬめった口に男根を優しく包まれる感触に、貞はため息を漏らした。 喉の奥をノックすると、国彦がうえっと咳き込む。 その最中に、貞の陰嚢を優しく揉みしだいてきた。 行為中、貞が国彦によくやっていることだ。 見よう見まねで、貞に快感を与えようとしているのだろう。 そのいじらしい態度に、ますます愛おしい気持ちが強くなっていく。 「……出すぞ、国彦。」 この上ない快感と満足感を味わいながら、貞は国彦の口内に射精した。 「ねえ、おじちゃん。オレ、もうそろそろ、ひとりで外に出てもいいでしょ?」 口の周りについた精液を拭いながら、国彦が切り出した。 「………そうだな、もう、いいと思う。ただ…帽子はかぶっておけ。マスクもちゃんとするんだぞ。あと、声を聞かれないように誰とも口を聞かないこと。いいな?」 貞はしばらく考えこんでから答えた。 「うん!」 「じゃあ、国彦用の合鍵作っといてやる。」 「ありがとう、おじちゃん。」 国彦が微笑んで、貞に抱きついた。 本音を言えば、まだ外には出したくなかった。 もう少し、時期を待った方がいいのではないかと思っていたし、国彦が逃げない可能性はゼロではない。 一方で、いつまでも軟禁することに抵抗を覚えていたのも事実。 そんなだから、貞は今、不安と同情がない混ぜになった複雑な気持ちでいた。 「ねえ、これからは無理してお昼に帰ってこなくてもいいよ。お仕事大変でしょ?お金を置いていってくれたら何か買って食べるし。これからは夕飯の買い出しもオレがするね。おじちゃん、腰が悪いのに牛乳とか味噌とか、あんな重いもの持ったら余計ひどくなるよ。」 国彦の気遣いは嬉しいが、逃げ出される不安はまだ消えていなかった。 「そうだな…そうするよ。ところで国彦、それはどうした?」 貞は国彦の男根が、ぴんとそそり勃っているのに気づいた。 「おじちゃんのちんちん咥えたら、ここがこんなになっちゃった。ねえ、おじちゃん…シてくれる?」 国彦が柔らかい体をすり寄せて、ねだってくる。 「わかったよ。とことん可愛がってやる。」 あまりに可愛いおねだりをするから、貞の男根もしっかり反応してしまった。

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