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可愛い先輩と後輩①
先輩×後輩/誘い受け/甘エロ
攻→那月/視点
受→春瀬
◇ ◆
「はぁ…っ、先輩…」
「可愛い。顔もここも真っ赤だな」
「あぁ…ッだめっ!」
今俺が甘い声を出させているのはクールな後輩、春瀬。
何故こんなことになったかと言うと、数時間前に遡る。
何でそんな話題になったか忘れたが、同じサークルの男たちで話している時に童貞かそうじゃないかという話になった。
大学からは真面目になったので隠してはいたが、昔は遊んでいたので実際は童貞ではないのだが、みんなから「絶対童貞だよな」なんて言われたらそれに乗って「そうなんだよね」なんてヘラヘラ笑っていた。
その話をちゃっかり聞いていた春瀬が、二人きりになった時に話しかけてきた。
「先輩って本当に童貞なんですか?」
「…何で?」
「いや、なんとなく」
「…うん、そうだよ」
「じゃあ、俺があげてもいいですよ。処女」
ん?どういう意味だ?
俺がポカンとしていると、春瀬は相変わらずクールな瞳で見つめてくる。
「俺先輩が好きです」
「…え?」
「貰ってくれませんか」
「ちょ、待て待て。僕は男だよ」
「そんなの知ってますよ」
「じゃあ何で」
「俺にも分かりません。いつも助けてくれる先輩を見てたらいつの間にか好きになってたんです。だめですか」
いつもクールな春瀬。冗談を言うタイプでないのもわかっている。だが残念ながら俺の恋愛対象は女子だ。
「…気持ちは嬉しいよ。そう言ってくれてありがとう。でも僕は可愛い後輩としか思えないから、気持ちに応えることは出来ない」
「男だから無理って言わないんですね」
「そんな言い方するわけないでしょ」
「…俺、初めては先輩がいいんです。俺の願いを叶えると思って一回だけお願い出来ませんか」
「好きな人が初めてがいいのはよく分かるけど、そんな体だけの関係は良くないと思うよ」
そんなやりとりが続いたが、なかなか折れてくれない。
「…ごめん嘘ついた。本当は童貞じゃないよ。高校の時に、ね」
「わかってました」
「へ?」
「先輩女の子の扱い上手いですもんね。見てたらなんとなく分かります」
「…じゃあこっちは初めてあげれないから不公平でしょ」
「本当は先輩の初めても欲しかったけどこればっかりはどうしようもないので。俺の貰って下さい」
「…本当に一回だけやったとして、僕はそれで終わりだし、春瀬を傷つけることになるよ」
「それでもいいです」
「…んーだからね」
「俺の家、近いんで来て下さい。お願いします」
「でも」
「お願いします」
「…分かった」
そんな長いやり取りを終え、春瀬の家へ行くことになった。シャワー浴びてきますね、と言って一人部屋で待たされることになり、内心バクバクしていた。
高校の時はたくさん経験を積んできた。だがそれは女性専門だったわけで。全くやり方が分からない。
「お待たせしました」
「あ、はい」
「何で敬語なんですか」
「…いや、緊張して」
「先輩でも緊張するんですね」
「するよそりゃ。…あの、シャワー借りていい?」
「はいどうぞ」
近付いてきた春瀬がいい匂いがしたので、ふと自分のことが気になった。タオルを借りてシャワーを浴びた。今から後輩とするなんて。
「シャワーとタオルありがとう」
「いいえ」
「…春瀬は本当に初めてが僕でいいの?上手くないよ」
「上手い下手は特に気にしてないです。先輩がいいから」
いつも表情を変えない春瀬の頬が少し赤くなった気がした。外は雨が降り始め、明るさも適度な雨音もムードが出て丁度いい。俺は覚悟を決めて春瀬を引き寄せた。
「…キスしてほしいです」
「うん、目閉じて」
フニ、と触れるだけのキスをする。どこまで進めていいのか分からない。チラッと細目で春瀬を見ると、真っ赤になって目を固く瞑っていた。その表情に、いつもとのギャップにムラッときてしまった。
敷かれた布団の上へ押し倒すと、今度は深くキスをした。
「ん…っ」
時折漏れる声はやけに色気があった。可愛い大切な後輩の気持ちを踏み躙っていないか気がかりだったが、俺は欲情していた。
「…先輩、好きです…」
「ありがと」
軽率に同じ言葉を返してはいけないと思い、素直にお礼だけ伝えて、春瀬の肌に触れる。
「…っ」
手で肌を優しく撫でながら、ちゅ、と耳へキスをすると小さく体を揺らす。
「春瀬」
「ぁ…ッ耳は、苦手です」
耳まで赤く染めながらそう言うが、完全に感じているように見える。S心をくすぐられ、俺は再度耳を触ることにした。
「…ぁ…」
「感じてるの?」
恥ずかしそうに顔を腕で隠しながらフルフルと体を震わせる姿はなんとも可愛らしかった。
「…顔見せてよ」
春瀬の腕を離させると、真っ赤になって俺を見る。
「このまま手上げてて」
耳への刺激をやめ、首筋から鎖骨、胸の周りを優しく舌で刺激する。手は腰回りを優しく撫で、体に力が入らないようにさせる。
「せんぱ…っ」
「なーに」
「優しくしなくていいですよ」
「何それ。これが俺のやり方だよ」
「!」
「?何でそんなにここ反応させてんの」
「…先輩が、その、素を見せてくれた気がして…嬉しくて」
大学に入ってから、俺は人を傷つけたくなくて、大人しい人を演じてきた。流石に今は余裕もないので、口調も表情も、きっと素になっていたのだろう。嬉しそうに見つめてくる春瀬はかなり可愛かった。
「そりゃあこんなことまでしてるからな。素を見せない方がおかしいだろ。嫌?」
「嫌じゃないです。寧ろ嬉しい」
「良かった。いい子に感じてなよ」
「んん…」
グイッと足を開かせ、しっかり反応している自身を緩く扱いてやると、冒頭に戻ることになる。
「人に触られるの初めて?」
「初めて…っです」
「俺も初めてだから痛かったりしたら言って」
自分のモノしか触ったことがないので強弱がイマイチ分からないが、表情を見ると痛みはなさそうなので強くせずにゆっくりと上下させた。
「…ッ先輩、」
「ん?」
「キス…してほしいです」
「うん」
手は止めないまま軽くキスをすると、春瀬からためらいがちに舌を入れてきたので、それを絡め取り、ゆっくりと口内を探るように舌を動かす。上顎に舌先を這わすとビクンと可愛い動きを見せた。
「ふぁ…っぁ、」
普段からのギャップなのか可愛くて結構クルものがある。俺のモノもしっかりと反応していることに驚いた。それにしても処女をもらうってどういう意味だ。入れるところまでした方がいいのか?お尻に?痛くない?
そんなことを考えていた所為か、動きが止まりかけていると春瀬がキュッと腕を掴んだ。
「…先輩、やっぱり無理なんじゃ」
「んや、違うよ。どこまでしていいのかって悩んでただけ」
「…最後までお願いします。ゴムはちゃんとあるし、解してあるので」
「自分でしたの?」
「…まぁ」
「俺とするために?」
「…っそうですよ」
フィッと顔を背けて頷く姿に顔がにやけてしまう。俺のことを思って一人でしてたのを考えると可愛すぎる。
「ローションとかある?」
「はい」
準備してくれていたローションとゴムを受け取ると、更に驚いた。結構いいやつじゃん。ゴムは減っていなかったので、俺のために買ってくれたのかと思ってしまう。
「足広げて」
「…はい」
「力抜いてて。痛かったらこれ噛んで」
俺の指を春瀬の口元へ持っていく。一人だけに痛い思いをさせたくない。解してくれていると言ってくれたがお尻は絶対痛いだろ。
「…いいです、先輩が痛いから」
「春瀬にだけ痛い思いさせたくないから。きっと慣らしてても痛みはあるでしょ。なるべく痛くないようにはするけど」
ローションを付けた指をゆっくりと春瀬の入口へ当てがい、入れてみた。確かにキツキツではないものの指一本で限界な気がする。
春瀬に差し出した指に軽く痛みが走っているのでそういうことだろう。
入口を解す指の動きを止め、クイッと春瀬の口元にある指を動かして口内を弄る。先程反応した上顎をなぞるとまたピクンと跳ねた。
「ここ好き?」
「ふぅ…」
トロンとした表情でコクンと頷く。口内の指も、解す指も再開していく。奥へ進んでいく指を探るように動かしていると、一箇所に触れた途端、春瀬の体が大きく跳ね、春瀬の口を弄る指に激痛が走った。いってぇ。
「あ、あ…指っごめんなさい」
「いいよ。痛い?大丈夫?」
「わかんな…っびりっときたぁ…」
初めて敬語が抜けてふにゃりとした口調を聞いた。指の痛みなんか消え胸がギュンとなる。
「先輩…」
「ん?」
「もう痛くないから…この手で、その…前も触って下さい」
「…分かった」
口から指を離し、特に血が出たりしていないのを確認すると、ゆっくり自身を握り上下させながら先程見つけた箇所を刺激する。
「ひぁッ…ぁぁ…先輩っ、」
「気持ち良い?」
コクコクと頷き刺激に耐える。俺もあまり余裕がなくて、自身にゴムを装着すると、少し早いが入れようと試みた。
「今から入れるけど本当に後悔はない?」
「ない…!ないです…お願いします」
「痛かったらやめるから言えよ」
「!っ、はい…」
本当に解していただけあって意外にもすんなりと先端を挿入出来た。
痛みを和らげるように春瀬の自身を触ってやると更に奥へ進むことが出来た。
「…はぁっ、先輩、好きです…」
「ありがと」
「先輩も…嘘でもいいから、言って…っひゃあ!?」
グンっと腰を進めると気持ち良いところに当たったのか春瀬の背が反り、締め付けがキツくなった。
反応した部分を突いてやると悲鳴のような高い、綺麗な声が響く。やっば、かわ。
今まで付き合ってきた人、体だけの人、たくさんの人と体を重ねてきた。でもどんな時も余裕たっぷりな自分が居て。求められるままに応じて、何度も怒られたこともあった。
求めてきたのは相手なのに、何でそんなに責められるんだ、なんて思った時期もあった。
でも安易に体を重ねた自分が一番悪くて、嫌いで。大学生になったら絶対やめようと思っていたのに。
何だか表情とかひとつひとつが可愛く思える。今日応じたのはこの子のこと少しは気にかけていたからなのか。
自分でもよく分からないが、今は余裕なんてない。
腰を動かしながら可愛い声を聞き、俺は春瀬に集中した。
「はぁ…ッお願い、先輩…言ってほしい…っ」
「いいから、ちょっと黙って」
「先輩…っ好き…お願い」
快感か、切なさか、もしくは両方か、春瀬の心は分からないが、ポロポロ涙を流す姿に心が締め付けられた。
「あっ、あぁっイク…先輩!」
「イッていいよ」
「やだ…っ先輩が、言って、くれるまで」
「いいからイケって」
「ふぇ…っお願い、します」
あーやばい。可愛い。意地悪してるつもりはなかったけど、この子やばい。語彙力なんてなくなるくらいに。
体を重ねて誰かを愛おしく思う自分は初めてで困惑したけど、認めてもいいのかもしれない。
俺は腰の動きを強くし、春瀬の自身を扱く手も早めると、春瀬は泣きながら欲を吐き出した。俺もその時の締め付けによって春瀬の中で果てた。
「…っぅ、う…」
ポロポロ泣く春瀬。やっぱり傷つくんじゃねーか。気持ちがないセックスなんてそんなもんなんだよ。
「バカ、何泣いてんだよ」
「嘘でも…言ってほしかった、から」
「嘘で言えるわけねーだろ」
「…っ」
顔を背け泣いている春瀬の顎を持ち上げて軽くキスをした。
「…っ」
更にボロボロと泣き出す。
「はぁ…一回しか言わねーからさ」
「え…?」
「す、……」
「す?」
あれ?言えない。
そういや俺今まで好きなんて言ったことあったっけ。改めて過去の自分の最低さに気付く。無性に恥ずかしくなり一旦コホンと咳払いをした。
俺はこの子が好きになった。それを伝えないといけないのに。
「あの、俺のことまだ好き?」
「…はい好きです」
「ありがと」
「…先輩は?」
「…す、」
格好良く言おうとした自分が出てこない。
「………好きだよ」
時間はかかったが、小さくそう囁いて照れ隠しにもう一度キスをした。
「…言うの遅くないですか」
「うるせーな、恥ずかしかったの」
「何で好きになってくれたんですか?」
「…可愛いと思ったから。俺のこと好きなんだって思って春瀬のこと見たら意識するだろ。そしたら…もう、なんか全部可愛く見えてドキドキした」
「…っ」
ぶわっとまだ泣き出してしまった。
「え何で」
「うれ、しくて…」
「春瀬も何で俺が好きなの」
「…俺ずっと冷たいって言われてたんです。怖いって。先輩はそんな俺にも、怖がらずに話しかけてくれて、俺が返しに困って無言でも優しく、話してくれて…それだけなんですが、すっごい嬉しくて、気付いたら好きになってました」
「そっか、ありがと」
「先輩、良かったら俺と」
「あ、ちょっと待って」
春瀬の言葉を止め、優しく頭を撫でた。
「春瀬、俺と付き合って」
「…はい!」
ボロボロ泣いているのは止まらないが、嬉しそうに抱き着いてくれた。
「今日で、もう終わりだと思ってたから、」
「やけに誘ってきたもんな」
「うん…もう気持ちが爆発しそうだったから、」
「ありがと」
「先輩、」
「ん」
「好きです」
「俺も」
そっと唇を重ねて見つめ合った。
気持ちがこもったセックスは初めてで、俺はとても満たされた気持ちになった。
end.
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