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番外【R18】悪戯

 護との連携訓練を始めて二日目、想像以上にタフな内容に、直桜は疲弊していた。いわゆる戦闘に向いた体と思考をしている護に対し、直桜は基礎体力から足りていない。  訓練前半は基礎体力の向上のための体作りを行い、後半は護とコンビネーションを確かめ合う。 (どう考えても、俺が足を引っ張ってるよな)  戦闘向けの訓練とは無縁の生活をしてきたとはいえ、護とは天と地ほどの差があった。それなのに、護は基礎体力作りから付き合ってくれる。 「私もだいぶ体が鈍っていますから」  などと言っていたが、直桜に比べればかなり良い体躯をしている。 (服を着ると隠れるけど、前から締まって程よく筋肉付いた体していたよな)  風呂上がりの護を初めて目撃した時は、別人かと思った。それくらい、日頃から訓練を欠かさないのだろう。  後半のコンビネーションの確認は、忍が護に、清人が直桜に付いて指導してくれている。今日は紗月も参加して、前衛の護の武力向上と称した模擬戦が始まっていた。  すっかりばてた直桜を見兼ねた清人が、直桜の訓練を早めに切り上げてくれたのだ。 「筋肉酷使し過ぎても成果は出ないし、むしろマイナスだ。今日は休憩が直桜の訓練な」  そんなわけで、一人早めに十三階に戻されてしまったわけだが。  シャワーを浴びて、冷蔵庫からドリンクを取り出すと、ソファに腰を下ろす。 「はぁあ……」  珍しく盛大な溜息が無意識に漏れた。  缶を開けて、一気に飲み干す。 「一朝一夕で強くなれるなんて、思ってないけどさぁ」  13課でずっと生きてきた人間と自分を比べること自体が愚かな行為だとは、わかっている。それでも、今の自分を不甲斐ないと思ってしまうのは、どうしようもない。 (もっと早くに始めていれば、なんて後悔は無意味だ。避けてきた過去があるから、今があるんだから)  仮に受け入れていたとしたら、訓練などとは、今以上に程遠い生活だったかもしれない。集落にいた頃に受け入れていたら、今頃は生神様として奉られる人生だった。 (今から追いつくしかない。護にも、清人にも。せめて忍に、認めてもらえるくらいに……)  忍や紗月は、褒めて伸ばす指導だから、言葉がちょっと甘い。できなかったことが出来るようになると、褒めてくれる。  比べて清人は直桜の弱点をガンガン指摘してくるので、厳しいが参考になる。 (足が弱いって言われてるから、走り込みとか増やそうかな。あと、体幹強化も……)  頭がフワフワして、思考が先に進まない。何だか眠くて、視界がぼやけてきた。 (何で急に、顔が、熱い)  手に持った缶をちらりと眺める。炭酸飲料だと思って手に取った飲み物は、コークハイだった。 「これ、紗月の……」  何も考えずに思いっきり飲み干してしまった。酒だと気が付いた途端に、視界がグルグル回り始めた。 「フワフワして、気持ちい……」  疲弊した心身を酒がダメ押しするように、直桜は眠りに堕ちた。 「ダメだよ、白雪。瀬田さん、疲れてるんだよ」 「でもさぁ、疲れてる時はこういうの、マッサージみたいで良いって聞いたよ?」 「俺にならいいけど、瀬田さんはダメだよ。化野さんが怒るよ、きっと」 「大丈夫だって。剣人もしてあげようよ。直桜を癒してあげよ」  遠くで、白雪と剣人の声がする。自分の話をしているようだ。  聞こえているのに、体が動かない。目も開かない。 (なんだろ、夢でもみてるのかな。その割に、リアルな気がする)  体がやけに気持ちいい。  掌と指をマッサージされているのだと、ようやく気が付いた。 「剣人は足ね。ちゃんと指からやるんだよ。あんまり強くすると、直桜が起きちゃうから気を付けてね」 「仕方ないな。ちょっとだけして、やめるからね」  マッサージなら躊躇することもないと思うのだが、剣人は乗り気ではないようだ。 (護に気を遣ってるのかな。マッサージされるくらいなら、怒らないと思うけど)  独占欲強めで溺愛気味な護でも、後輩がマッサージしてくれるのを止めるほど野暮でもないだろう。 (相変わらず、何で懐かれてんのかわかんないけど、今は有難いかも)  筋肉が悲鳴を上げている今の直桜の体には、沁みる。  白雪の指が掌を揉みほぐしながら、手首から腕の根元に向けて手を滑らせる。同じように足の裏をほぐしていた剣人も、足首から足の付け根に向かって優しく手を滑らせた。  その流れがやけに気持ちが良くて、体が震える。 (リンパマッサージされてるだけなのに、何でこんなに感じるんだろ)  皮膚がやけに敏感で、白雪と剣人の手が滑るだけで気持ちがいい。快感が股間に溜まっていくような気持のよさだ。  体を動かそうと思うのに、指すら動かない。 (おかしいな。起きてるのに、動けない。二人の手、気持ち良くて、ぼんやりする)  間違って飲んだ酒が抜けていないせいなのか、思考も鈍い。  白雪が、直桜の指を食んだ。口に含んで舌でゆっくりと舐め挙げる。 「っ!」  思わずびくりと体が震えた。  ほぼ同時に、剣人が足の指を咥え込んだ。舌先で丁寧に指を舐め挙げる。  くすぐったくて、腰が震える。 「ぁ、や……」  ようやく声が出た。しかし、言葉にまではならなくて、まるで喘ぎ声のようになってしまった。 「直桜、気持ちよさそう。もうちょっと、良くしてあげよう」  直桜の指に指を絡めて転がしながら、白雪の舌が直桜の耳を舐め挙げた。耳の輪郭を舐めて、耳たぶを優しく食み、耳の穴を舌先でぐりぐりと犯す。 「……は、ぁん……」  柔らかい快感に、体の力が抜ける。 「いい感じ。剣人もそっち、始めてみてよ」 「わかった。一気にしちゃっていいかな?」 「大丈夫じゃない? 直桜、思ったより感じ易そうだよ」  白雪が話しながら舐めるので、息が掛かって余計に敏感になる。  ビクビクと跳ねる腰に向かい、足先から少しずつ、剣人が舌を這わせる。  大腿の内側をねっとりと舐め挙げられて、力が抜けた。 「瀬田さん、リラックスしてきた。白雪、下着ずらすの手伝って」 「いいよ~。はい、どうぞ」  聞き捨てならない言葉に、動こうとするも、体に力が入らない。 「ぁ、まっ……ん」  言葉を発しようとしても、うまくいかない。  白雪がずっと耳を舐めながら、反対の耳を指でクニクニと刺激し続けるので、頭の中まで快楽で満たされてしまいそうだった。  華奢な細腕とは思えない強力で直桜の体を白雪が軽く持ち挙げる。その隙に、ジャージはおろか、下着まで降ろされた。  顕わになった男根は、すっかり勃っていた。 (待って、何でこんなことになってんの。何で俺、勃って……。いや、何か、おかしいよな?)  明らかに異常な状況だと思うのに、何が異常なのか良くわかない。  剣人が直桜のそそり立った男根を指で撫で上げた。 「んっ……はぁ、ぁ」  カリ裏を撫で、先を突いて、掌で包む。  それだけで、我慢汁が溢れてしまうほど気持ちいい。 「じゃ、上も始めるね~」  白雪の手がジャージの上着を捲り上げる。  すっかり立ってしまった胸の突起の周囲を細い指が何度も撫でる。 (ぁ、やだ、じれったくて、しんどい。いっそ、触ってほしい)  白雪の指も、剣人の指も、決定的な快楽は与えてこないのに、中途半端に気持ちが良くて、もっと欲しくなる。 「はぁ、ぁぁ、も、しんどい……」  頭をソファの背に預けて、息を荒げる。  ようやく、言葉を話せた。 「あ、直桜、起きた。じゃぁ、もうちょっと強めにしてもいいよね」 「なに、言ってんの……ぁ!」  白雪の指が直桜の硬くなった胸の突起を押し上げる。 「こっちもちょっと刺激を強めにしますね」  言うが早いか、剣人が直桜の男根の先を口に咥え込んだ。舌先で全体を舐めあげて、優しく吸い上げる。  それに合わせて、白雪が胸の突起に舌を這わせた。  突然、強い快感が襲ってきて、直桜は体を跳ねさせた。 「二人とも、何してっ! ぁ! ダメ、やめて」  二人を振り払おうと手を伸ばしても、空を切るばかりで届かない。  その間も、白雪と剣人の舌は直桜の敏感な部分を柔らかく舐め挙げる。 「訓練で疲れてるでしょ? 僕らが癒してあげるね。気持ちよくなったら、明日からも頑張れるでしょ?」  白雪が突起を舐めて、甘く食む。反対側の突起を摘まんで、くりくりと弄ばれる。 「瀬田さんは、どこをされるのが好きですか? 先より裏筋の方が気持ちよさそうに腰が浮いてますけど、他にしてほしいところ、ありますか?」  男根の先を舐め挙げ、吸いながら、根元から裏筋を剣人の手で扱かれる。  もう、何をどう突っ込んだからいいのか、わからない。 「……裏、舐められると、すぐ出ちゃう、から」  多分、この状況ではきっと正解ではない返事をしてしまった。ここは「やめなさい」と窘めるべき場面なんだろう。 「じゃ、少しずつしますね」  根元を軽く扱きながら、剣人の舌が裏筋をちろちろと何度も舐める。弱い刺激が繰り返されて、達するまでに至らない快楽が腹に溜まっていく。 「や、それ、気もちくて、ダメ」  下腹部に溜まる疼きに耐えていると、白雪が突起を舐め挙げた。 「ここは? どうされるのが、好き? 指でくにくに捏ねられるの、好き? 舐めるのは?」 「……どっちも、好き」  白雪の指が芯を持った突起を摘まみ上げて、コリコリと動かす。  反対側に舌を這わされて、背中が仰け反った。突起を歯でやんわり噛まれて、背中がゾクゾクする。 「直桜って、感じやすいんだね。もうイっちゃいそう。我慢できる?」  直桜はフルフルと首を振った。 「ダメ、も、出したい」  耐え過ぎたせいで涙目になったまま、言葉が口を吐いて出た。視界が歪んで、二人の表情がわからない。 「え、直桜、かわいい。本当はイかせちゃダメなんだけど、イかせたいなぁ」 「白雪、ダメだよ。さすがにそれは化野さんに怒られるって。イかせるところは化野さんに任せないと」  息が上がって、疼く腹の奥が辛い。 (出したら、護、怒るかな)  剣人の頭に手を置くとするりと滑らせて顔を撫でた。 「もうちょっとだけ、深く、して」  止まってしまった剣人の手がもどかしくて、口を吐いてお願いが出た。  直桜を見上げていた剣人の顔が見る間に真っ赤に染まった。 「口でシても、いいですか。もし出ちゃっても、ちゃんと上手に飲みますから」  直桜の返事は聞かずに、剣人が直桜の男根を根元まで飲み込んだ。  喉の奥に先が当たって、さっきまでとは段違いの気持ちの良さに襲われる。 「ぁ! ダメ、気持ちいっ! ずっとは、ダメ!」  跳ねる腰を押さえつけて、剣人が直桜の男根を口で扱き続ける。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が立ち始めた。 「直桜。こっち向いて、口開けて、舌、出して」  白雪の指に誘われるまま、顔を向けて舌を突き出す。  舌先を弄んでいた白雪の舌が徐々に絡まって、直桜の舌を飲み込む。  同時に両方の胸の突起を指で弄られて、体が跳ねる。 (ダメ、こんなの、イっちゃうっ。我慢できない。二人とも、止めてくれない)  口を塞がれているから、話せない。  どうしていいかわからなくて、剣人の頭に手を置いて、白雪の背に腕を回す。 「瀬田さん、可愛い。俺、普段はネコだけど、瀬田さんだったら抱きたいかも」  剣人が直桜の男根を咥えたまま、うっとりした顔で上目遣いに見上げる。 「僕はバリタチだから、直桜のこと抱いてみたいなぁ。後ろも解してあげようか? 欲しくなったら、僕の、あげるよ」  首筋を舐め挙げながら、白雪の指が直桜の後ろの口を撫で上げた。 「んっ! ダメ、それ以上は、ダメ、だからぁ」  涙目の直桜を眺めていた白雪がうっとりと唇を食む。 「そのダメって、シてって意味? 本当はちょっと気持ちよくなってもらうだけの性感マッサージのつもりだったんだけど、直桜が欲しいなら、これ以上してもいいよ?」 「直桜のダメは本当にダメです。それ以上するなら、殺しますよ」  直桜の後ろの口に添えた白雪の手を、護の腕が思い切り掴み上げた。 「え~? 化野、何時からいたの? まさか、ずっと見てたの?」 「そんなわけないでしょう。たった今、戻ったんですよ。君たちは、私の恋人に何をしているんですか?」  ふざける白雪とは裏腹に、護の目は本気だ。  直桜の男根を咥えていた剣人が口を抜く。最後もちゃんとカリ裏を舐めて、口を窄めてちゅっと吸い上げた。 「ぅんっ」  抜かれる時の刺激で、思わず声が漏れてしまった。 「瀬田さん、かわいい」  ぽそりと呟いた剣人に、護の視線が向いた。護に本気で睨みつけられた剣人が土下座する勢いで謝罪の意を示している。 「すみません、化野さん。連日の訓練で疲れているだろうからって、白雪と二人で何かしてあげたくて。瀬田さんはこういう訓練に慣れていないと聞いたので、気持ちよくなれるのがいいかなと」  気まずそうに話す剣人に続けて、白雪が悪びれもなく続ける。 「僕たち男だし、孕む心配もないんだから、気持ちいいなら良いよね。さすがに化野に配慮して、挿入まではするつもりなかったよ」 「最後に直桜を誘っていましたよね」  護に睨みつけられて、流石の白雪も仰け反った。 「まぁ、直桜が欲しがったら、シてもいいかなって。僕は前から直桜を抱いてみたかったしぃ」  護が白雪の体を三回くらい突き飛ばして、直桜から離した。 「今後、直桜に近付くのは禁止です。一緒の仕事は絶対に受けないので、そのつもりで」 「えぇ! いやだよ、そんなの、詰まんない。もう手は出さないから、許してよ」  ふんと顔を背けて、護が直桜に歩み寄る。   「直桜、大丈夫ですか?」  顔を覗き込もうとする護の服を、ぎゅっと掴む。 「ダメ、も、無理。護、……イか、せて」  腹の中に溜まった疼きが、今にも溢れ出しそうだ。下半身に力が入って、足が震える。  涙目の顔を見詰めていた護が、唐突に直桜を抱き上げた。そのまま自室へと向かう。 「そうそう、二人とも紗月さんが呼んでいましたよ。久しぶりに手合わせするから覚悟してくるように、だそうです。早く行きなさい」  振り返った護の顔を眺めていた白雪と剣人の顔色が変わった。何かを言うでもなく、脱兎の如く部屋を出て行った。 【補足説明】 白雪と剣人は、全く悪気無く、むしろ直桜を癒してあげたくて性感マッサージしてあげた感じです。直桜みたいに感じ易いとただ辛いだけかもしれないけど。この二人は育った環境が特殊だったので、性に関しては割とオープンなフリーセックス派です。だから、白雪と剣人は恋人じゃないけど、セックスはたまにしてます。二人の生い立ちも性に関する嗜好も護は良く知っています。だから、あの程度の怒りで済んだわけで、楓みたいに直桜に好意がある上でレイプしてたらその場で殺してましたね。もし、白雪が直桜に突っ込んでたら殺されないまでも、酷いことになっていたでしょう、きっと。

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