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番外編 まったり旅行

「気持ち良い~…」 絶景を見ながら露天風呂に入る至福の時。 響くんの隣で肩までしっかりと温泉に浸かりながら、俺はそう呟いた。 「景色素敵だね。部屋に露天風呂ついてるとゆっくり出来るから良いもんだね」 響くんもまったりとしながら同じ景色を眺めてそう言ってくれた。 ショーの賞金は凄まじい額で、もう当分働かなくてもやっていける位にはなった。お互い散財するタイプではないが、旅行だけは行きたいと話し合い、今日は少しお高めの宿に泊まる事にした。 夕食バイキング付きで、部屋には露天風呂。もう最高すぎる。 隣に居る響くんの肩にもたれかかりながら温泉の中で手を繋ぐと、優しく握り返してくれた。 「…幸せ」 「俺も幸せ。昼間に行ったテーマパークも面白かったね」 「それなー!響くん絶叫系好きなの意外だった!」 「詩は基本何でも好きだよね。お化け屋敷とかも心強かった」 「響くんもビビってなかったじゃん」 「突然出て来たらビックリするよ」 「全く動じてなかったじゃん」 手を繋ぎながら昼間に行ったテーマパークの事について話し合いながら、景色を眺めてしばしの至福の時間を満喫した。 ◇ ◆ 「ふぅー!ご飯も最高だった!」 お風呂から上がり、バイキングも終えた俺は部屋のベッドにダイブした。今回選んだ部屋は洋室で、ベッドタイプ。和室もいいが、やっぱり寝慣れたベッドタイプの方がお互い好きだった。 「…ね、お腹いっぱい食べたけど夜のデザートはいかがなさいます?」 「…あとでね」 浴衣をはだけさせ思いっきり誘ってみると、相変わらずの塩対応をかまされた。 「ちぇ。帯を解いてあ~れ~とかしないの?」 「いつの時代だよ」 響くんは冷たく突っ込むと、景色が見える大きな窓へ移動した。窓の近くには小さな一人掛けソファが置かれており、ゆっくりと景色を満喫出来るようになっている。 「…待って待って俺も見る。上に座っていい?」 「いいよ。おいで」 ソファの上に座る響くんの上に対面で座り、ぎゅっとしがみついた。 「何でこっち向きなの。景色は?」 「景色は満喫した。次は俺を満喫して」 「…もう。お腹いっぱいなんだけど」 頬に手を添えて優しくキスをすると、響くんも目を閉じて返してくれた。朝から出かけているが、やっとゆっくりと触れる事が出来る。 「ん……美味しい、響くん。食べたいくらい」 「もう満腹でしょ」 ゆっくりと舌を絡めながらも、どんどんとそういうムードに変化していくと、先程少しはだけさせた浴衣の中に手が入って来た。 優しい手つきで肌を撫でられ、既にツンと主張している胸の突起に手が伸びてきた。 「ん…っ」 舌を絡めながら触れられるとピクンと小さく体が揺れた。 「可愛い。もう勃ってるじゃん」 「…だって、ずっと期待してたし。ベッド行こうよ」 「うん」 ヒョイっとお姫様抱っこで俺をベッドまで運んで… くれるはずもなく、お互い歩いてベッドに向かうと、トサリと押し倒された。 「あ~れ~しないの?」 「…しないよ」 帯を外され、既に勃ち上がっているモノを晒されると、下着の上から優しく撫でられた。 「あ…っ」 「もうトロトロ。エッチだね」 先端から溢れる先走りを下着の上から確認しながらクルクルと擦られると自然に体が跳ねる。 「んぅ……気持ち良い…脱がして…」 「うん」 下着を取り払われると、響くんは俺の足の間に顔を近づけた。 「フェラしてくれるの?」 「え?しないよ」 「いやそこはしろよ!」 「またいつかね。今はお腹いっぱいだから」 俺の先走りを利用して後孔に指を進める響くん。いつもならもっと前戯があるのに、今日は全くない。 「…今日は早いね?前戯面倒なの?」 「ごめん、そう捉えた?……俺だって我慢出来ないよ。ずっと詩可愛いし」 「……っそれならもっと反応に出してほしいな」 珍しく余裕のない響くんにときめきながら、俺も我慢出来ないので自ら足を開いた。 「…もしかしたらこれからもこういう進め方するかもしれないけど、余裕がないだけで前戯が面倒とかじゃないからね」 ゆっくりと指で慣らした後、ゴムを装着した響くんのモノが挿入された。 「…すぐ入るね」 「毎日あんたの事思ってトレーニングしてますんで」 響くんの事を考えて慣らしている俺の日課がこういう時に役に立つとは。 「何それ…いつでも準備オッケーなの?」 「もちろん。だからいつでも繋がれるよ、嬉しいだろ」 「…うん、嬉しい」 響くんの形を覚えた所でゆっくりと動き出してくれた。最初から俺の好きな所に当ててくれるので、痛みなんて一切感じた事がない。 首に手を回して抱き付くと、響くんもぎゅっと抱き締めてくれた。 「はぁ…っ、」 「今日は声我慢してね」 「隣、ファミリーだったもんな。…声出ない様にずっとキスしててよ」 「うん」 余裕ない表情の響くんにキスをされながら、俺は中の動きに幸せを感じながら夢中になった。 「好きだよ、朝日」 「俺も大好き…っ、日向くん…っ」 「ありがとう」 「んん…イ、きそう…」 「一緒にイこうか」 今までで一番ノーマルなプレイだが、お互い最短記録じゃないかというレベルで絶頂を迎えた。 ◇ ◆ 「ふぁぁあーー!!!旅行最高だった!また休み合わせて行こう!」 あの後は旅の疲れでぐっすりと眠り、翌日も色んな所を観光してやっと二人の自宅へ帰ってきた。 「楽しかった。ありがとね」 「めちゃくちゃ楽しかったけど家に着くと一気に力抜けたぁぁ」 「ん、そうだね。すごい落ち着く」 荷物を置いて二人でクタリとソファに倒れ込んだ。 「いっぱい買い物も出来たし嬉しかった。お揃いの物欲しかったなぁ~次は嫌がらずに買ってよー!」 「……」 お土産を探している時に何度かおねだりしてみたが、響くんがオッケーしてくれる事はなく、唯一それだけが心残り。 「……これ、あげる」 「何これ?」 渡されたのは小さな包み紙。可愛らしくラッピングされた紙を開いてみると、そこには俺が可愛い!と言って欲しがった小さめのピアスが入っていた。 「あ!これ俺が欲しがってたやつじゃん。くれんの?ありがとう!!」 いつの間に買ってたんだろうと思いながら喜んでいると、響くんも似た様な物を取り出した。 「ちょっとだけ色違いだけど俺も買った。…お揃い」 「う、うわぁぁぁ……なんか……でもグッときた!慣れてない感じが伝わって来て可愛い!」 「めちゃくちゃバカにしてんじゃん」 「いやだって今時しないってこんな事!」 「だって初めてだしこんな事したの。経験豊富な詩と違って今時とか分かんないし。嫌なら返して」 「嫌じゃない!めちゃくちゃ嬉しい!!ありがとう!」 可愛らしい一面を見た所で、初めてサプライズの喜びを知った。 洗面台の鏡を見てつけた小さなピアス。今まで付けた中で一番シンプルだけど、とても輝いて見える。 「見て見て、すげー可愛い!」 「詩はいつでも可愛いよ」 「あまー!甘々!響くんにも付ける!」 「もうお風呂入るからまた明日付けるよ」 「折角だし今付けて写真撮ろうよ!俺待受にする!」 「絶対やだ」 「ケチー。でも本当楽しかった。また行こうね」 「うん、色んな所に行こう」 これからもずっと、仲良く出来ますように。 end.

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