7 / 7

拮抗薬

逃げられない。 好きに抱かれる。 今日はずっとベットにさえ連れて行ってもらえないで、その書斎で抱かれてた。 机やソファで。 もう無理と言っても、された。 許してと言っても許してもらえない。 イカされ続けていた。 あの人の玩具。 好きなように使われるだけの。 初めてされたのは、高校の時。 ここでおもちゃにされた。 後ろの穴で何度もイケる、そういう身体に躾られ、離れられなくされてしまった。 後ろでイケるようになるまでされた最初の時を忘れない。 そう出来るようになるまで、本当に許して貰えなかったのだ。 自分の方から求めた。 その自覚はある。 そう、綺麗な若い男の子達がその部屋で狂うのは知っていた。 オレに関心を示さないその人が、そこで綺麗な男の子達を狂乱させていたのだ。 こっそり見てた。 ドアの隙間から。 あのソファで男の子達は貫かれ鳴いていた。 あの机で。 あの床で。 突かれて泣き叫び 揺すられ喘ぎ 腰を使って穴の中で淫らに回され痙攣していた。 あの人は笑ってて楽しそうで。 そんな顔をするんだ、と思った。 あの人は。 若い男を好んだ。 すぐに捨てられるからだ。 弄び、おもちゃにして楽しみ。 手放す。 若ければ、ずぐに他が見つけられるだろ、そういう理由らしい。 セックス無しでは生きられない身体にしたからこそ。 でも、たまには若くない、でも美しい男も抱いてる。 その時は若い子とする時より、長くて終わらないような抱き方をしていた。 戻ってきた男達なのだとわかった。 若かったあの人と、若かったその男達。 そして手放したか離れたか。 そういう関係性。 抱かれる男達は若い子達より、泣きながら狂う。 もう一度もう一度だけと、泣き叫びながら。 そして。 若い子達とは違って二度と戻って来ない。 「あの人達はもう来ないのか」 と聞くと倫理のないあの人は教えてくれた。 「アイツらにはもう立場があるからな。だからこそ面白いんだが」 と笑ってた。 ある日、とても美しい、あの人よりは年下ではあっても若くはない男が、その日あの書斎にやってきた。 長い付き合いなのはわかる。 そういう口調で懐かしそうに話していた。 そう。 隙間から見ていた。 「久しぶり」と言った。 あの人もそう答えた。 そしてあの人は泣いてせがまれた。 「もう一度だけ。最後に。あの頃みたいに」 若くはなく美しい男たちはいつもそういう。 そしてあの人はそれを聞いてやるのも知っている。 「じゃあ自分で脱いで。何もかもあの頃みたいに」 あの人が囁けば。 高価な服を着た、美しい、恐らく社会的地位もある男は、若いあの人を欲しがるだけの若者達と同じようにそうする。 あの人に自分からしゃぶりつき、舐めて。 自分で後ろを解して。 犯して欲しいだけの肉になる。 あの人はそれ見て笑った。 「これがずっとほしかったんだろ?」 頭を撫でて囁けば、あの人のを喉まで咥えこんだ、上品で美しい男が涙を流す。 そう。 ずっとほしかったのだ。 忘れられないでずっと過ごしてきたのだ。 それが分かった。 「してやるよ。昔みたいに」 あの人の声は珍しく優しくて。 盗み聞きしながら、その男と同じように震えた。 男はソファの上で。 机の上で。 床に這いつくばりながら。 あの人に何度も犯された。 そんな風に犯されるのは似つかわしくない、美しい男。 明らかにこの社会で自分は何者かであることを示して見せた、そういう男を、あの人はおもちゃみたいに扱った。 「嫁以外ともしてたんだろ?お前が我慢出来るはずが無い。嫁より遥かにいやらしい身体のくせに」 あの人が笑った。 後ろの穴で存分に動きながら。 そこが性器に変えられているのは誰にでもわかる。 そうしたのも誰なのかも。 すすり泣く声が聞こえたから。 そう、だ、と分かった。 「後ろでめちゃくちゃに犯され、乳首をたっぷり可愛がってもらわないと満足できないもんな・・・女に挿れるより、ここでないと楽しめないだろ?妻としている時も後ろを誰かに犯して、ここで出して欲しかったんだろ?女の中でイクよりもそっちが好きだろう?おまえは?」 後ろを犯されながら、胸を齧られ、囁かれ。 そこで出されていた。 美しい男は何度も痙攣していた。 美しい男が。 女のように喘ぐ。 女を抱くのも良く似合う、支配者側の人間らしい美しい男が、淫らな女のように後ろを犯されて狂っていた。 もちろん、あの人は一度出したくらいでは終わらない。 中まで濡れて具合が良くなったと、笑いながら、もっともっと、美しい男のその中を貪っていく。 「妻に隠れて男と寝ても足りなかったか?最近もここを使い込んでるみたいだが?」 後ろを存分に使いながら、あの人が言う。 他の男の痕跡をそこで見つけて、躾け直しているのだ。 美しい男は涙を流したから。 そうだとわかった。 足りなかったのだと。 他の誰かでは。 だから。 きてしまった。 欲しい ほしいいいっ 男はそれでも泣いてせがんだ。 あの人は何を欲しがっているのかは良く分かっていた。 美しい男は1番奥で出し入れされ、それに狂う。 そこでそうされたかった、この人にずっとされたかったことを隠さない。 「可哀想に。ずっとずっと欲しかったんだな」 優しい声。 すすり泣く声。 奥まで犯され、胸をあの人に存分に齧られた。 それが1番好きなのだと分かった。 「こんな胸して、女を抱いてるなんてな?嫁には頼めないだろ?ここを可愛がって欲しいなんて。お前は言えない。そういう男だよな。優しい愛人にも言えないんだろ?痛くされる方が好きな変態だって」 あの人はそこを舐め、吸い、また噛んだ。 そこがあの人によって開発されたのは明白だった。 血がにじむまで噛まれて、男は射精する。 ひいっ ひいいいっ 気持ちいい いいっ 綺麗で上品で、明らかに地位ある男が欲望を剥き出しにして、雌になって狂っていた。 乱れ叫び、痙攣し、淫らな肉になっていた。 「良いだろ。もっとしてやるよ」 低い声は甘かった。 そして容赦なく責める音。 濡れた音。 打ち付けられる音。 波打つ身体。 押さえつけ、貫く身体。 泣いて泣いて。 無様に叫ぶ美しい男。 笑ってその男を犯し続けるあの人。 ずっとずっとずっと。 そうされたかったのだと分かってしまう。 「オレで無いとダメなんだろ?・・・可哀想にな。こんな風にオナホみたいに扱われて、こんな風に使われないとダメなんだろ?」 その声は楽しそうだった。 「言えよ。言えばもっと可愛がってやる」 本当に楽しそうで。 「ダメだったぁ・・・・ダメだったん・・・だぁ・・・」 美しい男が泣いて叫ぶ。 その声には絶望がある。 そして今そうされることの悦びが。 だからあの人は好き勝手に美しい男を使った。 頭を押さえつけ、突き上げ、好きなところを好きなように捏ねた。 楽しめるところで腰を回し、何度も何度も貫いた。 痙攣が止まらない美しい男を、あの人は道具にした。 単なる欲望の道具に。 それに美しい男は歓喜する。 もっとしてぇ もっとおおおお 美しい男が狂った。 それは鳥肌が立つほど淫靡だった。 涼しい、切れるような。 地位も立場もある、若くはない美しい男。 それが単なる雌になる。 こうなりたくなくて、この人から離れたのだろう。 この人のおもちゃになりたくなくて。 でも。 長く離れていたのに。 やはり、戻ってきてしまった。 「優しい男に抱かれたか?可愛い年下の男と優しいセックスをしたか?」 あの人が囁く。 容赦なく突き上げながら。 した 沢山したぁ いっぱいしたぁ 美しい男は泣きながらいう。 妻に隠れて愛人をつくり、それでも足りなかったのだ。 ずっと。 あの人は嘲笑うかのように腰を使った。 残酷でいやらしいその動きに、美しい男は声を上げてまた達する。 止まらない絶頂。 恐らく優秀なはずの頭脳ももう、ゼリーになっているだろう。 誇り高さはもうとっくに奪われている。 「お前をオナホに出来るようなヤツがオレ以外にいるわけが無い、だろ?」 あの人はそう言って、美しい人の頭を押さえつけ、1番奥に射精した。 ああっ 欲しいほしい 美しい男はそれを喜んだ。 ずっとこの人に中に出されたかったから。 何度でも、そうして欲しい。 「お前は。オナホみたいに扱われて。何度も中に出されないとダメな可哀想な男だからな・・・そうしてくれないんだろ。オレ以外は」 あの人は優しく言った。 美しい男が嗚咽した。 「綺麗で優秀で。誇り高くて誰の前でもそうでしか居られない。・・・セックスの時でさえ。可哀想なお前。いくらでも雌にしてやるよ。・・・オレだけはな」 あの人は言った。 そして。 その通りにした。 美しい男はあの人にされるがまま。 嬲られ、それを喜んだ。 あの人に喉を犯され飲まされた。 あの人の足の指まで舐めた。 美しい男。 綺麗な男。 全てを投げ捨て、あの人の玩具になっていた。 それを見て。 オレも自慰をしていた。 あの人も。 美しい男も。 怖くて、いやらしすぎた。 「バカだなぁ。戻ってきて。もう戻れないのはお前だぞ」 あの人は笑った。 楽しそうだった。 欲しがる美しい男をあの人は犯し続けてた。 その身体はあの人のためのものだった いやらしい穴も齧られることを喜ぶ乳首も。 舌も唇も。 何もかもが、あの人を求めるあの人の為だけにある肉だった。 美しい男は泣いていた。 美しい目から涙を流し続けていた。 これが終わるのが。 怖かったのだと思う。 そして。 そして。 あの人を身体の外にも中にも刻まれて、服だけは何とか纏った美しい男はヨロヨロと部屋から出ていった。 中にたっぷり出されたままで。 部屋を出ていく、その虚ろな目をこっそり影から見ていた。 あの人は。 見送りさえしなかった。 美しい男はあの人と同じ学者だったらしく、その数日後自殺した記事が出た。 写真でわかった。 写真でも美しい男だった。 そして、妻子もいる、高名な学者だった。 あの人に抱かれて泣き叫び。 その数日後自ら命を断った。 恐らく全身にその淫らな跡を残したままで。 それは記事にはなってない。 でも事実だ。 あの人はあの肌に歯を立て、吸い、その印を存分につけたのだから。 美しい男の妻や、その愛人にもこの身体の本当の所有者を教えるために。 ・・・だから警察が来たのだろう。 話を聞く必要があったのだ。 あの人はつまらなそうに相手していた。 本当につまらなかったのだとおもう。 あの人にはスキャンダルなど大したことはない。 いつでも揉み消せるが、けせないとしても問題ない。 別に学者である必要すらない。 あの人には何だって意味はない。 美しい男が死んだことは大して気に止めていなかった。 そうなると分かっていたのだと思う。 死んだ美しい男は。 もう一度だけではすまないことが分かったのだと思う。 この人からもう逃げられないことが。 また抱かれたくなることが。 だからこの人から逃げるために死んだのだ。 わかる わかる。 でも。 でも。 そして。 俺も選んだ。 その後。 まだ高校生だったけど。 「なぜこの部屋に来た?どうしたい?」 あの人がオレに言う。 普段オレを気にも止めないくせに。 来た理由も分かってるくせに。 「あんたがここで他の人にしてることをして欲しい」 オレは言う。 あの人はおかしそうに笑った。 あんたには何もかもが笑い事だ。 「いいのか?」 あの人は言う。 あの人は。 そうやって試す。 もう捕まえて逃がさないくせに。 自分で入ってきたことが大切なのだあの人には。 「オレを犯して父さん」 オレは端的に言った。 あの人は笑った。 そしてソファを指さした。 オレは自分で服を脱ぎ、父親が自分にのしかかるのを待った。 あの人は。 出会った人間の倫理感を壊してしまう。 みんな。 この人に好きにされたいと思ってしまう。 「望む通りにしてやろう」 あの人が言った。 オレはあの綺麗な男がされたみたいに。 この人のおもちゃになりたかった。 そして。 それは叶えられた。 あの人の指が。 父親の指がこの身体に触れた時歓喜した。 ずっとドアの隙間から見てきたことをされて喜んだ。 この人はオレが見ていたことだって知っていた。 後ろはとっくに自分の手で、性器に変えられていた。 ずっと。 父親がここでしているのを見ながらそこで慰めてきたから。 あの人はそれを知っていて、それを今その指でゆっくり確かめていた。 その指に狂う。 されたかったこと。 ずっとずっと。 あの人の大きなモノが入ってきた時、嬉しすぎて泣いてしまった。 これがずっと欲しかったから。 あの人は笑った。 楽しそうに。 「おもちゃにされたかったんだろ?」 そう何度も囁かれて、貫かれて、喘がされて。 その通りだと思った。 倫理観が。 この人の前では壊される。 壊れてしまう。 ずっとずっとずっと 犯されたかった。 この人は。 倫理を壊す毒薬だ。 だから。 だからこそ。 たまらなかった。 そして。 今もずっと。 父親のおもちゃだ。 それに喜んでしまう。 逃げるにはあの美しい男みたいに死ぬしかない 拮抗薬 終わり

ともだちにシェアしよう!