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試薬

ボロボロになったヤツを見つけて可愛がるのが好き。 だから好きだった男に手酷く振られたソイツを見つけて 可愛がった。 捨てた男の名前を呼んで泣く身体を、抱くことから始めた。 「悲しいねぇ」 優しく囁いてやるのだ。 切なく泣く身体を優しく服を脱がせて、全身にキスをして。 相手の男の痕跡をみつける。 その男がつけた跡を辿る。 その男にされたことをされたなら、感じて震えるからすぐわかる。 最初はトレースだ。 その身体が知ってることをしてやる。 ソイツはお前の乳首が好きだったんだろ? ここを弄られて楽しまれていたんだろ? そうかソイツはここを噛むのが好きだったんだな? そうしてやる。 散々弄られ発達した乳首は、齧りやすくて甘かった。 噛まれる度に男の名前を呼んでその子は泣き狂う。 そして挿れて欲しいと、泣いたらそうしてやり、どういう風にそこを使われていたかもトレースする。 そこがどんな風にその男に使われてきたかを。 後ろから激しく突くのが好きだったのだ、と分かればそうしてやる。 その男がしたように。 ソイツが好んだ場所を突き、ソイツがしたように存分に中を擦り上げた。 前なんか触ってやらない。 ひたすら突き上げ、乱暴に、そこで泣き叫んでもそれを止めないで。 随分手酷く抱かれてたのがわかる、が、今は慣れたそれをしてやる。 ソイツは乱暴に奥まで激しく貫いたんだろ? こんな風に。 その動きに慣れているのがわかる。 それで感じるようにさせられたのが。 その身体は、そんな行為に泣いて喜ぶ。 突く度に酷い男の名前を呼ぶ。 酷く抱かれても愛していた男の名前を。 呼ぶ度に穴が締まりほしがる。 その感触を存分に楽しんだ。 泣いて酷い男をほしがる。 二度と手に入らないものをほしがる。 手酷く捨てられて、でも、二度とその男に戻るほどのバカでは無いからこそ、ほしがる。 そこを楽しむ。 忘れるために必死になる身体というのは。 とても楽しい。 居なくなった男としてセックスするのも割りといい。 全身で縋り付き欲しがってくるのは最高だ。 男の名前を呼びながら、自分からしゃぶりつき、その男にとことんそれを教え込まされたのがんかる舌や唇、喉の感触までも楽しんだ。 そうされていたのが分かったから、頭を押さえつけ乱暴に喉を犯すことを喜んでいた。 苦しいのが。 相手が喜ぶと思っているのだ。 酷い男にとことん使われてきたのだ。 それをセックスだと思ってる。 それはそれで。 楽しんだ。 終わった後は、その男とは違って優しく抱きしめてやった。 そうすれば。 傷が癒えるまでは自分から抱いてくれ、とやってくるようになる。 ここからが楽しい。 そして。 少しづつ変えていく。 酷くして欲しい、と頼まれたなら、激しくはしてやる。 でも、次第にじっくり優しく抱いてやる。 その男がしなかっただろうことを少しづつ教える。 されたことのない行為に驚いて、逃げようとして、でも。 優しく感じさせられたなら、それにハマって狂うのが楽しい。 後ろを舐められたことがなかったらしく、舐めてやれば逃げようとした。 でも。 次第に舌に感じてそこでイク。 それに驚くのが可愛かった。 咥えさせるだけでしてやらない男っては、何も分かっていないと思う。 ちゃんと舐めてやり、口でもしてやる。 ろくに前を触られたこともなかったのがわかる。 酷い男に女代わりに使われてきたからこそ、そうしてやると、戸惑いそして、泣いて喜ぶ。 ちゃんと可愛がれば、身体がどれほど欲しがるか。 そうなった時の身体は全てを求めて絡みつき、たまらなく気持ちいい穴になるのに。 だんだん男の名前は呼ばなくなる。 次第に酷い男とは違うところにハマってくる。 胸を弄られるのは前と同じくらい好きだが、噛まれるよりは、優しく優しく舐められ吸われる方が今はいい。 後ろから乱暴に突き上げるよりは、寝バックでゆっくりそこをこじ開けられるのが好きになっていく。 書き換えて。 身体に新しいやり方を教えこんで。 いつの間にか。 酷い男の名前ではなく、自分の名前を呼びながらイキ狂うようになる。 そうなるのが楽しい。 楽しくて仕方ない。 全て書き換えて。 欲しがるモノを全部自分のやり方、自分のモノにさせて。 欲しいのはこのペニスなのだと分かれば、自分から舐めてしゃぶりつき、口で喜んでしてくれる。 酷い男にしていた時は奉仕だっただろうに。 今はご褒美だ。 喉を犯してやれば、喜ぶだけでなくそれでイク。 上に乗ってすることも、求められたからだっただろうに、今はしたくてそうしてる。 相手を欲しがる意味さえ変わってくる。 愛されるために与えていた身体が。 相手を求める身体になっていく。 心も身体も求める貪欲な身体に。 そこから、距離をとる。 元々身体だけの関係だ。 しばらく会わない期間があっても仕方ないとその子も分かっている。 そもそも、互いに偽名だと分かっている。 本当なのは前の男の名前だけ。 それすら今はもう聴くことはない。 その子はその名前を忘れてる。 会わないで放置。 そしてまた会う。 会えない間に、その子の身体に違う男を感じる。 我慢出来なかったのだ。 あんなにしてあげたからこそ。 誰かを探したのだろう。 そしてそれでは満足出来なくて、また自分の元に戻ってきたのも。 「誰かに抱かれた?どんな風に?」 聞かれたなら、泣きながら答えてくれる。 そうすれば、望むように抱いてくれると知ったから。 「それでは足りないかったの?」 聞けば泣いて頷く。 それがいい。 他の男にされたことを全部してやり、それからそれを全部書き換えてやる。 「これが好き?」 一番好きなやり方で突き上げながらささやけば、知ってる偽名で自分を読んでしがみつく。 好きぃ 好きい これがいいいぃ これが一番いいぃ 泣いて叫ぶ声、痙攣する穴。 最高に気持ちいい肉。 「他の男では足りない?」 優しく囁けば。 あなたがいい あなたがいい 切なく泣く。 中から締め付け、欲しがり、身体というのは心と繋がっているのが良くわかり、だからこそ気持ちいい。 「そう。・・・沢山しようね」 今だけの意味では無い、継続的な関係を求めているのだと知ってて、そこはあえて分からないフリをする。 その切なささえ、身体が欲しがり、甘くて良い穴と肉に変えていくから。 この身体が好き。 こういう身体を他にもいくつかつくり、それらの身体をそれぞれ楽しんでいる。 みんないくつもある自分の名前をそれぞれ呼んでイク。 名前はウソだが呼ぶ気持ちがホンモノだから気持ちいい。 「名前を呼んであげようか?」 囁くと。 本当の名前を教えてくれた。 その名で呼ぶと。 身体はもっと甘くなったから、何度も何度も呼んだ。 呼ぶだけでイク身体は最高に気持ち良かった。 囁きながらこじ開ける奥も。 名前を呼ぶと抜くのを嫌がるように絡まる襞も。 「可愛いね」 心から言い、本気で楽しむ。 そして終わってからも優しくして。 朝別れる。 そしてまた。 しばらく会わない。 その間には他の子に会う。 他の男として、やはり満足できなくて身体を切なくさせてる子に。 交代交代。 それがいい。 絶望して。 その子達の1人が居なくなることもある。 たまに命を断つことも。 その前に 「自分だけのモノになって欲しい」と泣いて迫る身体を抱くこともある。 実際、アレが一番気持ちいい。 泣いて本音をぶちまけ、欲しがる身体は最高だ。 好き 好きぃ 欲しい 泣いて自分から跨り、全身で求められる。 最高に気持ちいい。 号泣する顔も声も。 振り乱した髪も。 穴の締めつけ、絡まる襞、熱。 全部が気持ち良い。 穴の全部を味わいたくて、押し倒し、思い切りそこで狂うのはこちらも同じ。 でも。 それは断わる。 当然だ。 ただ一人きりのものになる? そんなつもりは一切ない。 そんな責任はない。 結果はまあ、大体。 ・・・そうなる。 離れていくか・・・。 死ぬ子はいる。 こんなにセックスは楽しいのに。 そうなればまた、空いた場所を埋める新しい子を探す。 男に捨てられボロボロになってる子を。 そして繰り返す。 可愛くて可哀想な。 気持ちいい穴。 それ以上の価値を相手に求めたことはない。 オレに言わせたら。 本当に欲張りなのは。 どちらだろう。 試薬 終わり

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