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第8話

 目が覚めてリビングへ行くと、おじさんはソファーで寝ていた。  昨夜遅かったのかな。結構遅くに出かけて行ったもんな、お疲れ様です。  時計見たら午前8時。早く寝たから思ったより早く目が覚めちゃったよ。唯希さんたち来るまであと1時間。朝ごはん…たまにはおじさんに作ってあげようかな。  スクランブルエッグくらいしかできないけど。  冷蔵庫を開けてみたら、プリンとかビールとかチーズとか………何もないじゃん…。  買いに行ってくるか。財布持ってこよ。  コンビニコンビニ〜だいぶ俺もこの辺になれたな。ロー◯ンとセ◯ンくらいは選んでいけるようになった。進歩進歩。てか真っ先に覚えたけどね。コンビニは欠かせないっす。  今日はセブ◯の気分。  しかしあれだよなー、コンビニ来ちゃうと作ってあげる気はあってもおにぎりとかパンとかでいんじゃね?って気になっちゃうねやっぱ。  でもおじさん菓子パンとかは食わなそうだから、やっぱおにぎりとサラダ、とちょっとした惣菜でいいや。  これうまいんだよ、鯖のおろしポン酢!めっちゃうまい。おじさん好きそうだしこれも買ってこ。  俺も腹減ったから、早く帰って食べたい。あ、チキンも買ってこーっと。  コンビニの買い物なのに、でかい袋になっちゃった…こんなことしてるから毎度母さんに怒られるんだよなぁ。  しかもちょっと重い。まあでもマンションまで5分くらいだから頑張ろう。 「甥っ子くんみーーーーーっけっ!」  すごい勢いでコンビニの駐車場に車が止まったと思ったら、その窓からでかい声でそう言って来たのは春樹だった!  無視していいって言ってたから、申し訳ないけど見えない人扱いさせてもらおう。ヤク中に関わりたくない。 「甥っ子く〜ん、冷たいじゃあん。こんな早朝から会いに来たのにさ〜」  早朝でもないし、そういえばあなたこんな時間によく来たね。自由業の方々ってこの時間熟睡タイムなのでは?それともオールかな。まあ関係ないけど。  俺は、早く帰ってチキンとおにぎり食べたいんだよ。  ついてこないで。  車があるからって俺はきっと油断したんだ、春樹は車から降りてこないって…  春樹を避けて歩き出した俺は、セブンの前に道に出ようとした瞬間に頭に衝撃を受けて目の前がまっ暗になった。そこから覚えてない…。 「今なんだよー。今やれば気持ちいいんだよ〜甥っ子くんのちんこ挿れてよ〜いいところいこう?キメセクキメセク♪甥っ子くんも気持ち良くしてあげるから〜」  春樹は倒れた悠馬を、殴った割には大事そうに抱き上げてGT-Rの助手席側のドアを開け、わざわざシートを動かして、せっまい後部座席にそっと寝かせた。  入れにくいだろうに。 「春樹!?何してんの!その子出しなさい!」  ちょうど原チャリで通りかかった唯希は、バイクを乗り捨て車へ走り出す。 「やっば、オカマきた〜こわ〜い」  春樹は慌てて車に乗り込みエンジンをかけた。 「ちょっと春樹、その子は関係ないでしょ!返して!ねえ!起きて!起きてよ!何されたの???」  名前が言えないのでもどかしいが、車に取り付いてドアをばんばんたたく。  悠馬は脳震盪でも起こしてるのか呼びかけには答えない。  そんな中で車は発進して行き、唯希は転びそうになりながらも耐えて、急いで時臣に連絡を入れながらバイクへ向かった。  時臣は2コールで出た。気が張っていたのか眠りも浅かったのだろう。 「ボス!悠馬くんが春樹に!あいつキマッてた!悠馬くん危ないです!」 「なんだと!唯希(いぶき)このまま電話切るなよ、実況しとけ俺もバイクで行く今どこだ」 「セブンの前の道を、今は駅方面に向かってます。俺追いますね。原チャリだと限界あるけどできるだけ実況します」  唯希が俺と言った。相当怒ってる。  時臣も急いで部屋から出て地下駐車場へ向かった。こういう時はバイクの方が小回りがきく。 「車種は何だ」 「黒のGT-Rです」 「金に物言わしてんなぁ」  バイクに跨って、ヘルメットのベルトを留める。  時臣は黒のCBR400に跨って、発進した。 「駅前の通りを左折して、梅ヶ丘の方面へ向かっています」  ビイイイイイイイイイという原チャリの限界音と共に、唯希の声が聞こえてくる。  職業柄、耳に埋め込みタイプのイヤホンで聞き取って、時臣はバイクを向けた。 「飛田〜〜〜昨日の今日で油断すんなよ!悠馬危ねえじゃねえかよ!」  そう呟いたところでどうにもならない。  部屋を出る時に典孝に、『春樹が来た。今追ってる』 とだけ飛田に伝えろとラインだけはしておいた。  セブン前の道を駅まで向かい、左折して数十秒で唯希のバイクが見えた。  通りすがりに唯希へ親指を立てて合図をして、時臣はそのまま車を追う。唯希はバイクを止めて飛田へ連絡をして、今現在の状況を伝えた。

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