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Rendezvous01 ぽんこつナイト10  ほんとに寝てんの?  ※

「ん……」  一旦眠りに落ちたミチルだったが、なんだか動悸がして目を覚ました。  体中がやけにくすぐったい気がする。 「あっ……?」  ミチルは不可抗力でジェイの腕の中で寝ていたのだが、先ほどまですぐ目の前にあったジェイの顔がない。  だが確かに存在感はある。固くて少しゴワゴワする頭髪がミチルの胸の辺りをくすぐっていた。 「……っは、……?」  ミチルは視線を下に落として心臓が飛び出るほど驚いた。 「ん……んん」  ジェイが何か吐息を漏らしながら、ミチルのパーカーをまくって腹のあたりを(まさぐ)っていた。  ヒエエエエエ!  ちょっと何してんの、この人!  オレが熟睡するまで待ってたの!?変態じゃん!眠ってる方がいいなんてど変態の所業じゃん!  ミチルはドキドキと恐怖で声が出なかった。  そんな感情を構いもせずに、ジェイの指先はミチルの肌をなぞっていく。 「やっ、あ……」  そのくすぐったくも気持ちイイ感触に、ミチルは信じられないくらい高い声が出た。  ほぎゃあああ!  何これ、何の声、オレの声!?どっから出たのそんなエロイ声ぇ!  ミチルは動揺でさらに身体が固まってしまう。  ジェイの手は撫でることをやめなかった。そしてさらにその頬をすりつけてミチルに懐くように擦り寄る。 「うん……」 「やぁ、ジェイ、やめ……」  腹を撫でていたジェイの手は次第に上に伸びていった。その先には未開発の突起が待ち構えている。 「はぁ……っ!ジェ、ジェイ……やっ」  ジェイの親指が突起をとらえる。最初は大きく輪を描くように(まさぐ)るが、それが次第に立ってくると先端を引っ掻くようにクリクリとイジった。 「はぁん!やだ……だめっ!」  朴念仁みたいな顔をして、優しい素振りで部屋まで招き入れたのはこういう目的があったからかとミチルは悲しくなった。  それなのに、この手を振り解けない。ミチルはすでに快楽に囚われかけていた。 「ジェイ、ジェイ……いや……」  ミチルの訴えは聞き入れられなかった。ジェイはなおもミチルの胸を攻め続ける。 「あ……ん、ああ、う……っ」  嫌なら立ち上がればいい。それからぶん殴ってやればいい。  なのにそれが出来ないからミチルは余計に泣きたくなった。  オレはどうしちゃったの?  嫌なのに嫌じゃない。ジェイの手はひどいことをしているのに、優しい。  どうしてこんなことするの? 「ジェイぃ……」  ミチルはもう、その快楽から逃れられなかった。脳が麻痺している。  ここから先はケダモノの道なのに、引き返す気力が湧いてこない。 「あぁ……」  そう。ミチルはすっかり悲劇のヒロインに酔ってしまっていた。  自分の体を(まさぐ)っている男が、ただ寝ているだけだという事実を知らずに。 「zzz……」 「──うん?」  ジェイの手つきがはたと止まった。それから安らかな寝息が聞こえ始める。  寝て、る……?  ウソでしょ。オレが泣き出したから寝たふりしてしらばっくれるつもりなんでしょ!? 「zzz……」 「おおい!ジェイ!てめえ、コノヤロウ!」  ミチルは耳元で叫んでやった。ここまですれば起き上がるに違いない。  そうしたらボッコボコにしてやるからな!  だが。 「zzz……」  ジェイは一向に目を覚まさず、スヤスヤと眠り続ける。  ヒイイイィ!こわっ!何コレ、怖すぎるんだけど!  そんな人いる?  だめだ、逃げよう。ベッドに戻ろう。  辛うじて熟睡していることは信じてやろう。だが、ここにいたら変な扉が開いちゃう!  ミチルは身を捩って起きあがろうとした。  しかし。 「ふぎゅ!」  逃げようとするミチルの腕をジェイはまた掴んで、自らの胸の中に引き寄せる。  後ろから抱きしめられたミチルの首筋に、ジェイの吐息がかかった。 「ああんっ!」  やだあ!たったこれだけなのにゾクゾクするぅ!  ミチルの感度はびんびんに高められていた。 「zzz……」  ねえ、なんでこれで寝てられんの!?  もう意味わかんないんだけど!  ジェイは寝ながらも、ミチルの腹を触り続けていた。 「ああんっ!」 「zzz……」 「やぁんっ!」 「zzz……」 「はあぁあん……っ!」  結局、ミチルはジェイの腕の中でお触りされまくられて、朝まで翻弄された。

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