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Rendezvous01 ぽんこつナイト14 甘いお茶を
ミチルがシャワーを終えて出てくると、ジェイは困ったような顔で棒立ちしていた。
「……何してんの?」
「いや、その……」
ジェイはもごもごしながらミチルの様子を窺っている。
デカい図体で鬱陶しいやつめ!とミチルはその様にイライラした。
「ふんっ!」
ミチルが濡れた頭を拭きながらジェイの前をわざと通り過ぎる。
するとジェイはミチルの腕を掴んで引き留めた。
「ミ、ミチル!」
「何なの」
「ミチル、頼む教えてくれ。そんなに怒るほど、私は何をしたのだ?」
何をしたか?ナニをしたんじゃ、ボケぇ!
ミチルは少し意地悪く言ってやった。
「教えてあげてもいいけど、聞いたら多分死にたくなるよ」
「えええっ!」
ジェイはまるで雷に打たれたような衝撃を受け、仰け反りながら固まった。
「そ、それほどまでに酷いことを……?何ということだ、すまない、ミチル!」
酷い、と言えば酷い。ヒドく気持ちがヨかった。
だがミチルに昨夜のことを説明する気はもうなかった。
だって、「こんな体にした責任とってよ!」て言うってことでしょ?ちょっとそれはキモくない?
「ああ……私はどうしたら……」
やば。ちょっと可哀想になってきた。
真面目なぽんこつナイトは、聞かなくてももう死にそうだ。
「もういいよ、ジェイ」
イケメンにシュンとされたら、許すしかない。イケメンは至上の存在なのだ。
「しかし、ミチル……」
「いいの!許してやるから、あっつい紅茶でも入れな!」
「あ、ああ……」
「砂糖くらいあるでしょ!?クッソ甘い紅茶!すぐ入れて!」
「わかった!」
ジェイは少し元気を取り戻してキッチンに向かった。
その背中を眺めながらミチルは溜息を吐く。
なんかオレ、ここに来てからイケメンに甘すぎない……?
ジェイはミチルのために甘いミルクティーを入れてくれた。
お湯を沸かす間にミルクと朝食を買ってきたのだ。
甘い香りを燻らせるミルクティーと、硬くて丸いパンを二人で食べた。
「朝食を食べたら私はそのまま出勤するが、ミチルはどうする?」
しまった……
忘れてたけど、今後の話の続きっぽい……
ミチルは一昨日の夜考えたことを、たどたどしくも懸命に伝えた。
「えっと、仮に戻る方法を探すとしてもどう探せばいいかわからないし、この世界に来たのも何かの縁かもしれないし、少しここで色々経験してみたいなって思ってるんだけど……」
「……」
ジェイは黙って考え込んでしまった。
その様子にミチルは不安になって更にまくしたてる。
「あ、でも、そしたらジェイに迷惑かけっぱなしになっちゃうし、でもオレ、行くとこないし……経験してみたいって言っても何したらいいかわかんないし……」
「……」
「ごめん!やっぱり迷惑だよね!?」
自分勝手なことばかり言ってしまったとミチルは泣きそうになった。
だが、ジェイは全てを包み込むような慈愛の笑みを浮かべて言った。
「私は構わない。確かにこれも何かの縁だろう。ミチルがよければしばらく共にいよう」
「あ、ありがとう!」
なんていい人なんだろう。
ジェイに出会えたことを、ミチルは改めて感謝した。
「それで、今日はどうしたい?」
そんなの決まってる。
ジェイと一緒にいたい。
「ジェイのお仕事を見学したいな!」
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