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Rendezvous02 ホスト系アサシン06  悪夢は時に甘く  ※

「う……うぅ……」  すぐ側で人の呻き声が聞こえ、ミチルは目を覚ました。まだ部屋は暗い。真夜中だった。 「あ……あぅ……」 「アニー?」  苦しんでいるのは、隣で寝ているアニーだった。ミチルはびっくりして飛び起きる。 「アニー?大丈夫?」 「あ……ああ……」  アニーは苦悶の表情を浮かべて胸を掻きむしる。ミチルは慌てふためいた。  どうしよう、急病だったらどうしよう! 「アニー!アニー!」  ミチルが肩を叩くと、アニーは額に汗を浮かべながらもハッと目を開けた。 「!……ああ、ミチル」 「アニー、どうしたの?具合悪いの?」  ミチルがおろおろしているのを少し笑って、アニーはゆっくりと起き上がった。 「いや、大丈夫。少し悪夢を……見ただけ」 「そう……良かった」  ミチルはほっと胸を撫でおろした。何でもなくて本当に良かった。 「心配、した?」 「そりゃそうだよ、すごく苦しんでるんだもん」 「……ありがとう」  アニーは微笑みながらミチルの頬に手を伸ばす。触れられて心臓が跳ねた。その指は少し震えていた。 「アニー……平気?」 「少し、怖かった」  アニーは困ったように笑った。それから急にミチルに覆い被さった。 「アニー?」 「ミチル……少し、いいかな?」  そう言うとアニーはミチルの腰をすくって、ベッドに押し倒す。  えええ!?何、何が起きたの!?  ミチルは急に視界が天井になったので思考が止まった。それからすぐにアニーの顔が近づいてくる。  ふおおおぉ!ごっつイケメンやでええ!  ミチルを見つめるアニーの顔は、月明かりを反射してこの世の者と思えないほど美しかった。 「ミチル……」  アニーの唇が、ミチルの頬に吸い付いた。突然のことに、ミチルは体を強張らせる。 「ふぁ……っ」  そのまま唇が横に滑り、ミチルの耳たぶを喰む。 「あっ……!」  くちゅ、と音を立ててから、アニーは首筋にも口付けた。 「やっ……」  ミチルは思わず身を捩るが、アニーは構わずに首筋を舐め上げて鎖骨近くまで舌を這わせる。 「や、いや……ぁ、ん……!」  ちょっと何なのこれ!いきなりどうしたって言うの!?  ミチルは逃げる事も当然考えた。だけど、続け様に与えられる快感のせいで体はどんどん力が抜けていく。 「はぁ……ミチル……ッ」  アニーの吐息が荒くなっていた。 「アニ……んっ!」  ミチルは性急に唇を奪われた。喰むようになぞられて舌を絡めとられる。 「んっ、んん……!っは、あ……!」  こんなに熱いキスは生まれて初めてだった。唾液が絡む。その度に頭が麻痺していく。 「ミチル……」 「あ……?」 「すごく、いい香りがする……」  そう言うアニーの瞳からは、光が消えかけていた。 「──ッア!」  アニーの手が、ミチルのパーカーをめくって侵入してきた。更なる快感に思わず背を反らす。 「ミチル……」  剥き出しになったヘソのあたりからアニーは口付けていった。指よりも艶かしい感覚にミチルは悶える。 「はっ……!あっ……」  アニーはゆっくりとパーカーをたくし上げながら、ミチルの上半身を舐め上げていった。 「やぁ……!あ、んぅ……まって、っあ!」  ミチルの訴えは聞き入れられない。アニーの唇はついに胸に到達する。 「はぅ……!ふぅ、んっ……!」  アニーはその舌でミチルの右胸の柔らかい部分を舐めた。体中の血がそこに向かうような感覚にミチルはまた悶える。 「ああ……あっ」  突起が少しずつ固くなり、形を主張し始める。するとアニーはそこを唇で吸い上げる。 「はぁ!……らめっ、吸っちゃ……らめぇ」  ちゅ、ちゅ、と卑猥な音が耳に響く。その度に体に快感が走り、ミチルはもう何も考えられなくなっていた。 「あ!ああっ……!はぁ……っ!」 「ミチル、なんていい香りだ……」 「アニー……あ、あぁん……っ」  アニーはミチルの胸を吸いながら、腰に手を回した。ミチルのズボンを下にずらそうとする。 「──!待って!ダメ、それはだめぇ……!」  アニーの手が腰を(まさぐ)り、後ろに回る。優しく臀部を撫でて一気に── 「アニー!いやぁっ!」 「……」  下半身が顕になる寸前で、アニーの全てが止まった。 「……アニー?」 「ん……」  アニーは突然電池が切れたように、眠っていた。 「う、うそ……」  散々人を弄んで、ものすごいことしておいて、ちょっとそれはないんじゃない!?  ミチルは心の中で憤慨するが、体はもうふにゃふにゃだった。  一気に熱が放出される。安堵で気が抜けていく。 「は、ぁ……」  覆い被さるアニーをどける気力もなく、ミチルもそこで意識を失った。

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