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Rendezvous02 ホスト系アサシン12  イケメンは悪魔じゃなくて

 チュンチュン、と鳥の鳴く声で目が覚める。  陽の光とともに起きるなんて、理想の朝だ。ミチルは寝たまま目だけを開けた。  昨夜は少し寒かった気がする。  でも、今は結構温かい。 「!」  温かいはずだ。ミチルの体は後ろからアニーにがっちりホールドされており、それはもう文字通りの抱き枕状態。 「ふぉお……」  とりあえずミチルは深呼吸をした。アニーより早く起きてしまった。昨夜、帳簿つけで夜更かししたからか?  さて困った。  ミチルの体はアニーの大きな手と力強い腕に絡め取られており、身動きができなかった。  いや、動いたら起こしてしまいそうで。なんか、それは申し訳ない。  大きな手と、力強い……腕。  やだ、かっこいい。ていうか羨ましい。  ミチルは自分の生っ白い腕と比べて溜息をついた。  部活は帰宅部で、ゲームばっかりやってきたツケが今頃くるとは。  そんな事を考えていると、後ろのアニーが少し身じろいだ。 「んん……」  ミチルのうなじから肩甲骨にかけた辺りにアニーは顔を埋める。  そんでもって、すりすりしてきた。 「ひへぇえ……!」  くすぐったさと恥ずかしさで、ミチルから高い声が漏れる。  起こしてしまったかと思ったが、アニーはミチルの背に顔を埋めたまま動かなくなった。 「……?」 「すーはー、すーはー。あ、やばい、これ、癖になりそ……」 「うらああぁあっ!」  変態撃退センサーが働いたミチルは怒号とともに飛び起きた。 「ああっ!ケチ!もっと嗅がしてよ!」 「朝からど変態をさらすなぁ!」  ミチルが怒りのままに振り向くと、アニーものっそりと起き上がってだらしなく胸元を掻いていた。  その姿はまさに寝乱れたイケメン(国民の彼氏級)。ミチルは鼻血が出そうになった。 「ぶふぅっ!」 「あー……おはよー……」  昨日の朝(二度寝後)とは全然違うだらしない感じ。それはそれでギャップがあって萌える。  て言うか、アニーのほっぺにオレの鼻血が飛んでしまった!  ……はて、鼻血なんて出てなくない?  ミチルは自分の鼻に手を置いて、何もついていない事を確認した。  そして、アニーにずいと近寄ってその頬を凝視する。 「なあに?おはようのチュー?」  べしっ  ミチルはアニーの膝を叩いて無言でつっこんだ。  そんなもんに反応してやる暇は、今はない。  だって。  だって。  アニーのほっぺについてんの。  血じゃない!? 「ん?」  さすがのアニーもミチルのただならない眼差しに異変を感じ、己の頬に手をやる。  血はすっかり乾いていたけれど、頬を擦ればそれなりに指につく。  アニーは微かについた赤いものを見て、舌を出した。 「あ、やべ。返り血だ、コレ」 「でえええっ!!」  そんなイタズラが見つかったみたいな顔で、なんて事言うの、この美形は!?  ミチルが驚きで退けぞっていると、アニーはその腕を掴んでベッドから落ちまいとしてくれた。 「あー、ありがと……じゃなくて、返り血!?」 「実は、俺の本業って暗殺者なんだよね!」  ──ほへ?  ミチルは我が耳を疑った。 「あ……んさつ?」 「そうそう」 「殺す……の?」 「うん。昨夜も一人、()ってきたトコ!」  オーマイ……  ミチルは思わず天を仰いだ。  爽やかな朝。小鳥が穏やかに鳴く。    国民の彼氏は、悪魔じゃなくて、殺人鬼だったのです……

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