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Rendezvous02 ホスト系アサシン13  眩暈

 姉さん、事件です。  親切にしてくれたイケメンは、セクハラ悪魔ではなく、暗殺者でした。  あ、ボクに姉さんはいませんでした。  あまりのショックにミチルが妄想で姉を作り出していると、アニーはヘラヘラと笑って言った。 「いやあ、バレちゃうなんて失敗失敗!ハッハハー」 「え……え……ほんとに?」 「ほんとほんと。昨夜はちょっと手こずっちゃってね、まさか返り血がついてるなんてね」 「──」  この時、ミチルは自分がどんな顔をしているのかわからなかった。  とにかく、ただ、驚いていた。  するとアニーは息を吐いて、ミチルの頬に触れる。 「怖い?」  そう聞かれてもミチルはよくわからなかった。あまりにも現実味がなかったから。  でも、ミチルに触れた手は温かくて、何か、上手く言えないけど、許しを求めているような縋るような目をアニーはしていた。 「怖く……はないかな」  アニーにどんな理由があるかはわからない。  それが人を殺していい理由になるはずもない。  けれど、この温かい手はやっぱり安心する。だから、怖くなかった。 「アラ、意外な反応」  アニーは少しとぼけて首を傾げていた。ミチルの頬をなぞる手はそのままで。 「なんで、そんなことしてるの?」  ミチルがそう聞くと、アニーは少し顔を強張らせる。 「理由次第では、受け入れてくれるの?」  試されている。そう思った。  だからミチルはアニーの目を真っ直ぐ見て言った。 「理解はしたいと思う」 「へえ……」  アニーの瞳は鋭い光を宿していた。 「理解ができたら一緒に罪に堕ちてくれるんだ?」 「んー……」  ミチルは少し考えてから、やはりアニーを真っ直ぐ見つめて言った。 「それが罪だってわかってるなら、堕ちる前にできることがあるよね?」  ミチルの言葉にアニーは目を丸くしていた。きっと予想していない答えだったんだろう。 「例えば?」  アニーの問答は続く。ミチルの頬を撫でながら。そうすることで自分の心を撫でているのかもしれない。 「うーん、それはよくわかんない。だってアニーのこと、まだ全然知らないから」 「──なるほど」  そうしてやっとアニーは少し笑った。それからミチルの頬をむいっと引っ張る。 「ひょっと!……はにすんの!」 「ははっ、かわいい」  その言葉と微笑みに、ようやくアニーの本音が宿った様な気がした。  ……ので、ミチルはドキドキ動悸が激しくなった。 「それじゃあ、ミチルの熱い要望にお答えして話しちゃおうかな」  アニーはベッドからひらりと降りて、朝日を背負って笑う。 「夜明けのコーヒーでも飲みながらね!」  偽りのない笑顔を携えたイケメンの破壊力よ。ミチルは目がクラクラした。  ……ところで、パジャマ代わりに借りたシャツ。彼シャツってやつじゃない!?  そんな事を今更考えて、更にミチルは目眩がした。

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