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Rendezvous02 ホスト系アサシン16  ぬくもり  ※

 伝書鳩のくるっぽー(仮名)がアニーに新たな指令書を持ってきた。  あれだ、きっと、冒頭は「私だ」って書いてあるに違いない。  そんでもって最後は「なお、この指令書は自動で消滅する」って書いてあるに違いない。  アニーはその小さな紙切れを一瞬で読んで、マッチで燃やした。焦げた臭いが部屋に広がる。 「なんだ、自分で燃やすんだ」  ミチルは少しがっかりして口走った。 「そりゃ、そうよ。勝手に消えるワケないでしょ」 「魔法とかで、ポン!て消えるのかと思った」 「ええ?魔法?」  アニーは可笑しそうに笑う。ミチルは何か変なことを言っただろうかと首を傾げた。  だってこの世界は魔法があるんじゃないの?  ジェイの持ってた剣は魔剣だって言ってたぞ。 「そういうのは西の大陸の技術でしょ。カエルレウムとかアルブスとか」 「そうなの?」  知らない名前の国が出てきたけれど、ミチルには覚えられない。 「こっちの大陸は未だに原始的だよ。魔術師なんて見たこともないね」 「へえー……」  海を隔てるだけでそんなに違いがあるのかと、ミチルは少し驚いた。  ファンタジーの世界だったらどこに行っても誰に会っても魔法に遭遇するものだから。  そんな会話をしているうちに、アニーは素早く着替えた後、洗面台の棚から古びたナイフを取り出し、バックルに取り付けた。 「それじゃあ、ミチルは留守番してて」 「え?もう行くの?仕事って夜なんじゃないの?」 「今夜の仕事は相当でかいみたいだ。昼間に打ち合わせがいる。帰りは朝になるからミチルはいい子で寝てて」 「オ、オレも行きたい!」 「ええ?」  ヤベ!思わず言ってしまった。  だってなんだかアニーの仕草がよそよそしくて。まるでこれが最後みたいな感じだったから。 「しゃ、社会見学!させてよ!」 「──冗談」  アニーは鼻でせせら笑った。その笑顔は完全にミチルを拒否している。  でも。でも、今別れたら、二度と会えないような気がする。  それは、なんか、ヤダ。 「オレも連れてって!」 「ダメ。危険だ」 「だいじょぶ!オレ、前も魔物がわんさか出る森に行ったんだよ!勇敢に戦ったことだってあるんだから!」  ミチルが言い張る様に、アニーは溜息を吐いてから殊更優しく言った。 「明日の朝、俺が帰ったら港に連れて行ってあげる」 「み、港……?」 「今夜の報酬があれば、ミチルがカエルレウムに渡る旅費になるから」 「そ、そんな大金もらえないよ!」  そうじゃない。欲しいのはそういうのじゃない。  けれどミチルはうまく言えなかった。 「……もらって欲しい。短い間だったけど、とても楽しかったから」 「でも……!」 「ミチル」  アニーは真顔になってミチルの右腕を取り、勢いのままに壁にその身体を縫いつける。 「!」  深い青をたたえた瞳がミチルを捕らえ、低く甘い声で囁いた。 「あんまり我儘言うなら、この場で足腰立たなくするよ……?」 「え──」  その意味をミチルが理解する前に、アニーの顔が近づいて唇を塞がれた。 「んうぅ……!」  アニーの唇は少し冷たかった。だがミチルの唇をなぞり、舌を絡めていくうちにだんだんと熱を帯びていく。 「ん……ぁ、はっ、うぅ……っ!」  アニーの意思が込められたキスは激しくも甘く、ミチルの意識を溶かしていく。  ミチルはただ目を閉じてそれを受けた。されるがままに、アニーの心を探る。 「んぁ……アニー……」  アニーは唇を離したが、すぐにミチルの喉元に吸い付いた。触れられた箇所がどんどん熱くなっていく。 「あ……あぁ……」  ミチルが快感に震える隙に、アニーはその下半身を|弄《まさぐ》ってミチルのズボンのボタンを外した。 「──!やっ!」  アニーは素早くそこに右手を差し入れて、ミチル自身を直に触った。ミチルは衝撃に肩を大きく震わせた。 「いやっ!待って、なんで……!?」 「ミチルが我儘を言うからだ……」  アニーはミチルの制止を聞き入れず、それを握りこむ。きゅっと力を入れると、ミチルのそれはビクンと震えた。 「あ……ああ……っ!やだ……ぁんっ!」  人の手でそこを直に触れられたのはミチルはもちろん初めてだし、自分でもあまりいじったことがない。  未知の感覚に、ミチルは戸惑いながらも翻弄されていく。 「はっ!ああっ!やだ、おかしいよ……っ、こんなの……ぉ!」  自分の下腹部から、くちゅ、くちゅと卑猥な音が聞こえて羞恥に震える。それととてつもない快感。アニーの指はミチルを更に追い込んだ。 「ミチルのは……可愛いね」  アニーは耳元でそう甘く囁いて耳たぶを喰んだ。ゾクゾクする感覚がミチルの背筋を襲う。 「あぁ…… んっ!だめ、出ちゃう、出ちゃうよぉ……」  ミチルはもう自分で立っていられなかった。膝が震える。アニーのシャツを掴んで壁に体重を預けるので精一杯だった。  アニーは左手をミチルの腰に回して支える。それから右手の動きをさらに激しくした。 「はぁっ!あっ、あああ……っ!ああ、ん!」  アニーの指はミチルの先端を容赦なくいじる。もうミチルのモノは熱さに震え、限界が近づいていた。 「あっ、ああっ……!はっ、はっ!あ……ぁ」  ミチルは恥ずかしくて情けなくて、それから切なくて大粒の涙を零す。  どうして?どうしてこんなことするの?  オレは、アニーと離れたくないだけなのに。 「ミチル……ごめんよ……」  アニーは最後だと言わんばかりに、ミチルのしとどに濡れる先端にくり、と爪を立てた。 「ああ……!あああ──ッ!!」  その刺激に耐えきれなかったミチルは、ついにアニーの手の中に吐き出した。  ガクガクと腰が震える。ブルブルとそこが弛緩して、ミチルはその場にへたり込んだ。 「ミチル……」 「ん……ぅう……」  最後にアニーは優しく口付ける。それから左手でミチルの涙を拭う。  ミチルから離れながら、とても優しい顔で笑った。 「あんなによく眠れたのは二十年ぶりだった」 「──」  アニーにとっての夜は。  アニーにとっての夜は、両親が殺された記憶が支配する世界。  安楽に眠ることを、彼自身が許さなかった。  たった二日。素性も良くわからない、ただの子どもの温もりが彼を癒したと言うのか? 「……おやすみ」  そんな言葉を残してアニーは扉を閉めた。  ミチルは床にへたり込んだまま、彼の温もりが遠ざかるのを思い知った。

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