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12 初めての展望レストラン
車は行き先が分かると、ゆっくりと方向を変え進み始める。
静かな車内。なぜ会話がないのだろうか。自らあまり話さない春は、景色を眺めながら何か詩が浮かばないかと思いにふけているのかもしれない。いや、意外に隣にいるゴーの顔をまともに見ていられないから、窓の外を眺めているだけということもある。
ゴーはつまらなそうに車に付いているテレビを見ているようだ。車内には、ただただテレビから流れてくる音しか聞こえてこないのだから。
いつも見慣れたビルを春が見上げると、
「もう、着くよ……」
春はそう一言だけ口を開く。
「え? このビルですか?」
「ああ、ここの展望台。」
ゴーは春にそう言われて、車の中からビルを見上げる。ビルも高そうだが、料理の値段もかなり高そうだ。
「大丈夫なんですか?」
「何が?」
主語が抜けて話すゴーの言葉に、春は頭にハテナマークを浮かべ、首を傾げてしまう。
ゴーは人差し指と親指を合わせ丸を作り、言葉にせずにジェスチャーで表したようだ。
「あ、ああー! まぁ、金はかかるけどー、プライベートに関しては問題ないんだよ」
二人で会話をしていると、車はそのビルの地下駐車場へと入っていくのだった。
車が駐車場に止まると、春は先に降り、後に続くようにゴーも車を降りる。
春の後に続きゴーも降りると、春と一緒にエレベーターへと乗り込むのだ。
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