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13 個室で食事
エレベーターに乗り込むと、春とゴーの他には誰も乗っていない。
地下から上がっていったエレベーターは、地上に出ると階下が見えるガラス窓に変わる。
上がるにつれて建物が小さくなり、キラキラとネオンで輝く街並みが広がってくる。
夜に見る東京の街並み。人間って、今更ながらすごいと思う。夜なのに暗いとは思えない。
ゴーは街並みをガラス越しに見ていたが、エレベーターが上に行くにつれ、耳の異変に気付く。
「あれ? 耳がおかしい?」
「聞いたことあるでしょ? 気圧で耳がおかしくなるんだよ。大丈夫、すぐに治るからね」
ゴーはボソリと口にしたのだが、どうやらこの狭い密室内では小さな声も聞こえてしまったようだ。
春の言葉にゴーが振り向き、しかも笑顔で。そんな何気ない笑顔にゴーの鼓動が高鳴る。
その春の笑顔にゴーが心を奪われていると、エレベーター特有の電子音とともに最上階に着いたことを知らせる。
「着いたみたいだね。」
そう言いながら春はエレベーター内にある開くボタンを押し、ゴーに先に出るよう促す。
「あ、ああ」
それに気付き慌ててエレベーターを降りるゴー。
春はゴーが降りたのを確認すると、自身もエレベーターを降りる。
春が店員に話をすると、二人は店員に案内される。案内された場所は本当に春が言っていた通りで、プライベートな空間でゆっくりと話ができそうな個室だった。
しかも、この展望レストランの売りなのだろう。東京の街並みが窓から一望できる席だったのだから。
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