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「そもそも、来るの早くないかい?僕は明日って言ったよね?」 「もう2時だから“明日”になってるだろ。それにお前に全て任せてたらミコトくんがまたキャパオーバーになるだろ絶倫野郎。年齢にあった行動ぐらいしてやれよ」 男はため息をつくとミコトの頭を撫でる 激しい性行為の後の髪の毛は汗で濡れていたが男は全く気にする様子がない ミコトも男の手に安心した様子で気持ち良さげに目を瞑る 「2時に来るって非常識では無いのかい?」 「お前も大概しつけぇな。番のフェロモンにあてられて正気じゃねぇ奴に常識ぶつけてどうする」 「僕は平常だ。」 「これのどこが平常だよ」 周りを見るとぐちゃぐちゃになったベッド キスマークや噛み跡だらけのミコトの体 激しさを表すように血の滲んだ秘部 番のヒートと言うよりもレイプ現場のような有様だった 「1度冷静に周りを見れたか?α‬の坊ちゃん」 「…………………」 「ミコトくん、疲れて寝ちゃってる。本当はもっと早い段階で限界だったんじゃねぇの?」 「……………それは……」 「5分以内の入眠って気絶と同等なの知ってるか?」 今のカズオミに反論する手立てはない 自分でもやりすぎてしまったと理解出来たからだ。 「とりあえず、ミコトくんの尻切れてるから薬と栄養剤な。 後、バイタル軽く測るからそこどいて」 「あ、あぁ。」 ベッドからどくと男はそそくさとカバンから小瓶に入った薬やサプリメント、アネロイド血圧計を取りだした。 シュコシュコと血圧計の音だけが部屋に響く 「……………………うん。まぁ、いつもより血圧が高いけど運動後だし一応正常値内だから大丈夫だろう。」 「そっか……良かった。」 「何が良かっただ。この間なんて血圧低すぎて死にかけだったんだからな。まじで限度を覚えろ。 ………………あと、今日は中に出したのか?」 ミコトの秘部をちらりと見ながら男は聞いた 「あぁ。当然さ。僕らは早く赤ちゃんが見たいからね」 にこやかに答えるカズオミとは裏腹に男は無表情でミコトを眺める 「………………………僕ら、……ね」 「とりあえず今日は泊まっていくんだろ?」 「そのつもり」 ──────── 「…………………んん……」 目を覚ますと綺麗なベッドの上にいた ヒートが起きてカズオミが帰ってきたところまでは覚えていたが、そのあとの意識が朧気だった 周りを見渡すとベッド上は綺麗にされていてミコトが集めたカズオミの服もすべて片付けられていた しかし、肝心なカズオミは居ない。 周りを見渡せど寝室には姿が見えない ──ガチャッ 寝室の戸が開く音にそちらへと向くと 「あ!!コウさん!!」 見知った無精髭の男が立っていた 「よ!ミコトくん。久しぶり」 「お久しぶりです!今日も来てくれたんですね」 「おう。まぁアイツに任せるとミコトくんの体がもたないからな。 …………今回も大変だったな。よく頑張った」 そう言ってミコトの頭をガシガシ撫でる 荒っぽい手つきだがミコトはそれが好きだった なんだか“父親”のような撫で方で素直に甘えられる存在だった 「………………あー。後な、コレ渡しに来た。早く飲んじまえ」 差し出された手には1粒の錠剤と水があった ミコトはそれを受け取り素早く飲む 「……んッ。…いつもありがとうコウさん」 「いいや。これは君の権利だ。……せめてそれだけでも尊重してあげたいだけだよ」 ミコトが飲んだのは“堕胎薬”いわばアフターピルだ。 だがこれはカズオミには言っていない 以前からヒート後は必ずコウが内緒でピルをくれる 細かいことは聞いてこない。でもミコトの気持ちを汲み取って毎回くれる コウはカズオミの知り合いで家族経営の病院に務めている コウ自身は産婦人科医では無いものの従姉妹が産婦人科の女医のため薬が通常の者よりも手に入りやすい こうしてコウの手助けも相まって今まで子を授からずに来れた

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