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2 欠陥Ω
俺は中流家族の三男で、バースがΩだった。
つまり、嫁にいくしか能のない男だった。
しかし、世でいうΩのような可愛らしさはなく、
確かに華奢ではあるものの顔立ちは平凡。
どちらかというとβに見える。
長男と次男は立派なαで、長男は可愛く地位も高いΩを娶り、実家を継ぐ予定で
次男は後継が生まれなかった名門の財閥に養子入りをした。
つまり、俺は実家では邪魔者でしかなく、
「早く嫁げばいいのに」と小言を言われ続けていた。
そんな俺に婚約の申し込みがあったのはつい先月のこと。
どこかの社交会で俺の存在を知った上流階級のαが声をかけてくれたらしい。
俺は喜んでそれを受け入れた。
これでやっと実家に顔向けができる。
しかし、ついさっき破談を突きつけられてしまった。
それもそのはず。
もう20歳になるのに、俺にはヒートが来ていない。
そして、夜の奉仕をする際、少しも濡れず、痛がってばかりいた。
それでも、婚約者は1ヶ月、あれこれ試してくれたのだが、少しも受け入れることができなくて
ついに婚約解消を突きつけられることになった。
本当に彼は悪くない。
全ては、俺が欠陥のあるΩだったせいだ。
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