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22 シラフの朝

それから4日間、そのホテルの一室で、頼嗣様と交わった。 俺はヤって、疲れて、寝ての繰り返しだったけれど、頼嗣様は俺のヒートに当てられながらも、 食欲がない俺にご飯を食べさせてくれたり お風呂のお世話をしてくれたりした。 交わる間、何度も「噛んで」と欲望のままにおねだりしたが、それだけは叶わなかった。 挿れてとか、触ってとか、もっととか… そういう浅ましいお願いはすぐに叶えてくれたけれど、番にだけはしてくれなかった。 5日目の朝、目が覚めると 心も身体もスッキリとしていて 久々に気持ちよく起き上がれた。 体も熱くない。 ヒートが…、終わった。 1週間と聞いていたけれど、これだけαに慰めてもらえば、早く戻るんだな。 部屋を見まわしたけれども、頼嗣様はいないみたいだ。 ふいに首や胸元ズキリとして確認すると、ひどい噛み跡や内出血だらけだった。 うなじは噛んでくれなかったけれど、 代わりに体の至る所に噛んだ跡がある。 こんなにも本能は「噛みたい」と言っているのに…、番にしてくれないんだ… 当たり前か 番ってしまったら離縁が大変になる。 ズキズキと痛む胸を抱えつつ、お湯を浴びる。 自分で体を清めるのは久々だ。 傷も一緒にズキズキと痛んだ。    部屋着を出すのが億劫で、全裸でふらふらとベッドに戻ろうとすると、頼嗣様が部屋に戻ってきた。 「うわぁ!?」 俺は慌てて布団を被る。 「す、すまない。ノックすれば良かったな。 その…、体は大丈夫か?」 「あ、大丈夫です。俺なんかの世話をしてくださって本当にありがとうございました」 布団にくるまりながら頭を下げる。 夫婦とはいえ、俺はヒートトラップを仕掛けたようなものだ。 本当に申し訳ない。 かなり世話を焼いていただいたし。 しかも、自分の痴態を思い出すと、頼嗣様の顔を直視できない。 丸まった俺の横に座った頼嗣様が、ゆっくりと布団をめくる。 「噛み跡だらけだ…、すまないな。 加減ができなかった。 すぐに医者に見せよう」 「い、いえ!平気です!じきに治ると思います」 「しかし、松乃の体に傷が残ってしまったら大変だ」 「…、大丈夫です。もう、頼嗣様にしか見られることもないでしょうし… あ、でも頼嗣様が見たくないのであれば、治したほうがいいですよね」 「……、私は傷があろうとなかろうと構わない」 そっぽを向いて、頼嗣様が言った。 …、ああ、そもそも、今回はたまたま頼嗣様に慰めていただいたけれど、またしていただけるなんて思い上がりも甚だしい。 今回で見納めの体が、汚くても綺麗でも、どうでも良いに決まってる。 次なんてない。 次からはちゃんと自分で治めないと。 俺はまた胸が苦しくなって、ぎゅっと唇を噛んだ。 すると、行為中のように、頼嗣様が指を俺の口に入れる。 「ふぇ?」 「…、唇を噛んではダメだ。 傷がついてしまう」 顔は服を着ていても見えるもんね。 「…、えっと、気をつけます」 俺がそう言うと、指が離れる。 危うく舌でそれを追いそうになって慌てて口を閉じた。 口の中に頼嗣様の指を入れられると、無条件でしゃぶりついてしまいそうになる。 そんな俺の動作に気づいたのか、頼嗣様はバッと身を引いた。 「私もお湯を浴びてくる。朝食がじきに来るから、松乃は服を着ておきなさい」 「は、はい。その、すみません」 淫乱でも良いと行為中は言われたけれど、こんな不細工な嫁が淫乱で良いわけがない。 なんて浅ましいんだ、俺は… 散々抱かれたから、頼嗣様との距離感が狂ってしまったようだ。 ちゃんと線引きをしないと。 そう俺は決心して、モゾモゾと布団から這い出て服を着た。 そもそも、全裸で練り歩くなんてお行儀が悪すぎる。

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