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49 愛があった話※

「あのっ…、後ろからしてほしいです」 そのまま入れて欲しいと言う気持ちを堪えて、俺はお願いした。 「だが…」 「噛んで欲しいんです…、 それとも、番になるのは嫌ですか?」 「嫌なわけがない! だが、婚姻と違って番は簡単には解除できないんだ。松乃はいいのか?」 「むっ…、俺が別れたいって言ったら、頼嗣様は簡単に手放すんですか?」 「そんなわけがないだろう」 「俺も同じです。 そう簡単には別れてあげません。 だから、早くっ…、ああっ!?」 ガラッという音が脳に響いた。 と同時に屹立が俺の濡れた穴に突き立てられた。 どっちでイったのか分からないけれど、 俺は白濁を吐き出しながら絶頂した。 四つん這いの姿勢を支えていた四肢がガクガクと震えて、崩れそうになると頼嗣様に腰を掴まれる。 歯はまだ俺の頸に刺さっている。 痛いけど熱い。 やっと番えたんだ… 「うう…」 嗚咽を漏らすと、首が解放された。 「すまないっ、痛かったか?」 痛くて泣いたと勘違いされてしまったようだ。 「違います、嬉しくて… やっと頼嗣様のものにしてもらえた」 俺がによによと笑っていると、腹の中にいるそれが質量を増した。 「やっ!?おっきくしないでくださっ」 「無理を言うな。 全く、妻が可愛すぎて困るな」 満足そうにつぶやいた頼嗣様が律動を再開し、俺は死ぬほど食い尽くされた。 もう指の一本も動かせないくらいに。 なのに、ヒートというのは恐ろしいもので 寝て起きるとまた自分から求めてしまう。 またも5日間、寝ては交わっての繰り返しで、 俺はげっそりと痩せてしまった。 同じような生活を送っていたはずなのに 頼嗣様はツヤツヤとしているけれど。 6日目の朝、目が覚めると いつかのヒート明けと同じで ベッドに1人だった。 ヨロヨロと立ち上がり、寝室に備え付けのバスルームに入る。 体は拭かれているけれど、やはり湯は浴びたい。 鏡に映る自分の首にドン引きする。 赤や紫や噛み跡で、カラフル…、というか不気味な色になっている。 番にしてもらうために噛まれた後、何度もそこを上から噛まれた。 ずっと我慢していたんだ、すまないと頼嗣様に何度も謝られて、でも噛むことはやめなかった。 これは沁みそうだなと少し怖くなる。 すると、脱衣所のドアが思い切り開かれた。 「ひっ!?」 「松乃!!よかった、ここにいた…」 俺と目が合うなり、頼嗣様が俺を抱きしめる。 手が噛み跡を掠ってズキリとした。 「番うだけ番って逃げられてしまったかと思った…」 本当に焦っていたようで苦笑する。 こんな満身創痍で逃げられるほど、俺は頑丈じゃ無い。 それに… 「好きな夫とようやく番えたのに逃げません」 俺がきっぱりと言うと、頼嗣様がようやく笑ってくれた。 「私は幸せ者だな。 嫁いできてくれてありがとう」 「俺も幸せ者です」 そうして抱き合っていると、俺の腹が鳴る。 最悪だ… 頼嗣様が笑って「部屋に朝食を持ってくるように頼んである」と言った。 政略結婚だと思っていたけれど、愛があった話。

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