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第2話 この気まずい雰囲気はー2ー
「おい、お前何やってる?」
抑揚の無い冷めた声に詩乃は額から汗が伝う
顔が見れない……
どんな顔をして彼を見ればいいのか分からず
下を見つめたままの詩乃に男は言葉を続けた
「見たのか?」
見たのか?
その言葉に更に汗が吹き出る
「い、いえ……見てないです!!」
「じゃあ聞いたか?」
「え?」
意地悪な質問にドキッとしてつい顔をあげてしまう
だがその瞬間驚いた
目の前でニッと不適に笑う綺麗な顔をした男
この男知ってる
学校一イケメンで男女両方共にモテまくっている
志筑洸夜 ではないか
2年生の彼は毎日毎日キャーキャー騒がれまくっているので覚えてしまった
間近で見ると本当に綺麗な顔をしている
黒髪に切れ長のくっきりとした二重瞼
プルンとした唇がまたエロい
確かにこれは男でも惚れてしまいそうだ
だがその男は情事を知られてしまったかもしれないと言うのに笑みを浮かべている
そんな彼に戸惑い一歩二歩と退く詩乃に彼は
じりじりと迫ってくる
そして遂に壁へと押しやられ横に手を着かれる
「あ、あの………お連れさんほっといていいんですか?」
「ああ、気を失ったようだかその内目を覚ますだろ
放っておけばいい」
何とか絞り出した声に無情な言葉が返ってきた
すると志筑は詩乃の顎に手をやりくいっと顔を上げた
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