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2人の生活2
そう話した後の行動は早かった。
ネットで賃貸住宅を会社に行ける範囲で探す。
距離は俺の仕事場と悠の職場は一駅しか変わらないので、その辺の距離の差は考えない。
ただ、出来ればこの駅かもう少し近い方がいい。
部屋の間取りは2LDK。
寝室は一緒でいいので1LDKでもいいのだけど、たまに仕事を持ち帰ったときや誰かが泊まりにきたりするときように一部屋あるといいからだ。
そんな条件でまずはネットで探してみると結構ヒットした。
セキュリティを重視して、築年数はそれなりでも構わない。
そんな条件でもそれなりにヒットしたので、週末の明日・明後日で見ていくことにした。
数件内覧をして、ここが最後の内覧だ。
2LDKで築年数はまあまあ。駅は俺の職場まで2駅。悠の職場までも3駅と近い。家賃は安くもなく高くもなく。2人で家賃を払うからちょうどいいくらいだ。
寝室はベランダに面していて日当たりがいいし、リビングダイニングも広い。
駅からも徒歩10分以内でスーパーも近い。それも2件も。
良い条件が揃っている。揃いすぎているくらいだ。
「ここ、いいんじゃないか?」
「そうだね。日当たりいいから布団も干せるし、スーパーが近いのがいいよね」
「ここに決めるか」
「うん」
ベランダで外の景色を見て話す。
周りは戸建てが多いので、繁華街のビル群がしっかり見える。夜景はそれなりに綺麗なんじゃないだろうか。
その部屋にすることを内覧中に決める。
条件が良いので保留にしたらすぐに決まってしまいそうなので、その場で不動産屋にこの部屋にすることを話し、その足で不動産屋に行き契約をする。
契約を終えて外に出ると2人とも胸が躍っていた。
「良いところがすぐに見つかって良かったね」
「部屋探しは難航するかなと思ったけど2日で終わったな」
「うん、あっけないくらい」
「じゃあ後は引っ越し業者探して引っ越しだな」
「俺、人生初の引っ越しなんだけど」
「そっか。ずっと実家だろ」
「そう。職場まで出やすいから引っ越す必要なくてさ」
「そうだよな。俺は乗り換えが必要になるし1時間かかるから一人暮らししたけど、悠の家じゃ必要ないもんな」
「そうなんだよ。だから家を出るっていったらびっくりされるだろうな」
そう言って悠は笑う。
「引っ越し、何気に大変だぞ」
「そうなの?」
「荷物を段ボールに詰めていくのが何気に大変だし、なぜか引っ越しでなくなるものが出てくるんだよな。実家を初めて出たときに見つからないものあってさ」
「実家に忘れたんじゃなくて?」
「いや、ない。帰省したときに探したけど実家にはなかったんだよ。段ボールに入れた記憶あるんだけど。だから入れたものは細かく段ボールに書いて番号振っておくといいよ。それをメモ帳にも記入しておくといい」
「へ〜。じゃあやってみる」
「あ! 悠、ベッド買いに行こう」
「あ、うん。今のあのベッドって……」
「そ。だから引っ越すなら新しい方がいいだろ」
「うん!」
「じゃあこの足で行っちゃうか」
「そうだね。まだ時間もあるし」
そうしてショッピングモールへ行きベッドを選ぶ。
「部屋が狭いからローベッドがいいんじゃないか?」
「うん……」
「広さは? ダブル? クイーン?」
「うん……」
「悠!」
悠は顔を赤くして話しにならない。
「そんなことしてると決まらないよ」
「だって……恥ずかしいじゃん、男同士でさ。立樹恥ずかしくないの? ゲイなの俺だよね?」
「店の人だって、そのときはなにか思うかもしれないけどさ、一日に沢山の人を相手にするんだからすぐ忘れちゃうよ」
「そうかな?」
「そう。そういうもんなの」
俺がそう言った後は顔を赤くしながらも意見を言ってくれた。
付き合って気づいたのは、男同士なことを気にするのは、案外悠の方だったりした。俺だって全く気にならないわけじゃないけど、客の記憶なんてすぐに消える。
それになにも悪いことをしているわけじゃないから堂々としていていいんだ。
そう思うから俺の方が落ち着いている。
でも、顔を真っ赤にしながら選んでいる悠は可愛いけど。
「で? ダブル? クイーン?」
「クイーンなんて入れたら部屋いっぱいになっちゃわない?」
「ダブルでも部屋狭くなるもんな」
「そしたらダブルでいいんじゃない?」
「そうだな」
そう言ってダブルのローベッドを選んだ。
「他に買い換えるものあるかな?」
「んー。別にないんじゃない? もしあったら引っ越し前にまた買いに来ようよ」
「そうだな」
入居日まで後少し。悠と一緒に住めるのが楽しみだった。
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